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瞼の彩り
透かし模様の中の国には蝉の羽の ように曖昧な国境線が引かれてい て心が折れそうになる だから、というわけじゃないけど 句読点を追いかけるようにアシン メトリーに達するψが 不思議でならなかった、ならなか ったということから逃れられなか ったアサシンクリードに塗られた 塗布剤すなわちクリームをパンに 悪意が増幅する度に改行を回収する そのせいで人は次々に張られた伏線 に気づけないまま時を過ごすだろう 透かし模様の中の人はクリトリス にバターを塗ってちょうどなめて いるところだった、露悪的な露光 に芽という芽をあるいは眼という 眼を摘み取られていくのがはっき りと感じ取れた 饒舌の海から国語の教科書の中の 黒歴史までみんなクロレッツする ようにかの人は言った――それは 人々の生活の粛清を意味し舟を編 む私の孤独の中にささやかな熱情 を感じ、取ることができた 「意志とは感じるものではない、そこ にあるものなのだ」と誰かが言って、 すぐ近くにあったコップを投げ付けた さっきからずっと殺気と一緒にいるさつきが言ったのだった。ARポッキー、透明なミルクティーを買っての薬局からの帰り道、『俺俺』の主人公のようにいくつも分裂しながらどこまでも歩いていったのだった、精神が聴く、「身体が冷えると……身体全体がだるくなったり……そうなる前に……オススメなのが……ツムラの養命酒……第2類医薬品です」宣伝に躍起になっているのが如実に感じ取れた。やがては詩の時代は終わり、氷河期を迎える、そのときまでに人類の海底移住計画を立てておかなくてはならない こうして世の中にはずっと 物語がある 帰り道、ホシの名前を考える。ア ルムンティがいいか、アーミタイ ルがいいか、アビゲイルがいいか、 クンバカがいいか、ザラストヴァ シュターサナがいいか、ミゲル君 はずっと考えている、考えるとい うことは衰えるということだ、衰 えるということは哀れむというこ とだ、否浮かび上がるミサの光景、 だから名前はミサ、ミサギ、ミサ キ、イサギ、アマカケル、テラス、 メテオ、否、テオ、否、否、否、 星の名前は、結局定まらなかった、定まらないまま宙ぶらりんになった、烏座の黒い模様が透けて見えた、レビアタン座の羽が目に引っかかった、静かな夜が訪れるのがわかった、ザ・ガードを飲んだ、胃腸が安定してきた、そこで閉じた、瞼を
瞼の彩り ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1011.5
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-01-13
コメント日時 2018-01-24
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
kazさんの作品は毎回とても読んでいて心地よく、文章としてとても面白いと感じるのですが、惰性で延々とビールを飲み続けているようなそんな感覚もあります。呑んでいる時みたいに「これ美味ぇな」とか「やっぱビール最高だな」と酔いが深まれば深まるほど、貧弱な語彙でしか相槌ちを打てなくなる感覚にどこか似ていて、コメントする際にも「これ上手ぇな」とか「やっぱkazさんの文章最高だな」としか返せないでいる自分がいます。
0survof様、どうもありがとうございます。 詩とはどこかしら、飲み過ぎると不調をきたすようなものだということでしょうかね。多分、それで合っていると思います。一気飲みや未成年者の飲詩はおさけください。と言いつつ、かくいうわたしも未成年のときから入り浸りきりです。笑
0まず書き出しが好きすぎます。 蝉の羽自体透し模様なのに、その中に国があるとは。美しい景色のように思えて、心が折れそうになるその繊細さがなんかいい。国境線があるから折れそうになるのか、曖昧だから折れそうになるのか。 また、空想的な世界と俗な言葉の混ぜ方が良いと思いました。アサシンクリード、クロレッツする、などするりと忍び込ませるから少し驚かされます。 なんだかよくわからないですが、何かが終わろうとしている。破綻しかけている。その兆候が現れている。だから名付ける行為、新しい存在を肯定する行為が必要になるのかなあと感じました。
0ネムマン様、どうもありがとうございます。 いいところに気づきましたね。破綻の兆候が、新しい存在の肯定のための「名付け」として現れている。その読みは深いです。ただ、あえて指摘するならばそのカタストロフィがどこからやってきたのか、ということでしょうか。
0スマホ画面で見た時には、意味と言葉の連続に見えたのですが、パソコン画面で見ると、縦軸の時間に横から定期的に圧がかかり、一気に横に噴出する時間があって、また再び縦軸の時間に戻る・・・というような・・・淡々と過ぎていく時間を感じる日々の中に、やむにやまれぬ、という感じで内から(外部からの圧と共に)時間に関わらず噴出していく「なにか」がある、それを視覚的に表しているような感覚がありました。 縦軸に流れる時間にあらがって、独自の時間を紡ぐのが「物語」なのかもしれません。
0まりも様 ありがとうございます。時間がそもそも縦軸に流れるかどうか、上下に流れたり左右(前後)に流れたりという認識が私にはありますが、果たしてどんな感じなのか。不思議ですね。
0やはり言葉を追い求めるときの思想が伏線に見え隠れしますね。発語への飽く無き探究心とも言えるのでしょうか。 このような吐露を語らせれば、ブレヒトの言葉を借りればあなたは身ぶり手ぶりの書き手だ。小さな動作を用いたがら読み手の思考に対しては新鮮で大きな驚きを与えたい。異化的な効果も、読み手のなかで咀嚼され同化されないとただの異様なものとして映る。わたしはそのように捉えています。この辺りは見事に解消されていますね。不確定な様相を孕んだまま末路を迎える。この世界観がマクロ的思考として充分認識できる。吐露としても高い位置にある詩だと思います。
0アラメルモ様、ありがとうございます。 不確定な様相を孕んだまま末路を迎える まさにこの通りだと思います。この詩にどんな評価がつくのかはわかりませんが、とりあえず次の詩集のために頑張ってみます。
0なんというかコメント欄が凄くてですね、、、重複を前提として言える事ですが、kaz.さんの作品をそこそこ読んできてずっと思うのは、固有名詞の解釈どうすればええんやろなみたいな事でした。僕はそれらの言葉を知らないし、そういうものを読みの中でどういう風に溶かしていけばいいんだろうみたいな事を思いながら、その結果として、詩の表面の部分しか受け取れなかったような面があります。そこら辺の距離感がここでは、最初の蝉の羽の所を読んで、僕が読むときに抱いてしまう緊張感がなくなり、少しだけ解消されたかのように思います。 その結果、僕にとって本作は少しだけ読めたような気がしました。取りあえず今の所はもうちょっと他の方の読みが聞きたいですね。
0百均さま、どうもありがとうございます。 人の書いたものを読むということは、ある意味で心を読むということでもある気がします。透かしたような羽の意味も、心のように見透かすことができるようになってしまえば、かえってチープな内実が露呈してしまうでしょう。難しいところです。
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