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火
煙草の灰が 隣の男の服についてしまうのを 見て、見逃した ポケットにしまったライターから 火が噴き出して 男の怒りがなくなるような出来事が起きないかと 妄想は噴火する 喫煙所を避ける 左肩を掴まれて 引きもどされた時に 青い火をみた 「財布を落としましたよ」 と言われて、鎮火する一瞬の太陽 「ありがとうございます。ごめんなさい」 と言われて怪訝な顔をする男の背広には まだ陽だまりが顔を出している お願いだから火が消えてくれますように 誰の心も揺れ動きませんように 崇め奉る 崇め奉る 崇め奉る 背広の裾を払う男の顔には なんの火も孕んでいない 虚しさが広がっていた 顔を上げた俺の頬に 痛みを与えてください 火を与えてください 頼むから俺の事を燃やしてください ★ 煙草の火を吸って 煙を吐いた時に 煙の矛先が見える 猛獣の形をした 冷静な幽霊が 誰にとりつく事もなく 俺の事を包んで灰にしてくださいと 床に落ちそうになった灰を 右手で掬って握りつぶそうとしても 風が吹き、隣の女の靴についた 火は同じなのに 同じ変化をもたらさないのね と、言われた気がしたんだ
火 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1372.5
お気に入り数: 2
投票数 : 2
ポイント数 : 16
作成日時 2021-10-19
コメント日時 2021-10-21
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 5 | 5 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 7 | 7 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 3 | 3 |
総合ポイント | 16 | 16 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 5 | 5 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 7 | 7 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 3 | 3 |
総合 | 16 | 16 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
あっなんか渋いですねこれは 灰が飛んで最初は男について 最後に女につく なんだか優しいね 人間みんな繫がってる そんな読後感でした それにしても百均パイセンにしては渋いなと だんだんパイセンもオジさんになってる証拠ですね(?
1✭星のマークから単純に“セブンスター”だったと思えますし、同じ黒い星の下に集う喫煙者同士の意識のつながりや五芒星などの魔除けにも見えますが。しかしこの状況はビビりますね…青い火は中心の高温部をイメージしますが。 火のアナキズムと意識の揺れと煙の化身の獣など。狭い部分での日常のちょっとした出来事ですが、私も愛煙家でもあり興味深く読みました。公共のスペースよりは路地のすき間などを探して怪しげにくゆらせたい派ではありますが。 日常で火を扱うことについては以前から思うところはありますね。喫煙意外で扱うことがまず皆無ですし。崇め奉るといった詞も気になりましたが、自身から発せられるような機会もまずないものですね。
1コメントありがとうございます。 久し振りですね。 >あっなんか渋いですねこれは 渋いってコメント読んで、鈴屋さんの名前を思い出しちゃいましたね。それで、なんとなく検索したら煙草が一杯にモチーフに出てきちゃってね。なんか、冬の散歩って作品だったんですけど、なんか高校生の時は全く読めなかったし良さっていうか、何が書いてあるかわからなかったんですよね。それがなんかすごく身に沁みちゃってね、みたいな感じですね。何言ってんだろって感じですが、コーリャニキじゃないとわからんかもなって思ったのもあるし、コーリャニキに読んでもらえてマジで良かったです。ありがとう。鈴屋さんがなんかちょっとだけよめるようになったよ。 >灰が飛んで最初は男について 最後に女につく なんだか優しいね 人間みんな繫がってる そんな読後感でした 人の優しさって許してくれることなのかな。許してくれるように崇め奉る事なのかな。わからんけど、意図なく繋がっちゃいますよね。その恐れと、それがもたらすものみたいな関係の在り方みたいな部分で最後に女につけちゃったのかもなと思っています。最後のラストは書いた後、ちょっと迷ってたんですけど、書いてよかったかもしれないですね。 ありがとうございました。
