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どろどろ
ベランダで蝙蝠のこどもが死んでいた 僕は煙草に火をつける 夜、煙は颪に乗って海へと還っていく 疲れた心で小さな命を悼む 三日もするとそれは液体になっていた エアコンの排水は それをよりどろどろにした 夏、熱と水と腐敗の季節 いま、どろどろになっている僕らは やがてどろどろになっていく僕らは 溶けないように、必死に存在していて そのせいで疲れている 明日には影も形もない 僕も、忘れてしまうであろう 小さな命だったどろどろよ 君こそが、不在の騎士なのだ 夏、熱と水と腐敗、そして 忘却と疲労の季節
どろどろ ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1049.4
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2023-07-30
コメント日時 2023-08-07
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
自然的なワードがほとんどだったところに「騎士」が入るとお互いの存在感が増すと感じました。勉強になりました!
1蝙蝠は洞窟生活的なイメージなので、ベランダで、蝙蝠の子が死んで居ると言うだけで、いろいろとイメージが膨らみます。ペットとして飼われて居た蝙蝠なのか、そもそも蝙蝠はペットとして飼育可能なのかと言う感じで、想像が膨らみます。「溶解して行く僕ら」は必死で溶解を止めようとしている。不在の騎士と言う言い方に惹かれました。不在の騎士の解釈がこの詩のキーだと思いました。
1冒頭から3連目までのどろどろを用いた表現がいいなと思いました。 最終連は、2連目最終行と対になっているものの全回収しすぎて余韻がなくなってしまったのが惜しいと思います。 書き切らず、読者に余韻の中で感じさせるような表現で締めた方が4連目の内容がさらに活きるのではないか、と感じました。
1いま、どろどろになっている僕らは やがてどろどろになっていく僕らは 溶けないように、必死に存在していて そのせいで疲れている いいイメージ喚起力。
2コメントありがとうございます。 「不在の騎士」というのはイタロ・カルヴィーノの小説のタイトルで、「我々の祖先」3部作のひとつです。
0コメントありがとうございます。 先ほど他の方への返信にも記載しましたが、「不在の騎士」はイタロ・カルヴィーノの小説のタイトルで、身体が存在せず、存在の自覚だけがある騎士と身体は存在するものの存在の自覚がない従者の物語です。 お時間ありましたら、こちらもぜひご一読ください。
0コメントありがとうございます。 難しいところですね。綺麗に収めようとするとあざとくなり、読者に投げかけるようにするととっちらかった印象になってしまうなあと思ってます。 この作品はなんとなく綺麗に収めようとしてますが、コメントを拝読し、別の可能性もあると気づきました。 ありがとうございました。
1コメントありがとうございます。 お褒めの言葉、光栄です。
0なんかエリオットによると、四月は残酷な季節らしいんですけれど、夏になると腐敗の季節になるっていう断定、提出が見事でそれだけでなんかいいもの読ませてもらったなって思いました。 蝙蝠ね、妻の実家にも私の実家にも蝙蝠が出て、糞とかしてるらしいんですけれど、なんなんすですかねぇ。ふたり、アパートに住んでいたころには流石に蝙蝠はいなかったかな。まあベランダで煙草喫ってたんですけれど、一階の住人が、たぶん不正パーティとかしてて、退去したんだよなぁ、懐かしい。あのころは、確かにどろどろしてて、疲れていた。今はそういう風に感じないけれど、みんなそういう季節を体現することがあるのか?
1トラックの荷台で使うあの平べったいゴムがよく道端に落ちていて、あ蛇かなと思うんだけど、その第二候補が蝙蝠で、第三候補になってやっとゴムが出てくる。だからベランダのそれは本当はゴムかも知れず、トラックの運転手が探しているかもしれない。近付いてみないと遠くからだと溶けているように見えるから。
1ごめんなさい、スペースのこともありつつ、俺はこの作品、好きっすね。巧いとも思いますし。ただ、ごく個人的な経験に寄せた、あっ、好き!っていうのが割合大きいですね。それは、正直に書こうと、主張しようと思いますね。一票。
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