透明が充実していた - B-REVIEW
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PICK UP - REVIEW

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透明が充実していた    

透明が充実していた 「ここに犬を埋めた」 まだ幼かった私たち なぜ掘り返したのか 今となってはわからない 「死んだものの最後の体温に似てる」 飛べなくなってからはじめて気づく 掘り返す手 つめにはいった土 犬の毛が 白い犬の毛が 「毛ばかりで骨は見つからなかった」 校舎裏の植え込みには ヤブ蚊がたくさんいた みんな至る所にてんてんと 赤く腫れて かゆいね かゆいよ そんな会話をした気がする 触れられないものばかりを 触れようとする無数の手 日はとっぷりと暮れていた 掘り返した土を丁寧に埋め直して 「帰ろう」と 私たちの誰かが言った 誰が埋めたのか わからないまま 校舎裏に埋めた犬のことを 誰にも言わない約束をして 私たちは帰って行った けれど、ここには 透明が充実していた



透明が充実していた ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 28
P V 数 : 2036.3
お気に入り数: 1
投票数   : 6
ポイント数 : 0

作成日時 2023-06-03
コメント日時 2023-07-10
#現代詩 #縦書き
項目全期間(2024/11/21現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
可読性00
エンタメ00
技巧00
音韻00
構成00
総合ポイント00
 平均値  中央値 
叙情性00
前衛性00
可読性00
 エンタメ00
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閲覧指数:2036.3
2024/11/21 23時21分06秒現在
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    作品に書かれた推薦文

透明が充実していた コメントセクション

コメント数(28)
三浦果実
作品へ
(2023-06-03)

いいですね。過去作から辿ると、削ぎ落ちてきていて、必然的に残る語句だけで表現されて。少し羨ましいようにも読める。書きたいことを他人の視線を気にすることなく、なにかに影響をされたという痕跡すら残されていない。透明が充実していたと、そう表するには書かれる思念から始めなくてはいけないのでしょうね。穏やかで優しい。

1
m.tasaki
作品へ
(2023-06-03)

こんにちは。 「透明が充実していた」とは、新鮮な表現ですね。 子供の頃の思い出のようですね。 透明とは子供の打算のない心のことでしょうか。そうであるならば、透明であるからこそ充実できるとも言えると思います。 そしてまた、子供の心は既成の常識に囚われていないから、 「触れられないものばかりを  触れようとする無数の手」 があり得るのでしょう。 大人の常識からすれば、他人の土地に犬の死骸を埋めるなんて迷惑なことであり、そして、一度埋めた死骸を掘り出そうとするなんておぞましいことなのでしょう。 でも子供の感覚から言えば、たとえ犬でも骸を野ざらしのままにしておくのは可哀想であり、それと同時に、得たいの知れない「死」というものに触れてみたいという好奇心もあるのだと思います。 仄かにノスタルジックな香りのする詩ですね。

1
尾崎ちょこれーと
尾崎ちょこれーと
作品へ
(2023-06-03)

透明が充実にしていた に惹かれて コメント書き始めたけど 実際は何一つわかっていないし きちんと詩を言葉を読めていないんだと おもいます。 ただ、好きときしか言えない私は、 はぁ?そんなんじゃレビューにならねぇて言われるかもしれないけど、 やっぱりこの詩を読むと、 好きって感じることって大事で、 好き!が1番な感想な気がします。 よくわからないことをかいてしまいましたが、わたしの好きは充実しています。

2
エイクピア
作品へ
(2023-06-03)

犬の墓場と言うのは、自分が寡聞にして知らないだけなのかもしれませんが、ちょっと斬新な詩の題材だと思いました。クラス全体で飼って居たのかもしれませんが、共同性を超出する契機がこの詩にはあると思いました。

1
田中宏輔
田中宏輔
作品へ
(2023-06-04)

アイデアがよかった。

1
入間しゅか
入間しゅか
三浦果実さんへ
(2023-06-04)

ありがとうございます。ようやく詩ついた無駄なお肉の落とせるようになってきました。

0
入間しゅか
入間しゅか
m.tasaki さんへ
(2023-06-04)

ありがとうございます。実体験をもとにしていますが、なぜ掘り返したのかわからないし、なぜか忘れらない記憶なんですよ。 確かにそこには打算はなくて子供なりの倫理観があったんだと思います。

0
入間しゅか
入間しゅか
さんへ
(2023-06-04)

透明に殺される 窒息死寸前の充実を身にまとい 笑いながら またねって言って

0
入間しゅか
入間しゅか
尾崎ちょこれーとさんへ
(2023-06-04)

ありがとうございます。好きと言ってもらえて嬉しいです。

1
入間しゅか
入間しゅか
エイクピアさんへ
(2023-06-05)