1コメントありがとうございます。 お久しぶりですかね。 >✭星のマークから単純に“セブンスター”だったと思えますし、同じ黒い星の下に集う喫煙者同士の意識のつながりや五芒星などの魔除けにも見えますが。しかしこの状況はビビりますね…青い火は中心の高温部をイメージしますが。 ああ、なんか★にしてよかったなと思いました。★マークってこの作品の繋ぎとしていいなと思ったんですよね。最近は*を使うんですが、そっちの方が灰っぽいかもしれないと今では思うのですが、でも★にしてよかった。セブンスターは今は吸ってないんですが、生まれて初めて買った煙草の銘柄です。それしか知らなかったというのはあるんですけど、僕にとっての煙草の象徴だなと思います。★というのが、その形以上の要素を作品に与えてくれたのだなと思うと、湯煙さんに読んでもらって本当に良かったです。ありがとうございます。気づく事ができました。俺がなぜ★を描いたのか。 >火のアナキズムと意識の揺れと煙の化身の獣など。狭い部分での日常のちょっとした出来事ですが、私も愛煙家でもあり興味深く読みました。公共のスペースよりは路地のすき間などを探して怪しげにくゆらせたい派ではありますが。 火は変化させる媒体であって火は同じだが、その名づけられ方は異なると最近知りました。「火のアナキズム」という一言はすさまじいですね。火を使う事はあれど、火を意識することはない、ましてや火がアナーキーな存在であることなど。その存在にある意味思想や比喩を託してしまう人間の営みに目が向く事はあれど、そこで目が向くのは名付けられた火ですよね。僕は喫煙所で吸うのが一番安心するかもなと思いました。なんか家の中もそうですけど、煙草を吸っていい場所って本当にどこにもない感じするんですよね… >日常で火を扱うことについては以前から思うところはありますね。喫煙意外で扱うことがまず皆無ですし。崇め奉るといった詞も気になりましたが、自身から発せられるような機会もまずないものですね。 火を扱う機会って意味だと本当にないですよね。谷川俊太郎の火って作品がこの作品のベースになっているんですが、「火をおくれ」ってフレーズが結構使われている。で、そのフレーズを感じる時って煙草しかないよね。って僕は思っちゃったんでこれをかいてみたんですよね。 という感じで全体的になんかあーなんか湯煙さんと火についての話ができたみたいで楽しかったです。 素敵なレスありがとうございました。
1タバコの火が灰を作る神秘を思いました。生じる煙の揺らめきをも。冷静な幽霊に願い、タバコとの同化を願うのか、現実と妄想のあわいにさく花。同じ火が。太陽が笑っているように思えるのは妄想なのかもしれません。
0(ふふふ)火をつけてあげますね。あなたの作品に。とても素敵な作品だから灰が風に飛んでいくのを見届けさせて下さい。
0百均さん、こんにちは。 語り手が日常のとある場面でいろいろな「火」を見る展開の詩ですね。 別にどうということもないことが「火」がでてくることで印象が変わっていくところが面白いです。 >男の怒りがなくなるような出来事が起きないかと >崇め奉る >崇め奉る >崇め奉る >痛みを与えてください >火を与えてください >頼むから俺の事を燃やしてください 僕は火というとオリュンポスの山からたしかトウシングサを盗んで人間に火をもたらしたプロメテウスを思い出します。これによって人間は火を使うようになり文明を生みだすことになって喜びますが、プロメテウスは罪を犯したために山に磔にされ鷲やらに突かれる罰を受けます。神々がもつもの、この場合、トウシングサは権力の象徴であり、プロメテウスはそれを悪いと知りつつこっそり掠めとったわけです。 だから、怒りを恐れたり、祈ったり、逆に罪悪感から罰を望んだりする。 子どもが「こっそり火遊び」して、知らなかったことを知り、大人に近づく過程にも似ていますが、それはまあ置くとして、抜粋した作中の詩文には先述したプロメテウスの話を思い起こさせました。「火」による変化・変容は死や滅亡も連想させるので、そればかりではないけれど。 語っている語り手の内部に状況を観察しながら絶えず揺れ動いている火があるように感じられ面白く読みましたが、 >火は同じなのに >同じ変化をもたらさないのね とあるように★の後半では火の温度が低く、灰だからありはありなんだけどシュンと萎んだ印象で、「火」という言葉のもつ強さに対しては全体としてアンバランスに終わっている感じがしました。
0火、てすごく古くからあるモチーフですよね。しかし、古びないというか書き手をいつの時代も刺激するようです。日常のひとコマのなかで、揺れ動く語り手の内面がよく書かれていて飽きないです。怒りの比喩としての火やライターの火、温度による色の変化などを練り込み多彩な模様にされていると感じました。 灰の移動も視点や対象が変わることでアクセント以上の効果もありますね。火の違う側面を考えたくなる作品でした。
