せなかの声で呼ばれた、
「待って」、傘は歩く。
赤いクレヨンもからまり、
しだいにほどかれる。
傷口のような紫だけが 染みついて
回る踵 ずるり、と
長靴をけずる
傘は歩かない わたしは 透明コートに隠れる
‐‐六月の葉 そのうえの蛙 ぱっくり割れた 本屋の入口‐‐‐
‐文字が剥がれて 浮かびあがる‐そら白い空に 供養される‐‐
焦げた記憶の 古本の 擦れた文字
頁の しずく レンズになる / 拡大する
瞼が45°に 持ち上がるのに
その文字は、何の文字だったか。
(紙に染みないから 永久に 眼球の裏に存在したまま。)
室内にはまっすぐのダリアが静けさを吸う
窓には凝然とした玉が無数に埋まる
すべてそこに収着してしまえばいいのに
繋げていた文字がほどけていく、気配たけある
なんでお前が泣くんだよ、
と叫ぶ
それは灰色の土砂降りでは、だれでも気づかず死ぬ声だ。
紛れる雑踏では、歩く傘も 大勢いるから 探さない。
もう探すこともないように、するつもりだ。
作品データ
コメント数 : 7
P V 数 : 578.9
お気に入り数: 0
投票数 : 2
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作成日時 2023-06-30
コメント日時 2023-07-01
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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2024/11/21 23時14分52秒現在
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はじめまして。 落ちてゆく雨粒を透して映りこむ幻想が、眼に見えてくるような作品ですね。 特に2連目の最後「‐文字が剥がれて 浮かびあがる‐そら白い空に 供養される‐‐」と、それに続く3連目の表現が秀逸だと思います。 現代詩を書き慣れた方のように思われます。
0m.tasakiさま、コメントありがとうございます。 言葉で遊んだだけで味気もないのでは、と不安だったので、なにかしらイメージの伝わるもののようでほっとしました。
0えっなんかすごいポエムな気がする 俺こういうシュールっぽいやつよく読めもしなければコメもできないんですが いかにもポエム先輩が詩的言語感覚があるって褒めるタイプなような こういうのはやっぱり言葉ひとつひとつの印象が文脈にならずに 星座みたいに布置されている感じなので 単語のバランスが妙になってくるわけですが なんだかよい配合だったように思われます
0わー。良かったです。 単純に言葉を知らないだけかもですが^^; コメントありがとうございます。
0レトリカルですね。
0想像から現実へ逃げられない言葉達がしっかり生きていらっしゃると。どの連も美しく完璧に思えました。よいものを読みましたありがとうございます。
0えっA・O・Iさまの作品が好きでよく拝見しておりますありがとうございます。語彙もないし本人さまからしたら似てはないかもしれないのですが4連とかA・O・Iさまのリズムの好きなとこを思い返しながら書いたもので…コメントいただけてありがたいです。
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