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足
肌理細かな みずと肉を やわらかな骨にまとわりつかせ 星のおもさにみちびかれ 好ましい背骨を飼い慣らされた ひびわれた夜たち 星空に透ける ともだちの輪郭を 希薄でさみしい血液に 学習させたら かろうじて 息ができる それは、 とてもとても 好ましいことではなくて ほんとうは、 剥き出しにされた いくつもの先端が痛む とてもとても 大切な、 血をこぼさないことだけが大切な 夜たちが 大切にしていること。 暗がりのなか おとなしい 白くふやけた ともだちも、 やわらかいものも、ひびわれる。 ただ それだけに気をつけて いってらっしゃい。 なつかしい みずにぬれた 髪の毛にくるまれて。 わずかにふるえる こころと足の、 互いによろこぶ こころと足の あるべきところへ 気をつけて、 いってらっしゃい。
足 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1170.5
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-06-01
コメント日時 2017-07-29
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
最初、脚、のほうが良いとコメントしようと思ったが、やはりやめた、足の方が良いと思った。知足の思想を感じる。
0花緒さん kaz.さん 鈴木 海飛さん はじめまして レスありがとうございます。 返信したい気持ちはあるんですが、何をどう書いていいのかまったくまとまらず とりあえずうれしいと感じたことを伝えておきます。
0「星のおもさにみちびかれ 好ましい背骨を飼い慣らされた ひびわれた夜たち」 美しい表現ですね。それぞれが担う、星・・・宿命の重さ、のような。背骨を(自分の根幹を)飼いならされる。そんなイメージと夜のイメージから、学生服を連想しました。痛む心、傷ついた心、ひびの入った心を、夜の闇に包んでいる若者たち。 かろうじて闇の中で、それぞれが体の内部できらめかせている星の光、その気配によって、「星空に透ける/ともだちの輪郭を」確認する、そんな、心もとなさ。「剥き出しにされた/いくつもの先端が痛む」張りつめた神経の先端を、そのまま外気にさらしているような鋭敏さ。「血をこぼさないことだけが大切な」自分の内なる情熱、想いだけを、必死に抱え込んで守っている、そんな感覚。他者まで気遣うゆとりのない、そんな利己心への、かすかな反発、批判性も感じます。 「白くふやけた ともだちも、/やわらかいものも、ひびわれる。」どんな者でも、傷つかずにはいられないような、そんな場所なのだ、という諦念も感じつつ・・・生きていく(歩いていく)ための足と、その足を(本来なら自覚的に)動かす心、その分離。足だけがどこかに向かって歩いていて、心が追いつけていない、置いていかれている。そんな分離の感覚を感じます。 そんな身体感覚がばらけてしまうような場所に生きているからこそ、どちらも喜び、一つの肉体であることを確認しあえるような、そんな喜びを得られる「どこか」に行きたくなるのでしょうね。 心よ、いっておいで、そして戻っておいで。そんな八木重吉の言葉も思い出しつつ。
0雑感として思ったことをつらつらと。 思えば人はみずから生まれたものであって、生きていく中で水分を補給したり、失ったりしながら生きていながら、さいごにはみずを失った物へとなっていく。それを「かえる」と言った表現で喩えることもありますが、みずから生まれたことに注目すれば、「かえる」のではなく、みずを発散しつつ、吸収しつつも、生まれた場所に「かえる」ことなどできません。 「なつかしい みずにぬれた/髪の毛にくるまれて。」という表現が上記のことを思わせました。肌理というのも、人が持つ水分量によってその表層を変化させるものです。その水分量が物をふやけさせたり、ひびわれさせたりもします。 語り手は「いま・ここ」にいることで何かに恐れているのでしょうか、こころと足がわずかにふるえています。「いま・ここ」ではないどこかを求め、歩み進めることで、こころと足が互いによろこぶ場所へ「気をつけて、/いってらっしゃい。」と呼び掛けられています。 単に、モチーフが好みでした。星空、輪郭、血、水、髪の毛などなど。私がここに置いた作品(あの夜の街で)を思い起こさせました。