0方向性はよい。特に「俺」の主語へのこだわりは忘れないでいてほしい。 冗長だと気がついたら思い切り削るの心がけは忘れてはならない。 書き終えた最後に天空を仰げれる人であればまだ書いてゆける。
0こんにちは。 お久しぶりですかね。 >タバコの火が灰を作る神秘を思いました。生じる煙の揺らめきをも。冷静な幽霊に願い、タバコとの同化を願うのか、現実と妄想のあわいにさく花。同じ火が。太陽が笑っているように思えるのは妄想なのかもしれません。 「現実と妄想のあわいにさく花。」といただけてなるほどなとなりました…。エイクピアさんなので、俳句で最近「鶏頭」のお題で初めて俳句を描いたんですけど、最初の5文字を記憶の火って書いたんですよね。火の着想は別の方のイメージをもらってきたんですけど、見立てっていうんですかね? 鶏頭を火の花ととらえたのは、正に現実と妄想のあわいに咲いていたからだと思ったります。そういう形で、火っていうのは火から連なる事物を喚起させる効果があるなと思います。太陽がわらっているように思ってしまうのは、正に人間の目線っていうんですかね、そういった物だと思うんですけど、その思い込みが呪力や神秘性を持って力に変わるのかなと思いました。そういう意味で、これが僕なりの火へのオードになっていたらいいんですけど、まだ意識的にそこまで書ける境地まで淡いの部分がかけてないかもなと思いました。 ありがとうございました。
0こんにちは、こちらでは初めましてですね。何気に。 >(ふふふ)火をつけてあげますね。あなたの作品に。とても素敵な作品だから灰が風に飛んでいくのを見届けさせて下さい。 投票してくれたって感じなのかな? とりあえずありがとうございます。 灰が風に飛んでいくっていうのはその通りなんですよね~。最後の部分でちょっと書いてから後悔してるのは風を入れなかった事だったりしますね。 火は変化をもたらすのですが、風はその変化を更に変化させるよねみたいな部分が多分隠れていたなと。火だねを大きくなるためには、風が必要でそれが熱風を産むのかもしれないなとか。 なんか示唆的なコメントをもらっちゃいましたね。ありがとうございました。
0こんにちは。 こちらではお久しぶりですね。 >僕は火というとオリュンポスの山からたしかトウシングサを盗んで人間に火をもたらしたプロメテウスを思い出します。これによって人間は火を使うようになり文明を生みだすことになって喜びますが、プロメテウスは罪を犯したために山に磔にされ鷲やらに突かれる罰を受けます。神々がもつもの、この場合、トウシングサは権力の象徴であり、プロメテウスはそれを悪いと知りつつこっそり掠めとったわけです。 >だから、怒りを恐れたり、祈ったり、逆に罪悪感から罰を望んだりする。 ああ、なんかこの逸話を読んで思ってこの作品に足りない部分がちょっと見えました。 煙草の火って最初煙草を吸い始めた数年前から前かもしれないんですが、火に対する憧れがあったなと。そこを書いておけばよかったな。 火を手に持った時のうれしさとか喜び、それはライターを手に入れて、トウシングサ(煙草)に火を付けて吸った時の気持ちなんだろうな。 そういう意味だと、火って手に入れた瞬間は凄く魅力的になるのに、それを持ち続ける事が弊害を生んでいくのだなと思いますね。 権力をかすめ取った結果の罰もそうなんですが、つまり革命を起こした瞬間の英雄が気持ちいいんだろうけど、例えばそのあと英雄が火を付けた時の状態は続かない、その末路が良かったって話ってあんまりない気がするんですよね。文明は火を手に入れたけど、火を手に入れた存在はその場に存在できない。 火を付ける瞬間と火をおこし続けて持ち続ける事という意味だと、俺は今後者にいて、火を習慣としてもってしまっているが、その持っている状態によって、周りの人間に被害を及ぼしてしまったということを多分これは書いているんですが、その感じとちょっとダブりました。 >子どもが「こっそり火遊び」して、知らなかったことを知り、大人に近づく過程にも似ていますが、それはまあ置くとして、抜粋した作中の詩文には先述したプロメテウスの話を思い起こさせました。「火」による変化・変容は死や滅亡も連想させるので、そればかりではないけれど。 火遊びができるのは、火がもたらす変化の結果を知らないからともいえますよね。俺の場合は初めてライターで火を付けた時で、でもそれが当たり前になってしまうと、煙草は特別ではなくやめられない習慣になり、特別な火は同じ火の形をしながら、その火によってもたらされる変化が与える影響におそれてしまうというような感じ。 >だから、怒りを恐れたり、祈ったり、逆に罪悪感から罰を望んだりする。 俺なりに翻訳すると、最初はライターでたばこを付けるという火遊びが特別だった。しかし、その行為が習慣化するにつれて、煙草がもらたす怒り、恐れ(健康被害、臭い、灰、俺の場合は両親が煙草嫌いなので絶縁されるかもという恐怖)、祈ったり(そういう状況を許してください)、罪悪感(なんで俺は火を手にしただけでそんな怒りや恐怖を予見したり、祈ったりするんだろう。俺は悪くない。全て火が悪いんだ、いや火を手にした俺が悪いのか)に塗れてしまう。みたいな感じですね。 >とあるように★の後半では火の温度が低く、灰だからありはありなんだけどシュンと萎んだ印象で、「火」という言葉のもつ強さに対しては全体として>アンバランスに終わっている感じがしました。 最期のラストは検討の余地があるのかなと思います。その点で灰についての考察が多分足りていなくて、あるいは火そのものにもっとフォーカスを当てた方がよかったかもなと思いました。灰は変化の副産物であって、火そのものではないので、多分モチーフとして近いけど別なんですよね。最後トーンダウンした、正に弱い火を描いたら別だったのかもしれないんですが、これはある意味習作として書いた部分があって、そういう意味だとちょっと脇道にそれてしまったのだろうと思います。 もう少し検討を加えてみようと思います。 丁寧なコメントありがとうございました。
1こんにちは。 なんかbreviewでお話するのは久しぶりですね。 >火、てすごく古くからあるモチーフですよね。しかし、古びないというか書き手をいつの時代も刺激するようです。日常のひとコマのなかで、揺れ動く語り手の内面がよく書かれていて飽きないです。怒りの比喩としての火やライターの火、温度による色の変化などを練り込み多彩な模様にされていると感じました。 火っていうのは、いつでも同じ火なんですよね。原始時代の松明の火と、キャンプで付けた焚火の火はどちらも同じ火という意味合いで。でもその火の見え方やもらたす影響というのは人間の文化や文明によって左右される。湯煙さんはそれを火のアナキズムみたいなキーワードで捉えてくださったと思うんですが、正にそうだろうと。なので、僕にとっての火とは何かと思ったら煙草に付ける火だなと思いこの作品を描いたら、思った以上に色々な火が出てきて自分でもちょっと困ってますね。。。なんか本当に自分が生きている世界の事を全然見てなかったんだなぁと。 >灰の移動も視点や対象が変わることでアクセント以上の効果もありますね。火の違う側面を考えたくなる作品でした。 灰についてはやっぱりちょっと課題だなと思いつつ、まだまだ可能性としては引き出せる検討の余地がある感じがしています。灰も言って仕舞えば同じ灰なのに、全然存在の在り方が変わって見えたりする。そこら辺の要素が最後全然拾えなかった一方で、可能性を得る事はできたなと思いました。 この作品は谷川俊太郎の「火」をベースに書いたのですが、あれ読んでから皆さんの火をどう思うのかマジで読みたくでしょうがないですね。ほばさんの火は、どんなんだろうと思うので、もしなんかになったら読みたいので読ませてください。 コメントありがとうございました。
0こんにちは。なんか久し振りですね。 >方向性はよい。特に「俺」の主語へのこだわりは忘れないでいてほしい。 > >冗長だと気がついたら思い切り削るの心がけは忘れてはならない。 > >書き終えた最後に天空を仰げれる人であればまだ書いてゆける。 なんか三浦さんらしいコメントですね。らしいというのは、結果は教えてくれるけど過程は自分で考えな。わからないなら分からん見たいな感じ。 とはいえ、端的に書いてくださるのは考えるのが楽しいのでそれはそれで楽しいですね。 「俺」ってなんとなく使っちゃったんですよね。いつも僕なのに。ってのは思うので、頭でっかちにしなきゃ!って感じじゃないんですが、覚えておきます。 >冗長だと気がついたら思い切り削るの心がけは忘れてはならない。 これは殆ど一発で書いちゃったんですが、最初はもっと長くしなきゃとかあわあわ思いつつ投げてみたんですけど、これぐらいがちょうどいいよって感じですかね? 多分検討加える時に余計な説明は入れて事故るなよって言われた感じがします。 >書き終えた最後に天空を仰げれる人であればまだ書いてゆける。 天空ですか! 藤さんの指摘にも合うのかもしれんですね。ある意味火のオードになってはないですからね。 落ちの部分は多分これから考えていくので、なんかそういうもんになったらここに投げるかもしれません。 示唆に富むコメントありがとうございました。
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