片目が落ちた
咲かなかった桜
満開とはゆるぎないことですか
問えばもう戻れないよ
美しいことは罪なのに
空いた穴から花びらがあふれる
腕は開拓者だね
美の真理にふれたい思いで
ふられて
雨にうたれても
疑われても
歌が割れても
鼻をつく春
花粉症ということにして
涙も花見ずも
咲かなかったからさ
売れなかったから
憂いはあっても
逆さに笑って
二束三文で売り払った
支払いは大切だから
体があるだけ
震えて
片目が月を見る
春の月を
落ちた片目が
僕の手で
僕の手のなかで
泣いて
からっぽの胃のなかかな
声が
叶えたい願いがあった気がして
振り返る
背後は戦争
春に身を投じた季節に
近所の桜は健気に満開だ
もう全部なるようになれよ
動かなくなった過去ばかり突いてさ
そういうのもうキモくなるから
売れ残ったのは買うからさ
上野駅は爆破しちゃダメだよ
スワンボートに宿った魂の伝言
ペダルを恋で進む
なんて、ああ、バカだ
バカだと思っても君を探している
春のやましさのなか
知らない人に刺されるくらい
まばたきをする確率で
青く染まるのを待っている
キスを待つ唇に
春が落ちて
それはただ
東京駅の空想だ
落ちた片目で見た夢のなかの
東京
春の龍と歩いた街角
罪を犯して、美しさを知る人は
ホタルイカの明かりを
枕元に灯して
連絡帳に今日の美しさを記す
沙羅双樹の花の色は
傷口と似ているのかな
君だけを求めた日の色と
君を求めることをやめた日と
どっちが痛いか
どっちも痛いが
モノクロに合掌をした
もう空白が甘いよ
甘くなったよ
蜜蜂に好かれてるって知るより前に
成仏しちゃったから
悟ったよ
君は僕じゃないって
なかなか気づけなかったけど
両目がちゃんとそろったから
ちゃんと現実を見れるようになったから
夢を感じる
呼吸をするたび春になる
夢をみる
うすく色づく空を
手元に備える兵隊さんの夢想は
二つ目の夏を選び直すように
優しく諭す
きちゃない
泥を飲める
涙を流しても
どれだけの苦痛も飲み込む
つもりでもそれは
大人になるのって、痛いね
芸術は生活のなかに住んでいて
新生活が始まる
作品データ
コメント数 : 6
P V 数 : 604.0
お気に入り数: 1
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2024-04-15
コメント日時 2024-04-23
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
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前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
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総合ポイント | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
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2024/11/23 17時06分54秒現在
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わたしも桜をみて詩を書きたいと思い何日か前に書いたのですがどうも満足する出来にならず、同じモチーフでも出だしから刺さるこんな詩が書けてうらやましいなとおもうばかりです。。
0Molloyさん、ありがとうございます。 今年の桜、何か触発されましたよね。 それで何か思わず書いてしまいました。
0春風や闘志いだきて丘に立つ、ですね。
0とてもかわいい詩ですね。きちゃないというのがよかった、児童性があるようで
0おまるたろうさん、ありがとうございまず。 もうここは春に占領されました 弾倉に夏を込め地下に伏す これからまた、すぐ暑くなりますね。
1呉爾御息さん、ありがとうございます。 きっといい大人は、いい子どもでもあるんじゃないかなと思います。 わるい大人は、大人になれなかった子どもなのかな、とも。
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