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回想
回想の中の夏は いつも涼しげに冴えている。 淡い水色の空気が記憶を包んでいる 窓辺に揺れる風鈴を手に取る 薄い硝子は仄かに冷たく 玩んだりするうちに 手からすり抜けて コンクリートに砕ける 騒々しい蟬の声と くだらないテレビ番組と 手にうっすら滲む汗 使い古されたコード進行と ありきたりな歌詞とが どこからか遠く流れている 扇風機の音と 陽気な風景と ほろ苦い悔い、あるいは焦燥 傍観するには 十分すぎるくらいに 美しい光景。 無機質な道路に冷気を撒き散らして 氷のように砕け散った あの風鈴は どうしたろうか 寒風が吹きすさぶような 晩冬の午下がりに 窓を見つめて 過ぎ去った夏を 恋う。 あるいはそんな水彩絵具で 美化して彩りながら 昔に描き殴った鉛筆画を 懸命に上塗りしているのかも 知れないが
回想 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 533.2
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2024-03-04
コメント日時 2024-04-20
項目 | 全期間(2024/11/22現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
すっきりとしていて読みやすい清涼な詩ですね
0記憶の中の夏、情景が静的に描写される様が美しい。静的だけれどスローで再生されているような、シーンが切り替わるような。瑞々しいモラトリアムを感じました。
0僕では絶対に書けない詩ですね。 でも素晴らしいです。 また詠ませ下さいね。
0はじめまして。 こんにちは。 冒頭、回想の中の夏がその透明感を滲ませながら、たち現れていく描写からまず美しく思いました。 風鈴と戯れて、風鈴が割れ、徐々に、夏に湿度や暑さがあったなあなんて思い返していく。 ソーダ水の氷がとけていくような色の移り変わり。 配色の妙を想像しました。 冬の中、夏を回想する。 最後、「回想」という絵画の中に過ぎし日々を想う。 せきとめていたノスタルジックが静かに、瀟洒に溢れていくさまは、いつだって紋切り型の言い方しか出来ませんが、せつないですね。 素敵な作品、ありがとうございました。
0素敵な作品ですね。情景描写が見事です。
0日本の夏、涼しい夏。嫌なことがたくさんありましたね。風鈴は福音を鳴らし続けています。
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