0まりもさん なかたつさん コメントありがとうございます 連想されるイメージやモチーフの共通する作品をまとめて読むと面白いですね。 返信を考えるの難しいですね。皆さん凄いです。
0口三 さん、こんにちは。 良い詩ですね。 >とてもとても/ 大切な、/ 血をこぼさないことだけが大切な/ 夜たちが/ 大切にしていること。 ここ。生活するということは、肉体に満々とたたえられた血を零さないように明日へと運んでいくことのように、僕も痛切に思っています。 僕の中でしっくりこないのは「夜たち」という表現。語り手がいくつも過ごしてきた夜のことなのか、それとも同一の夜に生きている人々の「夜の意識」が複数形で表されているのか。 僕は前者でとっているのですが、いかがでしょうか? >ただ/ それだけに気をつけて/ いってらっしゃい。 というところを読むと、語り手がこの世の人々すべてに言っているような気もしますね。 「足」は官能的です。どろんとした官能の喜びが、人のいる夜という時間を誘っているようにも読めます。人は官能に飼い慣らされて夜を生きる存在なのかもしれません。
0僕にとっては少しぼやけている部分が結構多い作品です。そういう意味で詩の輪郭みたいな所に僕の焦点が合わない所が、正直に言うとあります。けれども、そういうのがどうでもよくなるくらいの個々のパーツそのものに対して、何かコメントするのが億劫になるくらい素敵です。 一か月くらい悩んでたんですよね。細かいレスをつけて、それらに無理やり整合性をつけて、一つの読解として提示しようしたんです。が、そういうのはやっぱり無粋に思えてしまいました。 >肌理細かな >みずと肉を >やわらかな骨にまとわりつかせ 人間の体をみずと肉という二つの要素にわけてしまう。それを「やわらかな骨」に「まとわりつかせる」ることで合成してしまう感覚。僕らはまず水と肉からできていて、それがやわらない骨にくっついているだけなんだよみたいに言われた感じを僕は他の言葉で言い換えられない。納得してしまう。そこに「肌理細かい」という肌の一文字が入るだけで、皮のイメージもわいてくる。この三行で人間の体が成り立ってしまう。 >希薄でさみしい血液に >学習させたら >かろうじて 息ができる そのあとに血液のイメージがぶっこまれで、面白いのが血に学習させるという事、それによって息ができる。という感覚。さらに血液に「希薄」で「さみしい」という修飾がくっついていますが、ここに明確な理解を加えられるかというと僕には難しいのだけれど、ここでいう血液の意味っていうのは豊穣だと思う。人間の肉体は水と肉で出来ているが、それが骨によって繋ぎとめらた時に血が流れ始める。その血は、物を覚えることによって日に日にその量が増えていく。それは何もできない子供が学習する度に体が大きくなり、物を覚える度に血の両もまた大きくなる。その結果として自立するために必要な物を覚えることによって、息=生活する力=自分の足で立って生きていくことが可能になる。 >互いによろこぶ >こころと足の >あるべきところへ > >気をつけて、 >いってらっしゃい。 いってらっしゃい。という何気ない最後の一言が眩しすぎる。 こんなにも送り出す言葉の先にある光を感じる最後があるのだろうか。みたいな事を思います。 子供が羊水の中から生まれて、それから少しずつ大切なことを覚えていって、最後は自分の足とその心で、自分の愛する人を見つけなさいみたいな感じでしょうかね。親の暖かな視線みたいな事と、未来みたいな物を感じました。
0Migikataさん。コメントありがとうございます。返信遅くなって申し訳ないです。 「夜たち」はなんと言うかイメージとしては月とか火星とかいろいろ、複数の星の夜というイメージがありました。 詩のなかでの意味はあまり深く考えてなかったと思います。 返事になってないかもしれないです。すいません。 hyakkinnさん。コメントありがとうございます。 自分でも自分の中のイメージや感覚的な部分に従って作ったので細かい辻褄合わせはあきらめました。 そこをもっとちゃんとしたほうがいいとも思うんですけど自分には無理かもという感じもあります。 ありがとうございました。
0やわらかで優しい心、気をつけて、いってらっしゃい、という言葉を、心から発しておられるようで、 正しいということを思いました。とても創造的なやさしさだと思いました。優しさを極めると、それ 自身が創造的ということになる、という素晴らしい詩だと思います。
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