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擬態
病名がまた増える 良かった 自分で自分を説明できないでいると、お金を払うと、専門家の人が、説明書を書いてくれる ぼくはエイリアンだから、人はぼくを観察して 精神の銃で撃ち殺そうとする それでもぼくは死に損ねて ぼくはぼくで、自分の 腕をナイフで切り開いて 大量の血を出したり 車の中に一酸化炭素を充満させる準備だけをして 実行できないでいたりした。 エイリアンと呼ばれるまでは、自分を人間と信じてた。 いつか自分のすることも、脚光を浴びると 今でもちょっと、信じてる。 絶望と喚きの容れ物に生まれて、そこから逃れられないでいることに 誇りを感じた。味方がいつも、欲しかった。 例えると、片腕が生まれつきの刀で、振ると人が切れて死ぬみたいに 凶悪に見えていたぼくは、両手に花束を持ってるつもりだった。 誰にも酷いことを言われずに 忙しくしてられないかな、ら 君はただ、ぼくに電話をかけてくれれば充分り あと、たまに、顔を見せてくれれば ぼくがエイリアンだとしたって、殺さなくても 締め出さなくても 生態系を壊したり 君たちが作り上げた集団意識を 破壊しようとしてるだなんて おもう必要はないんだって 言ったって エイリアンの言葉なんて ほとんど 通じやしなかった。 矢の刺さった心臓を抱えて 一つの光を抱え込んで 毎晩 不安と とめどなく流れる被害者意識を 抑えるので 必死で、人々の冷たい視線を夢に見た。 それでも 生きたかった。微笑んで、人々と過ごす日々を 毎日毎日夢見た 医者は言った 「君はエイリアンなんだよ」 「擬態する方法を知らない」
擬態 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1346.8
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 3
作成日時 2017-02-14
コメント日時 2017-03-09
項目 | 全期間(2024/12/31現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 1 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 1 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 0 |
総合ポイント | 3 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合 | 3 | 3 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
一読した時に永井豪の大昔の短編「くずれる」を思い出しました。ある日、周囲の友人たちが次々と化け物の正体を現して、主人公に「君も俺たちの仲間なんだ」と言う。ネタバレするとラストの衝撃が薄れるのでオチが言えないのがもどかしいのですが、「自分は悪い意味で周囲の人間と違う存在である」という感覚はそれだけで不安や恐怖を伴うものだと思います。この詩の語り手の場合、「くずれる」とは逆に周りの人間から「お前は俺たちと違う」と言われ続けている。そして、その言葉を信じて必死に「普通の人間」に擬態したいと願う。しかし、その願いは決して叶わないように思える。何とも恐ろしく、哀しい話です。 いま、この世界には「自分はエイリアンである」と感じている人たちがたくさんいて、それは心の問題だったり性別や宗教に関することだったりするのですが、それに対して変わるべきなのは、彼らではなくて「自分こそ普通の人間である」と幻想を守るために彼らに石を投げつける連中の方ではないかと、この詩を読んで考えたのでありました。私はこの詩の語り手に言ってあげたい。「君はエイリアンなんかじゃない」と。
0もとこさん! 私への初批評、ありがとうございます! 読みに関しては、私の投げたボールをキャッチして、よく眺めた上で、それがどんなボールなのか、はっきりと説明してくれているようなもので、非常にありがたいものでありました。 これは、薬局で書いたものです。 私にも、目指すところがありまして、それは剥き出しの、生々しい人間像を、言葉によって具現化することです。 そうすることによって、人と人とが心の深いところで共通の認識を持つことが可能になれば、見える世界も広がるのではないかと、考えているのです。 そのため、バカが書いたような簡単な言葉で書かれたものが多いです。 このような、誤解を受けやすいとも考えられるものに、真摯に読みを提示してくださって、非常に感謝しています。 ありがとうございます。
0一読後に、コメント欄のもとこさんとIchigoさんのコメントを読んでしまい、そのもとこさんの評に「なるほど!」と唸りながら、更に、その後、Ichigoさん御自身の創作への立ち位置を開示され、なんだか、その、やり取りにワクワクしてしまいました。花緒さんも心情吐露が先に印象としてあった旨、コメントされておりますが、私もそのような一読目でした。でも、なぜだろう。その心情の粘着感とは逆にスルスルと読めてしまう。作者:Ichigoさんが創作に注がれてる「簡単な言葉で書く」。このことが、粘着とスルスル感を見事に同居させる要因になっているのかと、大変、勉強になりました。 私も、多くの方が読めてしまうという意味で、ポップ感のある作品を目指したいなぁって。いつも思うんですよ。
0エイリアンという言葉、喩えは手垢だらけかなと。Englishman in NY.やトム・ヨーク等々。二漣なかばあたりで以降は詠めなくなりました。いろいろ苦しいことがおありなんだと思うんですが、読み手にはまたなかなかわからない部分があり、工夫も必要なんだと思います。 なんかすんません ^^;
0花織さん コメントありがとうございます! たしかにこれはテーマに対して整いすぎの感はあります。 自動書記のようにめいっぱい崩れていると、そっちのほうが、見る人の感覚を刺激できたかもしれません。 ありがとうございました。 三浦さん コメントありがとうございます。 自分自身の、作品に対する姿勢を開示しないといけない時点で失敗している!とも言えるんですが笑 スタイルとしては、やはり子どものような言葉で書く、ということにこだわりがあります。稚拙さ、とも言えますね。 これをどんな風に昇華させるのかが、今後の課題になりそうです。 何にしても、表現することは大好きなので、三浦さんのように好奇心旺盛な方に読んでいただける時点で、ここに投稿してよかったと思えます。 湯煙さん コメントありがとうございます! 突然ですが、洋楽は結構好きです。しかし、このエイリアンというのは、実は喩えではなかったりします。 だから余計に読めないようなものになってしまったのかもしれません。 工夫ですね。考えてみます!
0忍さん! 頑張って評を書いてくださって、ありがとうございます! 思い切って、ナンセンスに踏み切ってみようかな、という考えにもなりました。 普段こういったものを読まない人に伝わるようなものです。 訴えかける力を、もっと持っていないといけないなと、おもいました。 ありごとうございました!
0こんにちは。百均です。 この作品は凄く僕好みでいいとおもいました。特に、オチが凄くいいとおもいました。 最後のセリフからにじみ出る切実さ、それを引き出す為の「エイリアン」という比喩ですよね。ここが凄くいいとおもいました。 ただ、この作品の全てが素晴らしいと手放しで褒めている訳ではありません。一番気になるのは内省の比重が少し後半になるにつれて多くなる事でしょうか。(語り手の心の感情がむき出しになりすぎてしまっている所が、必要である事は強く感じるのですが、そこはこの作品に感情を移入出来る人程一度経験した事だと思うので、もう一度自分を見返した時のような面倒くささの方が勝ったという感じです。)しかし、それでも力のある作品だと思いました。個人的には多分、一番心の奥底に染み込んでくる作品でした。
0百均さん レスありがとうございます! 遅くなって大変申し訳ございません。 そうです。あくまでも、擬態することを知らないエイリアンです。 私は書くうちに筆に力が入りすぎてしまう癖があるので、反省しました。 お褒めの言葉も下さり、感謝しております。 ありがとうございました。
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