百日目の朝 - B-REVIEW
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百日目の朝    

長く辛い夜だ。 今は九十九日目の夜。 この箱の中で、綻んでできた穴から光が差し込むのを待つ九十九日目。 私は再三聞かされた金言もタコを突き破っても聞かされた脅迫的な教訓も、無駄にした。 なので私には本来ならば箱にすら居てはいられないのだが、今もこうして私は箱にいる。 どうしてだろうか。それはある日の嵐の夜だった。つまりだ。 幸運の暴力ともいれる突風が箱を私に叩きつけて施しを与えたのだ。 私は非常に情けないが、人並みのプライドと命の特性である「死にたくない」を持っている。 だから私には自殺などはできずにこうして何かの拍子にやってくるものの恩恵を、みっともなく受けて、 尊きの最後の砦である命を私の中で絶やさずに燃やし続けているのだ。 しかしどうだろう。私はとうとうというべきか、空腹に死にそうである。 というのも私には、昔からだが、やる気がなかった。 さらに正確な翻訳と意訳を挟むならば、私には私のヴィジョンは必要だとは思っていなかったのだ。 人の人生といえど、レールといえど、結局のところ決を決める人数は決められている。 それはずっと起こるイベントで一定人数や特定人物ばかりにならないにしろ、誰かが結局のところ決めるのだ。 だから私は何も感じず考えず失わず得ず、ついには自身の命に敬意すら払えぬままにこうしてボロ箱の中で空腹に苦しんでいるのだ。 百日目の朝とはそんな私が死んでこの体が誰かに処理される日のことである。 体温は失せて思考は捨てて思想もとうの昔につぎはぎになったのでどうでも良くなり、果てに果てた先の姿は、人でなしの悪である。 悪とは正しくないものであり、正しくないものに栄などないのだ。 べきで私は死ぬではなく、そうあってなお正せないから死ぬのだ。 私が人の記憶を風にさらわれた頃に空は白み始めた。 百日目の朝。 この世でまた私は命を腐らせるのだ。 そして私はそれでも悪なので、またこの世に生まれた赤子に取り憑いてはその人生を台無しにするだろう。 この百日目の朝は幾度となく繰り返される悪の滅亡の朝だ。 正義は私に勝てず、悪は私を栄えさせることはとうとうできなかった。 さらば正義、さらば悪よ。 私は人類全てに取り憑くものだ。 百日目の朝はその長いわかりきった結末の途中経過の終わりの光である。 光が私の全てを包んだ時。悪は滅びた。 これら生まれてくる子供たちには奇跡が与えれた。 それは、悪のいない世界である。


百日目の朝 ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 4
P V 数 : 1087.3
お気に入り数: 0
投票数   : 1
ポイント数 : 0

作成日時 2022-11-19
コメント日時 2022-12-10
#現代詩
項目全期間(2025/04/10現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
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閲覧指数:1087.3
2025/04/10 13時26分41秒現在
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    作品に書かれた推薦文

百日目の朝 コメントセクション

コメント数(4)
つつみ
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(2022-11-19)

すごく好きな感じなのですが、後半、百日目の朝について語りすぎている感があって、 >体温は失せて思考は捨てて思想もとうの昔につぎはぎになったのでどうでも良くなり、果てに果てた先の姿は、人でなしの悪である。 ここで終わっていたら、よかったです。百日目の朝について、私も色々と考えてみたかったと思いました。

1
ロクデナシ
ロクデナシ
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(2022-11-29)

0
勉強します。ありがとうございました。いろいろと迷惑をかけました。
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(2022-12-01)

百日目でこんなに意気込んでたら、百一日目はどうすんねん。

1
よんじゅう
よんじゅう
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(2022-12-10)

タイトルは百日前でいいようにおもう。何かを書くとき表したいとき書かなくてもいいことや表さなくてもいいことを考えるのもおもしろいもんですよ。百日前、一日目も百一日目も書けます。

0

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