シンジケートを滅ぼさむ。血の壁にわが故郷なす櫻もろとも
解かれし砂漠のみづの渦の井戸へくだりゆきぬるベルセポネかな
死と分銅秤にかけて囀れる哲学どもへ まづ獄舎を燃せ
劇俳優鏡に歪む肉体は吐瀉物のうへのたうちまはり
痙攣と襤褸菊撓ふ疫病市 ひとひらの斧なす燕の翼
肉牛の屠殺場青き清掃服纏ふ労働夫のゆくへにも 俟てり
札束ちつぽけで購はれたる過労死のまごふことなき生涯保険
万世一系の有耶無耶を鎮もれる 桜の森に息を吐きつつ
死守すべき美学未だ靖国へ火を放ちて呆けたる桜の森にこそある
憤激の意識醒めつつ茫々と燃ゆる櫻の耀ひを見ぬ
躊躇はずうて口車は錆びるとも荊の炎の藪へとむかひ
ひきづり出され罪を贖ひ昇天す迄の奇跡の実利読み耽る頓馬
正しきは死す 策謀と虚誕、詐欺のみ明かす旧約聖書に
血の雲は雨る頻降 定点カメラさかしまにまはる
胡乱なる夢殴りたし奴数多をりしうち靡く鶏頭の茎ほど
鮮烈なる鼻血なりしもわかものの抵抗そよぐ旧日早稲田講堂
階級闘争静もる二十一世紀普く酷使 労働者庇ひあふつてを知らず
馬車馬より易き駄賃に汗ばみき労働服さへ荼毘に附されぬ
予定調和 無産階級の貧窮責任個へ帰結せり。斜陽国家に
世を果敢なめどさやふる雪の内裏かな象徴天皇制途絶ゑても
増殖す人工知能めきて語る青少年へと 言葉ならざる海調音を
巧き歌なれど程々 世知に摩れ柳の花など見遣りきたらずは
愛慾は死を渇きつつ石膏の椅子滑りゆく地平線の果てへ
自動琴人形機関錆びてなほ文明終焉迄目覚めゐよ
想像の部屋へ鏡像対称つらなりぬひとりのみひとならずを写して
白黒写真に映ゆる軍卒の肖像呪ひさびつつ睨め付けるかな
蚤一匹箱のなかにて震へをり始めて智慧の実齧りたるゆゑ
暴動のつゆ興らざり反抗を叛権威を藝術と看做さざる日に
無名運動夥多に雑じりて死地さへもゆくへしれずか 犯行声明
現代美術肉体を体現とせばまざまざと甦るかな 抵抗実践序章
作品データ
コメント数 : 17
P V 数 : 1301.6
お気に入り数: 0
投票数 : 4
ポイント数 : 0
作成日時 2023-06-23
コメント日時 2023-07-01
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
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音韻 | 0 | 0 |
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閲覧指数:1301.6
2024/11/21 23時16分20秒現在
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作者の世界と読者の世界をリンクさせる言葉が何かあると読者が入りやすいのではないかと思いました。良く独自の世界を貫く人がいますがガチガチだと見えずらいので少し窓を開けてくれたら灯りが灯るような気がします。
0作者の世界と読者の世界をリンクさせる言葉が何かあると読者が入りやすいのではないかと思いました。良く独自の世界を貫く人がいますがガチガチだと見えずらいので少し窓を開けてくれたら灯りが灯るような気がします。
0作者の世界と読者の世界をリンクさせる言葉が何かあると読者が入りやすいのではないかと思いました。良く独自の世界を貫く人がいますがガチガチだと見えずらいので少し窓を開けてくれたら灯りが灯るような気がします。
0ご称讃を賜り、ありがとうございます。 とはいえ、所詮選考通過止まりの、凡作でございます。
0私事ですが。先ず、コロナよりのご快復、心底安堵を致して居ります。 要の内容でございますが、確かに生活感が不足しており、観念的描写に傾いております事は、重大な欠陥であると身に滲みて実感を致して居ります。 生活性の希薄を、如何にか気概で越境しようかと試みたのでございますが、結果は惨敗でしたようでございます。リアリズムを熟考せねばならないと肝に銘じております。 それでは、ありがとうございました。 追伸:多分、操作ミスにて3点加算となって仕舞っておりますので、運営の皆様に於かれましては、集計時に1点加算へと修正なされて下さりますと、嬉しく存じます。
0ほんと短歌ってわからないんですよね。7年前に現代詩と初めて向き合った時のあれよりも段違いにわからない。だったら読むなよ、かもしれないんですけど、やっぱ読みたくなる。それは鷹枕可さんという物語に惹かれてるのかもしれない。でも、その入門でよくない?とも思うんですよね。寺山修司全集読んだ時にみつけたその短歌一つ一つを繰り返し読んだ果てに感じた寺山修司という魅力的な物語。その質問でありたいという大きすぎてよくわかんないけど、いや俺しかこれわかるやつおらんやろ的な満足感。鷹枕可さんに感じる反抗的人間であろうとすること、鷹枕可さんが醸し出す世界への憎悪と他人への慈しみ。それはやっぱ俺しかわからんやろ的になるんですよね。俺はバカだけど、でも、何かやらかしてやりたい、一撃ぐらいは最後に残してやりたいということ。開いてくれる。
0コメントを賜りまして、允に嬉しく存じます。 成り立ちから鑑みまするに。短歌、という表現様式と「国家」は切り離し難い側面を具有している様にも感じられます。 今はライトヴァース運動の成果か、「個人」のみで成立し得る歌も増えてはきましたが。自分の場合、国家、或は社会と謂う桎梏への愛憎が、歌を呪い愛しむ動力源と為っている様でございます。 今は、その愛憎をストレートに表現をせず、含みとして潜ませる方向性へと舵を切っておりますが。心根は相も変わらず、愚直且つ反抗的でありたいと願い、表現を致しております。 そして、仰られます通り、一つの物語でありたいと思わずにはいられません。誰も読まない物語かも知れませんが。 これからも。音楽としての短歌を、切に焦がれつつ。書き続けさせて頂きたく存じ上げます。 ありがとうございました。
