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拇指
わたしには拇指か人差し指がない あるいはどちらもなくて なにか余分なものがついただけ なのか ワン・ツー、ワン・ツー 上り坂 下り坂 踏切 こんなとき 近づけば近づくほど苦しい ワン・ツー、ワン・ツー ワン、ツー、ワン、ツー 帰宅後こっそり 汚れた下着を見た 昔いろんなものがなくなったときの気持ち それは 親戚が買ってきたドーナツを全部 弟に食べられた日のような一時的な虚無 それもきっとうまれたときからのもので 上履き、筆箱の中身、食卓、 そしてさっきまでの純白だって もう戻ってこない わたしにたりないもの あるいはなんにもなくて 余分なものがついただけ
拇指 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 782.2
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 1
作成日時 2017-08-29
コメント日時 2017-08-31
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 1 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 1 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 1 | 1 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
下着、余分なものがついただけ、と言ったところにジェンダーな意味合いが感じられ、その何かメタファーがあるのだろうとは思った。また、ワン、ツーのリフも、なんとなく、置かれている意味合いがわかる。で、私が思うに、「なんとなく伝わるでしょう?感覚。感じてもらえたらいい」的なところが意図されたところだとしたら、成功ではなかろうか。ただ、これも私が思うところの勝手な読者の欲なのだけれど、強欲をいえば、鳥肌を立てたいし読んだ後に、もう一回、あの言葉を読みたくなる、という気持ちになりたい。それを、もしかしたら作品の強度というのかもしれないし、作品の訴求力というのかもしれない。もちろん、私もそれをまだ書けないでいる。 具体的なコメントでなく、申し訳ない。
0〈わたしには拇指か人差し指がない〉拇指がない、とか、人差し指がない、ではなく。 印象的で謎めいた立ち上がりですね。お父さん指、お母さん指、と重ねて読む、のか・・・親指を立てる(人を馬鹿にする)、人を指さす(中傷する)ことがない、のか・・・そして、〈余分なもの〉とは、何か。 ~だけ/なのか という、自分自身への問いかけが、ある種、とぼけた味わいになっていて、重さに沈んでいく一連目を軽く仕上げている、と思いました。 掛け声をかけながら、むりやり運んでいかねば進まない体。踏切を前にして、飛び込んでしまいたくなる衝動・・・その衝動の恐怖と、ある種の高揚感に、生理的に反応する肉体、そんな若い男性の生理に、嫌悪を抱くような感情・・・(黄色く汚れたのか、白く汚れたのか、で、また捉え方が異なって来る、とは思いますが・・・) 最終連から、中学生か高校生(低学年)を連想しました。(作者が、ということではなく、主人公の年齢設定が、という意味です)大切なものをつまみあげる、親指も人差し指もない、のか・・・〈余分なもの〉とは何か。 読者に含みを持たせている、とも言えますが、あえて曖昧にぼかして書いている、というような、未消化な感覚を受けた最終連でもありました。
0冒頭の「わたしには拇指か人差し指がない/あるいはどちらもなくて/なにか余分なものがついただけ」がとても印象的でした。何か喪失感というか虚無感というか、心の中で何かがひどく欠落してしまって、もうどうしようもなくなってしまったもどかしさや痛みみたいなものが伝わってきました。これはなかなか凄い表現だな...と。とても好きです。 ただ、もし仮に最後の「純白」が「純潔」を指すのだとしても(自分はそう読んだんですが)、そうでないとしても、全体にもう一捻りあればより味わい深い作品になったのではないかと思ったりします。というのは「もう戻ってこない」ものとして「上履き、筆箱の中身、食卓、」が挙げられていて、それらが戻ってこないことの意味を一つ一つ考えた時に、激しい痛みを読み手として感じたからで、詩のなかにこの3つを失うことに関する表現がもう少しあったら全体のまとまりとしてもよりよかった気がしますし、「わたしには拇指か人差し指がない/あるいはどちらもなくて/なにか余分なものがついただけ」という表現がさらにインパクトを持ったのではないかと感じました。
0なんか小学生の夏休みの終わりを思い出すアダルトってかんじ。切ないかんじ。時間は永遠じゃなくて、ぜんぶぜんぶ過ぎちゃう。そのときの悲しいかんじってかんじ。まあいいこともあるよきっとって俺は俺に言ってる。
0三浦果実さん なるほど。「鳥肌を立てたいし読んだ後に、もう一回、あの言葉を読みたくなる、という気持ちになりたい。」には強く共感します。 わたしはすきな詩人はおそらくいませんが、ある人のある詩を何度も何度も読みました。言葉に傷ついたときにそれを読んで、言葉っていいなって思うことがあります。 自分が詩をすきな理由を思い出させてくれてありがとうございます。
0まりもさん 黄色く汚れたのか白く汚れたのか、のところに驚きました。 わたしはどちらでもない赤い汚れをイメージして書いたので。 survofさん どうしようもなくなったもどかしさや痛み……言葉にできないといつも諦めてしまうのですが、詩を書くということはそういうものとたたかえるものなのかもしれませんね。気付くのが遅すぎました。 たしかにこの表現では不消化かもしれません。もう少しすべての連を絡めさせた(そしてそれがもう少しわかりやすい)ものにしたいなと思います。
0まりもさん 付け足しですが、まりもさんの批評にこれ以上コメントすると自分の詩を解説してしまいそうな気がします。細かい返信は控えますが、いろんな角度から読んでもらえて嬉しいです。前回のがあまりにもストレートだったのでこういうものを書きたかったのです。 シリューさん もしかしてわたしの詩は少し幼い(若い)のかなと思います。 そのときのかなしい、ですか。かなしいことは伝えたくないけど、かえられないことは書いてみたいです。
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