雪のさざなみが、ぼくたちの頭に白貂に似た
毛皮の帽子を創りだしてゆく
幼きころ、無垢は愛を知らなかったが
きみの悲愁を秘めた瞳が美しかった
雪に覆われた時計の針は語る
風と雪と川の刻々と変わる純潔さを儚さを
きみの姿に、白鶴の
飛び立つ姿に何を感じるのか
きみとぼくは校庭に下りた
掌に落ちた白い雪は残酷な時を思い出させ
神秘の溜息が紅い唇を欲望のように光らせていた
ぼくは訊く、ふたりの愛は育つだろうか
時だけが知っているのよ
紺碧と海をこえてたどり着いた
吹雪に揺れる樹氷が言の葉を落とす
欲情を知らぬ時、きみを虐めていた
男の子を深い沼に落とした
その日からぼくはきみを愛している
永遠に止まった時間の瞬間の記憶
きみの涙を見た怒りの衝動がぼくを行為に駆り立て
今、雪の結晶が頬に落ちるとその罪の約束を思い出し
その時の微笑むきみの眼の記憶がぼくを慰める
きみの毛皮のコートに顔を埋めると
寒さに強いきみは柔らかくぼくを抱きしめた
白い苺のような胸に慰めを感じ
きみの胸の鼓動から喘ぐような息が聴こえてくる
わたしはあなたを愛しているわ
きみの蒼い水色の眼は
白い雪にけぶる校舎を見つめている
氷に映った白く美しい雪の結晶が罪を愛に染めると
透明な光が雨となって降りそそぎ
ぼくたちを吹雪と時の響きが覆いはじめた
作品データ
コメント数 : 7
P V 数 : 1056.4
お気に入り数: 1
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2023-08-19
コメント日時 2023-08-26
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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2024/11/21 23時40分48秒現在
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こんにちは。 雪がキーワードとなっている詩ですね。 雪は非常に美しい景色を見せてくれると同時に、時に我々に牙をむき、命を奪う恐ろしいものにもなります。 無垢な純粋さとそれ故の非情さや残酷さが、雪をメタファーとして美しく描かれていると思います。 「きみの悲愁を秘めた瞳が美しかった」 「雪に覆われた時計の針は語る」 「吹雪に揺れる樹氷が言の葉を落とす」 「く美しい雪の結晶が罪を愛に染める」 これらの表現が非常に美しいイメージを読み手に湧かせて、その世界に導いてくれます。 ただ、少し気になったのは、 「永遠に止まった時間の瞬間の記憶」 「きみの蒼い水色の眼は」 この2つに二重表現があるようです。 前者は時間か瞬間の、後者は蒼いか水色かのどちらかを削ったほうがスッキリすると感じました。 でも全体として、人間の持つ罪と愛という、逃れられぬ宿命のようなものが、雪の冷たさと美しさに託して、巧みに描かれていると思います。
0骨太なものがありますね。愛やぼくたちといった語句を使用すれば今時のライト風になりがち。本作からは一定の荘厳さを感じる。作者さんの詩論がもしあれば一度読んでみたくなります。
0こんばんは。 この詩は、まず頭に浮かんだことをそのまま一気呵成に書いたものです。 表現は、比較的スムーズに浮かんできました。 詩というものは、書くタイミングのようなものがある様で、それを掴むことが大切だと思います。 ご指摘の箇所については、私も書いている時に重複しているが、どうしようと思いましたが、言葉のリズムの関係からそのままにしました。 ただ、m.tasakiさんの仰るように読者が重複と感じると、興趣が削がれるのは事実ですから、ご提案のように削るか、表現を新しく考える方がいいだろうとは、私も思います。 この辺り、ちょっと悩んでいたところですし、これからこの点に気を付けて詩作をしますね。 ご指摘、有難うございます。
0私自身、ライトノベル風の文学作品は好みではありませんので、それが回避できていたようで良かったです。 私には特に詩論といったものが明確にあるわけではありませんが、心がけていることを少し書いてみます。 私が詩のみならず、文学作品を表わすにおいて重視していることは独創性です。 その作品に独創性があるかどうかは読者の判断ですから如何ともしがたいところがありますが、作品を創るにおいては最も大切なことだと思います。 そして、それに伴って、想像力も詩において非常に重要です。 発想ありきですが、詩的表現もそこから生まれますから、発想に乏しいところがあると良い詩にはならないと思います。 上記を踏まえた上で、雰囲気、表現、言葉の一貫性ですね。 日常言葉で書かれていた詩の終盤に、突然、詩的表現が出てきたら不自然になります。 そこは留意すべきで、そうしないと雰囲気が壊れますし、詩の主人公の性格も不可解なものになってしまいます。 詩作においては技術的なものが大切なのはもちろんですが、独創性と想像力があってこそだと思います。 そうした意味において、心情を書き連ねたような詩は、私はあまり好みではなく、まず、想像力によって構図、情景を固めてから詩作をすべきというのが、私の考えです。
1毎回、高純度の詩情をもたらして下さるので、信頼できる作者さまなのですけれど 何か、心境の変化があったのか、そのすべてのフレーズがキラー・フレーズ(殺し文句)に 見受けられるのですね。 オーソドックスな詩としては、地になる行があって、まあジャブを打って そしてキラーフレーズ、ストレートが決まるみたいな正攻法があるのですけれど この詩に関しては、とにかく、その純度を高める為か、そのジャブ一発にも力を込めて 書かれている。 ええと、そうすると一体注視すればいいフレーズはどこにあたるのだと ちょっと今混乱しているのですが、やはりある。 何か、作者様の実験精神、これは密やかな行われていること?かも知れないですけれど それを感じました。一票。
0田中恭平 new様、拙作への投票有難うございます。 私は、比喩は乱用すべきではないと考えていますが、小説はその通りではあるものの、詩作においては柔軟に対応すべきだと考えています。 詩作するにおいては、頭に浮かんだ空想から構成を決めると、一気呵成に書いています。 丁寧に言葉を選んで緻密に書いているように見える詩が、意外に面白くなかったりしますが、 そうした詩の場合、発想から構成を固めないで書いている、本人はよく考えていると感じているかもしれませんが、実質的には行き当たりばったりだからだと思います。 この詩では、そのすべてのフレーズがキラー・フレーズ(殺し文句)に見受けられると、田中恭平 new様がお感じになられたのであれば、雰囲気を言語の一貫性で担保するという意味において、 成功したのかなと思い、とても嬉しいことです。 実験精神とまではいきませんが、詩には多様性が必要との思いから、このような詩も必要だと思い作りました。 オーソドックスな詩にはとてもいい作品があり、ただ、そのキラーフレーズを自然に見せるのがなかなか難しいところです。 そして、そのためにも、構成と、比喩の使いどころをきちんと決めることが大切なのだと思います。
1私は、詩にもストーリーとプロットが必要だと考えています。 登場人物は二人以上が望ましい。 小説は空想の世界を楽しむものとされていますが、詩も同様で、作者の心情を吐きだすためのものではないというのが、私の考えです。
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