0あらそんな裏技を使ってしまいましたか。 すみません。 コロナはなかなかやっかいです。 まだ完治には至ってませんが死ななかったので良かったです。
0ああ、やはり完治には時間がかかるものなのですね。 お体を御労りになられて下さい。 因みに、貧乏性なものですから。 押す箇所を慎重に選ばなければクリックがダブルクリックになってしまうマウスを半年以上使い続けて居ります。
0蚤一匹箱のなかにて震へをり始めて智慧の実齧りたるゆゑ こちらを頂きます。 全体的に意欲的な比喩修辞が多く、塚本的宇宙を想像させますが、どちらかというと意味に身を捧げ、韻律あるいは調べといったものを削ぎ落としてしまった感覚がありました。 意味的なものを強く挿入するとどうしても散文性が勝り、破調であることの価値も下がってしまうように思え、となれば代償として差し出されている韻律や調べの価値が相対的に上がっていってしまいます。 短歌のモダニズム、前衛短歌の風を模した手法とも読めますが、それらは韻律の再発見、近代的自我の確立等々を遠巻きにしながら作られていったものです。現代に生きる我々がそれを模した時にどんな価値や軋轢が生まれるのか、それを明確に引き受けていると思われる点が、残念ながらお歌の中にあまり見つけられませんでした それに加え、歌を構成する要素が多く、やはり詩性よりも情報伝達性が強く強調されているように感じられ、そこが残念ながら疵として見えている気がしました。取り上げられた情報に関する主体の感情的な部分(詩として発生している部分)も、その情報量によって薄められてしまっている感覚があります 60年代の澁澤龍彦や、ロシアフォルマリズムに影響をお受けになったと思われる筆致は、非常に興味深く、その表現形式を現代に使っておられる方は少ないと思います。 稀有な作風に加え、今現在SNSで発表されることの多い、短絡的かつ主体をもミーム化していくかのような短歌の筆致に強く対抗するような、意欲的なご自身の作風が確とあり、見据えたい社会的問題や権威性、それを身を持って感じていらっしゃる身体性など様々な魅力的な部分が垣間見えるお歌と思いました。
0一語一句に力があって、読んでて脳を殴られているような、とてつもないパワーがある。今の詩は多分、個々人の感傷や心情に静かに語りかけるような詩が多いけど、この詩は壇の上で大勢の人たちの前で大声で語りたい。そんな魅力がある。
0とても学ぶ処の多い、確りとした批評を賜り、心から嬉しく存じ上げます。 短歌の韻文性、殊更此れを今は意識致しまして創作させて頂いております。 破調を導入致しますなら抽象概念ではなく具体描写の犇きに徹するべきであったと、反省致しております。 デペイズマン、つまり短歌技法的に申しますなら二物衝突(五七五、腰から上と七七、腰から下七七にて異なる描写を記述する技法)、 此れを如何にか三物衝突、四物衝突へと展開せしめてみたい、という野心もございます。シュルの調和的不調和か、ダダの徹底的無秩序かを再現致したくも思う所存でございます。 謂わば、前衛短歌運動の再興でございますね。 而して、 短歌の韻律の再発見なくしては、歌の丈は如何弄ろうとも腰砕けになってしまいますでしょうから。此処は確り肝に銘じたく思う所存でございます。 復、文体へのご称讃を賜り嬉しく存じます。ともすれば現実描写に傾きがちな現代短歌の傾向に疑問もございます。 形而上的描写、幻想、想像魔術的描写をも根付かせたい、とも考えて居ります。 社会批判に付きましては、大見得を切ってしまいますと鼻に付いてしまいますから、如何創作に忍び込ませるか、思案の余地がございましょう。 而して、自身の政治的スタンスに余りに疎い、と申しますかそれを表現する事そのものが禁忌となっております(様に見受けられます)既成歌壇の動向は如何なものか、 と思う事も少なからずございます。此処は、諦念したくはない箇所でございます。 こうして書き出してみますと、課題も山積致して居ります事が良く、理解が出来ました次第でございます。 最後に。今後の創作の大いなる糧となる評文を賜りまして、允に有り難うございました。心から感謝を致したく存じ上げます。
0レスポンスを賜り、心からありがとうございます。 選考会の講評文を拝読させて頂きました限りに於きまして、声高な主張は厭われる傾向が在る様に感じられました次第でございます。そのような時代なのでございましょう。 或る程度は、譲歩もしなければ為らないのかも知れませんが。難しいですね。
0自由詩でもそうだけど、鷹枕可さんはスタイルがあり、それを短歌でも実行されているように思う。貫き通して欲しいですね。
0お褒めに与り、心より嬉しく存じます。 過去の詩のフォルムを、短歌へと落し込んでは如何か、等とも考えてもおります。歌壇の本流からは大きく逸脱をしてしまいますが。それもひとつの道ではございましょう。
0無名運動夥多に雑じりて死地さへもゆくへしれずか 犯行声明 これ、いいですね。
0有り難うございます!
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