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出棺前夜
いつもなら 絶対飲まないコーヒーを 二缶 買った 外の自販機で 二人 晩酌をしよう 皆 もう眠りについた 蜜柑のような 薄明かり 白い棺と わたしとを 照らしている 最前列 パイプ椅子 軋む 誰も 今は目を覚まさないで 二人きりがいい 一つを貴方の上に もう一つは乱暴に 体の中 流し込んだ 嗚呼、 「こ んな こと まで 教え て くれな く たっ て良い じゃな い いつ までも 料理 が 下手 な まま で よかっ たのに いつま でも 寝 起きが 悪い ま まで よかった のに い つまで もい つ ま でも 私 だって 帰 りに コーヒー 一缶 買っ て帰るだ けで どん な言葉 も わた し を救 わな い 十 分な くら い 心に それ が 広がっ てい る もう ど う 生き ていけ ば いい 明日 から 貴 方が 貴方でな くなる 明日 か ら」 どれくらい時間が経ったろう 夜明けが来て 陽の光が窓から差し込んだ その時 きっと 目のふちの涙が虫眼鏡の様にはたらいた 偶然 きっと この喪失に意味をもたせようとするが故 欺瞞 額縁の中 微笑む貴方と目が合った わたしは。
出棺前夜 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 588.6
お気に入り数: 2
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2023-11-19
コメント日時 2023-11-20
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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構成 | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
棺と缶は関係ないでしょうが、カギ括弧の連が印象的でした。嗚呼の嘆き?と共に心情が吐露されているのかもしれないと思いました。「偶然」や「欺瞞」。額縁の中、から、貴方はもう死んでいると推測されるわけで、タイトルの意味も分からないわけではないのですが、「わたしは」の行から、未来への開放系が不安に満ちたものにならなければいいがと思いました。
0この詩をが事実を元にしているのか創作なのかはわかりませんが、いつもなら絶対飲まないコーヒーを無理やり飲み込むところや、中程のひとつひとつの言葉が無数の空白で分断されている連が、とてもリアリティのある表現の仕方だと感じました。 そして、 「きっと この喪失に意味をもたせようとするが故 欺瞞」 というところが強く印象に残りました。 苦悩の中に意味を見出そうとする努力が全く効力を持たない時、明日からどう生きてゆけばいいのかというほど、人は途方にくれてしまうしまうのでしょう。 末尾に一言だけ置かれている「わたしは。」の中に、その心情が込められているかのようです。 秀逸な作品だと思います。
0一部表現だけとりあげてまことに申し訳ない のですが 蜜柑のような 薄明かり 白い棺と わたしとを 照らしている この描写にはっとしました。 童話のような色彩。すばらしいです。
0「きっと 目のふちの涙が虫眼鏡の様にはたらいた 偶然」 何かを悟るような瞬間が余白にはあったと思うのですが、はっきりと分からない感じが良いですね。 私も何度も親族の死に立ち合っていますが、結構どうでも良いことほど覚えています。 例えば何で叔母はお葬式なのに祭と書いてある団扇を手にしていたのだろうとか。(多分気が動転していて) 途中のランダムな感じに配置した言葉も、話者の混乱した心情を巧みに表現していて上手だなと思いました。
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