ありがとうございます。 埋めた犬を掘り返した記憶があるのですがあれはなんだったのだろうか。事実の記述にとどまらず超出したものになっていたのなら幸いです。

0
羽田恭
作品へ
(2023-06-05)

>透明が充実していた 上手く言えませんが秀逸な表現です。 ふと思い出した事を描きつつ、また表現を拝借しつつ返詩を。 透明が充実していた ここに子牛を埋める事になった 耳標を付ける前に死んでしまった子牛 産まれたばかりで 何で死んだのか もう誰もわからない 死んだ者の体温は氷より冷たい 死体を見て あらためて気づく 生き物は死ぬのだ 子牛の白い毛が 黒い斑模様が 茶色い土に隠れていく 重機で掘られた穴の中に 眠ったような子牛 ウドのつまらない花だけが咲く ヤブ蚊が飛び交い 中年男たちが腕を掻き毟る 無言のまま 子牛は土の中に 隠され 忘れ去られて 眠り付く 「昔はよくやってたな」 「本当はもうやっちゃダメだけどな」 透明が 充実する 無数の手に 気づくことなく 追いすがる事に 気づくことなく 土で汚れた重機に乗って 中年男たちは 帰っていく 当然のごとく 誰にも言わない事は決まっていた けれど ここには きっと 透明が充実していた

1
入間しゅか
入間しゅか
さんへ
(2023-06-06)

ありがとうございます。子供頃を思い出すと純粋になりたかったとよく思います。

0
入間しゅか
入間しゅか
田中宏輔さんへ
(2023-06-06)

ありがとうございます。ふってきたフレーズをそのまま膨らませました。

0
妻咲邦香
作品へ
(2023-06-06)

透明って途中からひびだらけになって見えなくなるよね。あれは割れやすいからなのかなあ。一度砕けちゃうと消えてしまう。透明は見えている。でも砕けたら見えなくなるんだ。さびしいと思った。

2
入間しゅか
入間しゅか
羽田恭さんへ
(2023-06-07)

素敵な返詩ありがとうございます。私の詩から詩をつくっていただけるなんてとても嬉しいです。

0
福まる
福まる
作品へ
(2023-06-07)

私は(透明と言う存在が充実している)と思いました。この詩はとても存在感があって充実していると思います。

1
ツチヤタカユキ
ツチヤタカユキ
作品へ
(2023-06-07)

透明の充実に幸あれ

1
入間しゅか
入間しゅか
妻咲邦香さんへ
(2023-06-08)

ありがとうございます。透明は割れやすいって表現いいですね、どこかで使ってみたいです。

0
入間しゅか
入間しゅか
福まるさんへ
(2023-06-08)

ありがとうございます。透明はそこかしこにいますからね。存在感は抜群ですよ。

0
入間しゅか
入間しゅか
ツチヤタカユキさんへ
(2023-06-08)

ツチヤさんにも幸あれ

0
こひもともひこ
こひもともひこ
作品へ
(2023-06-09)

ごちそうさまでした。 死んだ犬を掘り出してみると毛だけが残っている。不毛ではない、けれど骨や肉という身体はなかった。 血が通い生きているから蚊に血を吸われてかゆくなることの挿入もいいです。

1
コーリャ
作品へ
(2023-06-09)

こうキラーフレーズをタイトルと書き出しとオチでしか言わないってのがニクくてカッコいいですね

1
入間しゅか
入間しゅか
こひもともひこさんへ
(2023-06-10)

ありがとうございます。掘ってもほっても毛ばかりでした。そうですね。生きてるからこそ血を吸われたんです。

0
入間しゅか
入間しゅか
コーリャさんへ
(2023-06-10)

ありがとうございます。フレーズが浮かんだ勢いで書いたところはあります。かっこいいと言ってもらえて嬉しいです。

0
光英生
光英生
作品へ
(2023-06-21)

「透明」がきれいで心地よかったです。

1
入間しゅか
入間しゅか
光英生さんへ
(2023-06-23)

ありがとうございます。そう言って貰えて嬉しいです。

0
エイクピア
作品へ
(2023-07-10)

痒みの記憶がこの詩のテイストなのかもしれません。 「触れられないものばかりを 触れようとする無数の手」 こんなところは、まるで無数の手によって死んだ犬があの世へ送られて行くようで、印象的でした。詩読者の想像力にゆだねたのですね、具体的な状況は。

1
入間しゅか
入間しゅか
エイクピアさんへ
(2023-07-10)

ありがとうございます。 そうですね、想像の余地を作ろうと思いできるだけ説明を排して書きました。痒みの記憶とはいい表現ですね。

0

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