落ちる水にのって
上を見ている
一面の青
少しぼやけて
薄い空が
少し透けている
赤松の
捻くれた枝
とがった先から
昨日の残り雨が
そっと岩を叩く
ぱちん
ぱちん
つぶれて
春の子猫は
死にやすい
風ばかりある
切られた爪は
誰でもない
膨らんだ水が
眼球で
はじける
ひっくり返った世界が
流れ出して
吸い込まれてゆく
溺れることをやめると
ゆっくり
沈む
すべてがあるから
引き合うものもない
欠けた場所を探す
砂漠もない
背中がさっと冷えて
小さな虫が
手の先から
ざわざわと
集ってくる
ちっぽけな牙が
背骨にがり、と
突き立てられると
ふっと
体がひきつり
世界は
吐き出されてゆく
からっぽのはらわたを抱えて
浜辺へゆくと
打ち捨てられた
わたしが
いる
作品データ
コメント数 : 8
P V 数 : 1357.7
お気に入り数: 1
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2023-05-08
コメント日時 2023-05-14
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
閲覧指数:1357.7
2024/11/21 23時17分21秒現在
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こんにちは。 全篇を通して、空虚感あるいは虚無感の漂う詩ですね。 足りないものはないのに何故か満たされない。 何も欠けていないことで、かえって溺れて沈んでまう。 そんな感じがします。 それが反転した世界ということなのでしょうか。そんなふうにも受け取れます。
1寂しさというものを書きたいと願っているのかもしれませんね。
0久しぶりにこの作者のおそろしさというか、良い意味でのやばさを感じる作品。私が言及してもあまり説得力がないけれども技巧が地味ではあるけれどギリギリを攻めてますよね。その語りの語句をカットしても崩さない可読性と最終連までのプロットが「情念の物語」としてある。それはこの作者の持ち味であり、真剣な刀を抜いてきてんなあという読後感。カタルシスフェチな私が何度か読み返してみたくなるのだから、けっこうその辺りはいい出色。反転というカタルシス。
1技巧的であればあるほど、それを表に出すのは、言い方は良くないですが、野暮というものなのではないかと思います。
0>ひっくり返った世界が >流れ出して タイトルを「反転」として、この言葉を書いてしまうのは少し残念な気がしました。 1連目、降る雨にのる視点が面白いですね。 とてつもない浮遊感だと想像します。 (二つ目の「少し」は削った方がすっきりするような気がしました。個人の勝手な感想です) ところどころに現れるいくつかの水の球体らしきものと話者との関係性が少し弱いかもしれません。 >わたしがいる 結句なので強さとこだわりを感じるところですが「わたしがいた」もありだなと思いましたが、よくよく読んでみたら話者が亡骸で自分の本体を見つけたということなのでしょうか。 ここにも反転があった、という読み方もできますね。
0確かにタイトルに芸がないと思います。落ちてきた水が海になるという流れにのせて、内面と視界が入れ替わる構造をとっているので、読み方によってはそうも読めますし、関連性が見いだせないならそうです。
0短いかなと思ったけれど、この詩の言葉にはどれも必要性を感じました。私には、詩の意味は分かりませんが、堂々詩、然としている姿には、氏に読ませるだけの筆力を感じます。 私はこの詩の視覚的な面を推します。
0わたしのやり方でしかありませんが、これは削って削って作られています。最小要件を探しているのですが。
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