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エレファント•イン•ザ•ルーム
なぜだか、どうしても好きになれないネット団体がオンライン放送をやっていた。観たところで不快になるだけだろうに、我ながら悪趣味だなと嘆息しつつも何気なく再生ボタンを押してしまった。すると、代表者を名乗る長髪の男がなんの脈絡もなしにいきなりマリファナらしきものを吸い始める姿が映し出されて、呆気に取られるばかりだった。 翌日、ホームページを覗いてみると、告発文が投稿されていた。曰く、貴団体にマリファナ吸引について照会したところ、代表の住む地域のルール上、合法であるとの回答を受けたものの調べてみたら真っ赤な嘘と判明した、との由。その投稿に対しては、そういった書き込みはこの場のルールに反するもので直ちに削除する、あとはディスコードでお願いします、との回答が寄せられていて、その下に、より本質的にルールに違反しているのはマリファナ動画の流布では、との返信が続いたが、それらのやり取りはすぐに消えてしまった。 正直にいうと、私はマリファナ自体には寛容なスタンスだ。欧米の多くの地域でマリファナの解禁が広がっているし、アジアでも合法化する国が出てきた。ネットフリックスでは大麻料理をテーマにしたクッキング番組さえ放送されており、「触れてはいけない話題」では無くそうとする動きが活発だ。勿論、賛否両論はあるだろうが、日本でもタブー視せずに議論を開いていけばいい。だからこそ、マリファナをこれみよがしに吸っておきながら、虚偽や削除によって公開の議論を避ける姿勢がよく分からなかった。 マリファナを吸引する動画を流せば、話題になっておかしくない。問われれば、大麻解禁に対する自説でも述べればいい。それをする気がないのに、どうしてわざわざマリファナ映像を流すのだろうか。その疑問は私がどうしてもそのネット団体を好きになれない理由と通底するものがあった。当該団体は、そんなことをしたら当然議論になるだろうということを公然とやっておいて、その上で議論が巻き起こること自体を馬鹿にし、批判者を攻撃して押さえつけ、あとはディスコードでお願いします、と公開の議論をタブー視するような力学を持っていたからだ。 その日、私は夢を見た。清潔感のない長髪の男が下卑た笑いを浮かべながらマリファナを吸い始め、やがてゲホゲホ、ゲホゲホと際限なく咳き込み始めた。大丈夫ですか、それマリファナですよね、という私の声を男は強制的に消し去った。そして男は言った。誠心誠意取り組んでいきます、あとはディスコードでお願いします。
エレファント•イン•ザ•ルーム ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1294.0
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2023-11-12
コメント日時 2023-11-26
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
この作品が小説の冒頭ならぼくは最後まで読むでしょう。だってその後が気になるじゃない
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