別枠表示
シャボン玉のゆくえ
晴れた空に シャボン玉が飛んでゆく 大きなシャボン玉を作ろうと ゆっくりながく 息を吹く ストローの先で ぱしゃんと割れて 無くなった たくさんのシャボン玉を作ろうと すこしいそいで 息を吹く 小さな泡が次から次へ 風に乗って 舞い上がる 二階のベランダに干された布団と そよぐ洗濯物に触って 消えた シミひとつ残さずに 居間の子どもはサイダーを ストローで吹いて遊んでいる 隣の家のお姉さんは 泡風呂の泡を背中で潰す音に 酔いしれている 駐車場の猫は車のしたで じっとシャボン玉を狙っている 私はそれを知っている (早く出てこないかなぁ) 壊れないシャボン玉を作ろうと 砂糖をいれてみたいけど 食べ物で遊ぶなという 父の剣幕があまりにも鋭くて 道の向こうまで飛ばされて 見えなくなったシャボン玉は 壊れることを知らない その行き先は ずる休みをして母と行った遊園地 観覧車から街を見下ろす 日常から抜け出したひとときのなか 湖に沈む夕日に背を向けて 小さなアパートをずっと探していた あと半周で終わる夢に 最後まで浸っていれば良かったのに 揺りかごのような 帰りの車の中で 酔う前に眠りについた ああ、もうすぐ日が暮れる シャボン液は吐き尽くした 布団を取り込んで 夕飯の支度をしなければ
シャボン玉のゆくえ ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 972.2
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-12-05
コメント日時 2017-12-30
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
投稿ありがとうございます。食べ物で遊ぶなという父と、ずる休みを気にもしないで遊園地に連れて行く母、それぞれの親との距離感が表れているところが印象に残りました。今後ともよろしくお願いします。
0三浦さん有難うございます。感想を纏めるのにもだいぶ時間がかかってしまうので、細々とですが参加させて頂ければと思います。皆さんのレスを読んで気づくことも多いです。どうぞ宜しくお願いします。 家族の均衡ってこんなふうに保たれていたのかなぁと、ふと思いました。
0〈大きなシャボン玉を作ろうと〉していた子供時代の想い出が、いつのまにか 〈シャボン液は吐き尽くした/布団を取り込んで/夕飯の支度をしなければ〉と、現在の大人の視点に変わっている。不思議な時空を旅した感覚がありました。 泡、でつながれていく連想・・・強権的な父のイメージも垣間見え・・・夢の代名詞であるかのようなシャボン玉、隣家のお姉さんの泡風呂・・・サイダーの泡を吹いているのは、大人になった語り手の子供、で、隣家のお姉さんへのイメージは、子供時代の語り手のもの、なのか・・・このあたりが、なんとなく錯綜している感もあります(もっとも、ここを整然と整理してしまうと、直線的な流れになり過ぎて、ふくらみが出ないかもしれないですね) シャボン玉(夢)の行方は、こっそり出かけた遊園地。観覧車が回るイメージは、人生が回る(終焉を迎える)イメージに重なっているのでしょう。 過去の思い出と今の風景とを重ねながら、当時の想いに浸っている、そこで留まってしまっている、という物足りなさ、のようなものも、少し感じる作品ではありました。全体に淡い思い出をコラージュしたような印象があります。つなぎ目がとてもスムーズで・・・和紙のちぎり絵とか、水彩のぼかしのように、輪郭がぼかされているので、曖昧さの中に心地よく取り込まれていく余韻が残りました。
0一読して、ため息が出ました。すごい。ああ、凄い。童謡(?)の「しゃぼん玉」僕は好きなんですが、この詩の方がもっと好き。ここまで書く事が、重ねる事が、展開させる事が出来るんだなぁとため息がでました。
0まりもさん 語りすぎるととても説明的に感じてしまうのでなんとか回避しようと試みるのですが、難しいですね…。 それをうまくやってこそ、詩が成立するのだと思うのでこれはもう私が努力するしかないです。 今後の課題です! この、子供、お姉さん、猫の部分はある意味、全ての文章やワードに意味と伏線を持たせなければならないのか? 実は意味のない、作品全体を演出するための小道具的な表現は必要ないのだろうか?とかなり悩んだ部分でもあります。 ご指摘のとおり、これは私の回想を脚色して書いたものです。そこから抜け出す先がもっと必要だったかもしれません。 今回も丁寧に読んでいただきありがとうございます!! 百均さん 童謡より好きとおっしゃっていただき、大変恐縮です!! ありがとうございます^^!
0今晩は、 感想です。 この作品、ムービー形式でできていて、作者さんは(夕食の支度を始めるまで)、一定の位置で回想をなさってますね。 >大きなシャボン玉を作ろうと >ゆっくりながく 息を吹く >ストローの先で >ぱしゃんと割れて >無くなった >たくさんのシャボン玉を作ろうと >すこしいそいで >息を吹く 私なんかは、この部分から、 限られた時間をいかに楽しめるかな?というある種、子供時代にはなかった知性の動きを感じて、ああ落ち着いていて素敵だな、と思いました。
0幸せな感情と、侘しさを感じました。 とても綺麗で、素敵な詩だと思います。
0渚鳥 sさん お読み頂きありがとうございます。 私はこのシャボン玉という行為で、いかに楽しむか、いかに理想の景色を作れるか、と日々考えています。冒頭の部分を引いて下さってありがとうございます! うたもちさん お読み頂きありがとうございます。 綺麗で素敵とのコメント、とても嬉しいです!ありがとうございます。
0