台所のような場所は
だいたいいつも真っ暗にして
灯りをつけるのも憚られる
あなたの影を見たくないから
あなたのやさしさやみにくさを
分かち難いまま葬っておきたいから
食べなくても
飲まなくても
洗わなくてもいい
僕は部屋にいて
小さな灯りだけつけて勉強している
書物を読みながら
時々ところどころマーカーする
まるでそうして口を糊するかのよう
浮かび上がる大切そうな箇所
経営者も労働者も研究者も持ち合わせている
キーワード志向の一種だろう
半ばこの方法を蔑んでいる
出世したいわけではない
ただ勉強が好きなだけ
すると成功がついてきたが
成功は己を図太くするばかりだと思った
いつでも言えることがある
一生はずっと戦争だってこと
だから
あなたの悲しみに寄り添うことが
できなかった
あなたを大切にする時間を
つかまえることができなかった
依然としてキーワードに線を引いている僕
簡単で効率的な学習方法
或いは仕事術
でもそれは
「あなた」という科目を解決しない
あなたのどこにも線など引けるものか
あなたの名を呼んでも
すぐに消えるのだから
作品データ
コメント数 : 13
P V 数 : 1369.9
お気に入り数: 1
投票数 : 6
ポイント数 : 6
作成日時 2023-03-03
コメント日時 2023-03-13
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 3 | 3 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 3 | 3 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 6 | 6 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 3 | 3 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 3 | 3 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 6 | 6 |
閲覧指数:1369.9
2024/11/21 23時24分23秒現在
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そういえば本に線って引かなくなりましたね。 実用書を読まなくなったからでしょうか。 人間の一点は切り出せませんものね。 いわんや想う人は。
0お読みくださりありがとうございます。 本を読むにもいろいろな読み方があると思います。私はどんな本でも線を引いて勉強してしまうもので。たまに驚かれます。 人間の一点は切り出せませんね。本当に。
1お読みくださりありがとうございます。 一生はずっと戦争。生き方は繊細さを求めているのに。 私たちはその求めに従うこと叶わず、効率の方に傾いてしまう。 悲しい。
0言葉ちゅーのはむずかしいですね。門のないとこに鍵をつくるし、鍵のないとこに門をつくる場合があるちゅぅ気がするよ。うん。ぼくがおもうにタイトルが好きではないな。キーワードじゃ個人的に好きになれないっす。ぼくのことなど知らんがなですけどね。
0お読みくださりありがとうございます。 「向上心はもちろん立派」。そうなんですよね。向上心が実人生を支えますが、これはたぶん効率を志向すると思われます。でも、大切な人や物事を失わないように、木目細かな生き方ができれば。 キルケゴール、この哲学者も、人間の木目細かな生き方のことに思いを寄せていたのではないでしょうか。実存ということを思うとき、私にはそんな気がします。
0お読みくださりありがとうございます。 昔、就職活動をしましたが、とある会社の面接に行ったところ、その会社の経営者と面接することになって、その経営者はぺらぺらと散文にしても無価値に思えるような話を聞かせた後、「さて、これまでの話の中に、キーワードがいくつか出てきた」と述べました。私は心の中で笑ってしまいました。 なので、この拙作のタイトル『キーワード志向』は、この体験を踏まえた一種のジョークでもあります。さあっと受け流していただければそれでよしです。
0あなたを戦争に巻き込みたくない優しさがあってかっこいいと思いました。
0お読みくださりありがとうございます。 「戦争」、我々の人生も同じで、一度始まってしまえば生きるために進まなければならない。そこに意味を見出す場合もありますが、その途上で犠牲にしたものや、置いてゆかざるを得なかったもののことを思い出す瞬間が必ずあります。自分の都合だけ考えて切り捨てたものや、守るつもりで背後に置いたはずがいつの間にか離れていってしまったもののことを思い出す。立ち止まって顧みるやさしさはあっても、もう戻らない。人生とは、人生そのものを充実させると同時に、人生そのものから大切な部分を失ってゆく過程なのかもしれません。どこかで聞いたような月並な見解ですが。
1勉強と科目で繋げてあって、物悲しさが溢れている詩だと思いました。
0お読みくださりありがとうございます。この拙作には私の理屈っぽさとノスタルジックな傾向とが混在していると自分では思っています。次の作品を制作中なのですが、これもそういう作品になると思います。どうしても理屈っぽさとノスタルジックなムードが抜けないんですよね。よければまたよろしくお願いいたします。
0受験戦争とか交通戦争と言う言い方は昔ありましたが、一生は戦争と言われれば、他にもありそうです。積み木崩しみたいな発想では、家庭内の事でも戦争と言い得るでしょう。もしかしたらこの詩は父と娘の状況を暗示しているのではないかと思いました。あまりない組み合わせなのかもしれませんが、そう考えると氷解する側面が有ると思ったのですがここは常識的に男女の恋人同士ととっておくほうが穏当だと思いました。「あなた」と言う科目に注目しました。軽く扱っているとも取れるのですが、重さ、重要さの裏返しで有ろうと思いました。勉強法に引っ掛けて、「あなた」との距離を縮めたがっていたが、うまくいかないのでこの詩が書かれたのかもしれません。
0受験戦争とか交通戦争と言う言い方は昔ありましたが、一生は戦争と言われれば、他にもありそうです。積み木崩しみたいな発想では、家庭内の事でも戦争と言い得るでしょう。もしかしたらこの詩は父と娘の状況を暗示しているのではないかと思いました。あまりない組み合わせなのかもしれませんが、そう考えると氷解する側面が有ると思ったのですがここは常識的に男女の恋人同士ととっておくほうが穏当だと思いました。「あなた」と言う科目に注目しました。軽く扱っているとも取れるのですが、重さ、重要さの裏返しで有ろうと思いました。勉強法に引っ掛けて、「あなた」との距離を縮めたがっていたが、うまくいかないのでこの詩が書かれたのかもしれません。
0お読みくださりありがとうございます。私たちの人生、戦争みたいで、顧みられるべきことをどうしても捉えきれずに前進せざるを得ない、ここにある悲しみを書いたのが一つです。「あなた」という科目、大変に難しい科目だと思います。「あなた」は恋人を念頭において書きましたが、もっと「あなた」を大切にできるのではないかという疑いと悔しさが伝われば、この作はいちおう成功したと思っています。もっともっと、一度きりの人生から貪欲に汲み上げていきたいです。
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