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ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



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生活    

  日増しに情熱は失われていきます。失われたときを求めて、僕は今朝もキーボードを叩いているのかも知れません。こころが膿んでいます。窓から見える景色はいつも同じように思えます。こころが膿んでいます。風邪薬のルルを三錠飲みました。それから川を見にいきました。幻聴なのか、草々の音がハーモニーになりました。精神的吐血をしてしまいそうでした。否、しました。草々も病んでいました。私は一人ではありませんでした。日といっしょでした。大きな絆創膏がほしいと考えて、なぜか図書館に向かいました。司書さんは清潔で、こころ洗われました。洗われ過ぎて、胸が痛いです。  わたくしは細胞に呼びかけます。図書館のベンチで、丹田式腹式呼吸法を行いながら、全身の細胞に呼びかけます。体が竹になったり、卵になったり、煙になることを楽しみます。緩やかなカーヴを曲がってコンビニエンスストアに向かいますが、ほしいものは何もありませんでした。坐り足らなかったかな、と思っている間に一日のスピードは早くもう11時45分です。母が昼食の用意を済ませて下さっているころでしょう。解毒中のわたくしは木陰でタールを吐き出しました。ついでに血も出ました。母に是を知られる以上の怖ろしさはありませんでした。  帰宅後、昼食のパスタを食べ、牢でもある寝室に入りました。パソコンを立ち上げて今日あったことを今ライティングしています。ここはとても埃臭く寒いです。朝の労働で体はボロボロだったので、少し眠ることにしようかと思います。ベッドに横になっても、涙は涸れて出てきません。ボスカフェラテを飲み干してその甘味に酔いしれながら、ええ、そうです、最近は缶コーヒーにさえ酔ってしまうのです。青白く、少し痛んだ指でキーボードを叩くと脳に良さそうだな、と考えます。ざらついた紙へ心象を書き落としていくのも悪くはないのですけれど。  慎重にギターを弾きました。このギターには一弦が張られていません。妹がバレーコードという大変なコードの押さえ方を練習する為に一弦を取り外してあるからです。ギターを弾いていると、頭が川に流されていく感覚になります。もう帰ってこないものが一番うつくしいと思えるのです。想起される草々は現実と等しく病んでいました。病んだ上で白い花を咲かせていました。その花はどんどん頭の上から放流され川の流れにとおく消えてゆくのでした。私は何かを得る為に何かを失わなければならない、とは考えないものです。わたしは生産的な人間で反生産を標榜するものでもありません。いつかひとの役に立てる日を夢見て日々無為でも生きているのです。嗚呼、唇より少し血が流れる。こんなガラクタな体であったなら、無償の愛として社会に投げ出してもいい。嗚呼、まだ戦いの日々はつづいていたのですね。情熱ではありませんが、こころにきらきらしたものが光るばかりです。  


生活 ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 2
P V 数 : 908.2
お気に入り数: 1
投票数   : 0
ポイント数 : 0

作成日時 2017-11-27
コメント日時 2017-12-08
項目全期間(2025/04/16現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
可読性00
エンタメ00
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音韻00
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閲覧指数:908.2
2025/04/16 21時13分37秒現在
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    作品に書かれた推薦文

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コメント数(2)
まりも
(2017-11-30)

生活、せいかつ と読むのでしょうけれど、なりわい、と読ませたくなりました。 情熱が失われていく・・・この一行目に、ドキリとさせられます。 雨に現れたように、まっさらに輝いている瞬間が、子供の時は沢山あったはずなのに・・・窓ガラスから差し込んだ光が、細かな埃を光らせている、その景に息がつまるほどドキドキしながら、みいっていたときがあるはずなのに・・・あらゆるものが、埃を被って、濁っているように見えるのは、なぜなのでしょうね。 昭和初期の小説のような、懐かしさを感じる語り口調に、すうっと最後まで読んでしまいましたが、2連目の想像力の世界への逃避の部分が、後半の日常生活の中に取り込まれていったら、体が病んでいるような、世界が病んでいるような感覚が、少し異なったものとして見えてくるかもしれないと思いました。

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百均
(2017-12-08)

毎回こういう事を思うたびに、それ以外の感想が出てこないのか、とか自分でも良く思うのですが、気持ちの分かる作品だと思いました。この作品の肝みたいなのは >わたしは生産的な人間で反生産を標榜するものでもありません。いつかひとの役に立てる日を夢見て日々無為でも生きているのです。 ここにあるのかなと思いました。思いました。そして思ったという事は僕もそう思いながら生きているのですが、現状中々出来ていない訳で、毎日中々屑に生きています。そして、このですます調そのものがなんというか、自分がそういう手段を作品に持ち込んできた経験から言ってしまうのですが、ここに描かれた敬意っていうのはどこに向かっているのかと言うこと。ある意味で、ここに綴られた敬意はこの独白を聞かせている読み手に向けられているようにも思えます。それはこの作品を読み手に読み聞かせる様な感じになる。そして、ここに綴られた生活というのか、そういう物を読み手が受け取った時にどうすりゃええねんみたいな感じでもあるわけで、それを逃がさない為の敬意みたいな感じで僕はよく使ってしまう。 この作品に綴られた生活を読んで、例えばひとつひとつの表現の中に見え隠れする物を受け止める事が正解なのか、それとも受け流すべきなのか、あるいは心を痛める事が正解なのかは分かりません。それはおそらく読み手の社会的なステータスによって異なるようにも思えます。 という所で読んでしまうと、僕にとってはこの作品は中々つらい所があって。これ以上は評にならないのですね。個々の表現を見ていった時もどうしても自分に引っ張られて締まって例えば、 >大きな絆創膏がほしいと考えて、なぜか図書館に向かいました。司書さんは清潔で、こころ洗われました。洗われ過ぎて、胸が痛いです。 >ボスカフェラテを飲み干してその甘味に酔いしれながら、ええ、そうです、最近は缶コーヒーにさえ酔ってしまうのです。青白く、少し痛んだ指でキーボードを叩く と脳に良さそうだな、と考えます。ざらついた紙へ心象を書き落としていくのも悪くはないのですけれど。 ここら辺なんか、僕も結構やるんですよ。今朝の5時ですが、景気付けに缶コーヒーをアパートの隣にある自動販売機に良く買いに行きます。色々詰まってくると高い缶コーヒーを買うんですね。そして、最近僕は筆ペンで良く書くんです。ネット上で書く事に対して、最近ちょっと熱が落ちてきた事もあって、その気持ちの一部分が此処にあるわけです。こういうの見てしまうと、要は客観視できない。正に僕の生活と重なる部分がそこにあるし、そしてその重なる部分と重ならない部分というのも確かにあるわけですね。例えば >緩やかなカーヴを曲がってコンビニエンスストアに向かいますが、ほしいものは何もありませんでした。  僕だったら、多分何があってもコンビ二に入ったら欲しい物があるんですよ。みたいに思ってしまう事は、もうそれは批判でも批評でもなく、単純に生活の違いでしかない。そういう風にしか思えない程、僕にとってこの作品は身近であるという事です。

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