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空をひらく
空をひらく さわれはしない、その、はしとはしを おしていく ひらく、青をのばしていく まさつが飛行機雲 を のばしていく すれ、かすれた、すいじょうき が水 のあとをひいていく 空をひらく、かわ、カわ、川 ひいていく ひらいていく、空を、空を、、、 土の上に立って 何度も何度も 何度も同じことを言う 空、そう言う 空、君が隣にいて 空、君が水に映って 空、きみが水にうつって 空、水が透いて 空、きみはいなく、水 空と水 空、水 空は空、水は水 何度も零れでる、この とおとろじいを、ひらく 何かがここから 空の隙間に、喪われたから、 カら、空、、、 ここに何か あっただろうか、あるだろうか 空に、水に、何度も爪立てて 何か刻んだだろうか 何か傷つけただろうか 何か、なにかを 降りそそぐ夜に、朝に 喪いながら 忘れ、覚えながら 空をひらく、ひらいていく 青がかすれ、 あの、水、のびていく とどまらない あの時のあの水、みず みずからの とおとろじいに うばわれながら ひらいていく うばっていく、何も、なんども ひらく、すんで、また、うつし、ながら 空、 穴 工、 宀 八 工、 そら、 そ、ら、 そ……ら…… そら
空をひらく ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 945.7
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-12-02
コメント日時 2017-12-25
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
空に向かって、大きく両手を差し伸べ、左右に押し開いていくようなイメージですね。 冒頭で〈さわれはしない〉と認識しているにも関わらず、空、という得体のしれない、大きなものに向かって、能動的に関わりたい、そうせざるを得ない、そんな衝動が能動性となって表れているように思います。 体言止めで言い切り、改行の冒頭に助詞を置く。文体に不自然さを与えかねない技法ですが、この場合は、~く、と脚韻を踏むように続く文体に、適度なアクセントを与える効果があると思いました。 トートロジーとは、何か・・・言葉を重ねていくことによって、麻痺していく感覚と、畳みかけていく強調や心理的切迫感とのバランスの問題なのかもしれない、とも思うのですが・・・ ひらいていく、ものは、「そら」なのか、あるいは「くう」なのか。二人の間の空白、空間、そのものがテーマなのか。水に写る鏡像、イマージュだけはそこに揺らめいているのに、〈君〉は、そこにいない。〈空の隙間に、喪われたから、〉その喪失の切実さと、君、の存在感の稀薄さ。 〈空に、水に、何度も爪立てて/何か刻んだだろうか/何か傷つけただろうか〉 無意識のうちに、あるいは未必の故意的に、誰かを、何かを傷つけているのではないか。その問いかけが、〈空〉を開いてでも、何かを確かめたい、という衝動に繋がっている、ような気がしますが、全体に心象や映像どうしの映り合い、映り込み・・・いわば、反映の連続のような曖昧さも残ります。 トートロジーとは、創作に対して、あるいは詩に対して、どのような意味を持つのか、という観念的な問いかけが、背後にあるからでしょうか。 〈あの時のあの水、みず〉に含まれる自ら、あるいは、見ず、のイメージ。空が内包する、上の空、そらごと、のイメージ・・・分解していけば、穴、が現れる「空」。だからといって、文字を分解したところで、何かを掴めるわけでは無い。言葉を綴っていく上での焦燥感に、〈きみ〉(具体的な人物というよりは、なにかの象徴としての対手であるような気がします)の像を捉えられそうで捉えられない焦燥感が重ねられているようにも思いました。
0まりもさん コメントありがとうございます。 「空、という得体のしれない、大きなものに向かって、能動的に関わりたい、そうせざるを得ない、そんな衝動が能動性となって表れている」、ということですが、おそらく、この主題がこの詩を読む上で、重要になってくるのではないか、と事後的にですが感じています。「空」、「水」という言葉を何度も繰り返すことで、形のない何かに迫ろうとする、そうした、ある意味で実態のない言葉への執着のようなものが、この詩の根本にあります。 その上で、「空」という字を「ひらく」わけなのですが、それは、「空」という感じを(平く、という意味合いですね)意味の薄められたひらがな表記に直していく、ということと関係があります。「空」という意味的に硬いものを、分解していく、ということでもあります。なので、「空」を「くう」なのか「そら」なのか、という疑問を提出してもらえたこと、また、「空」を分解すると「穴」が現れる、と言っていただけたのは、非常にうれしかったです。 そうした要請があるために、この詩においては、ひらがなが多いのですが、そのためにある種、詩全体のイメージが、柔らかいものになってしまう、というのはあると思っています。そのため、「焦燥感」を主題に読み取っていただけたことにはなんとなく、安心感のようなものがありますね。 改行の技法にも効果がある、と言っていただけて嬉しいです。名詞が前傾してくる感じだとか、内在律だとか言ったようなものを入込みたかったのです。 「君」の存在感の希薄さ、は、そうですね。ある種、失ったものを追い続けることの空虚さ、とでも言いましょうか。「水」、「空」という、イメージの中でしか、「君」を求められない、という主題を織り込みたかったのです。
0空を無理矢理こじ開けているようで、子供の遊びを見ているみたいです。他人がレゴブロックで作った塔を壊していくみたいな感じ。感覚というよりは理屈でという感じです。子供と喩えたのは皮肉ではなくて、ちょっと暴力的な所ですかね。結構所所力業で、粘土をこねくり出して何か引きだそうとしていますが、漢字を解体した所で終わっていってしまっていますね。「君」を求められないというのをそこに付け足すと、多分更に意味が映えてくるのかな。君に触れられるならなんだってやれる。のかなぁ。なんかまだ先がありそうですね。空から落ちてない。
0百均さん、コメントありがとうございます。 そうですね、空をひらく、という動きは、柔らかそうに見えて、結構暴力的な動作であって、全体にそういう気配をしのばせたかったというのはありますね。 (ひらく、というのは、漢字を平仮名にする、の意味でもありますしね) 空から落ちてない、という指摘がすごく的を射ているように思っていて、なんですかね。もしかすると、空を開いた後の空漠のようなものにもっと向き合わなければいけなかったようにも思いますね。
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