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白い夜
濃紺の夜に星が落ちていて拾うことができない。白く浮かび上がる龍の姿形をぼんやり見ているコンビニの前で。時間どおりに来るバスといつまでも現れないきみ。あの星は消えない涙。消せなかった命。ちゃんと、ちゃんと殺してあげるのだった。川底に揺れる骨のように青く光る疑念。後ろめたい抵抗。目は伏せられたまま。睫毛の先にしたたる血を見るために。何も怖くなかったはず。きちんと。狂ったように。上を向いて。指さされながらも。信じてさえいられれば。ナイフがきらめくあの一瞬。鼻歌を忘れなければ。微笑みを浮かべていれば。何もかもこの手にあった。捨てるほどたくさんの何もかもが。鼻歌を忘れなければ。微笑みを浮かべていれば。
白い夜 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 958.5
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-02-10
コメント日時 2017-03-03
項目 | 全期間(2024/12/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
鮮やかな天空的なイメージが、一気に闇夜の中に白く淋しく光るコンビニの映像に変わる。「ちゃんと殺してあげるのだった」と強めの断定で(ということは、自分に言い聞かせるように?)殺してしまうのは、自分の中で期待し続ける、現れるはず、の君の姿、自分自身の持っている期待感、なのかな、という気がしました。殺してあげるよ、と呼びかけの形にすると、どうイメージが変わるんだろう・・・自分を優しく包むような感じになるのかな・・・。 川底に~のイメージが、とても美しくて、鮮烈で好きです。
0まりもさま コメントありがとうございます。 天空も好きですが人工的な(コンビニとか)の放つ光だとか観光地のイルミネーションだとかも同じくらいに好きでそれらを対比、というか並列しました。 「殺してあげるよ」、と呼びかけの形にしたらそれは片思いのような、一方的なものになるかなあと想像しました。 「殺してあげればよかった」とすることで既成事実のように(事実だろうが幻覚だろうが)、自分が自分以外と確かな関わりを持ったことを誰かへ(その「誰か」はもちろん自分自身であるかもしれない)、言い聞かせるような、そういう気持がどこかにあって書いたと思います。 イメージしていただけて嬉しいです。ありがとうございます。
0イメージは悪くないが自己愛が強すぎる気がする。❤️
0一つ一つのセンテンスの切り方が良いと思う。朗読をすることがあるんですが、声に出して、2次元のものを3次元に変換する工程を通過すると作品の印象が大きく変わる。その観点から『白い夜』をもう一度読む。声に出して読む。 予想通り、とても読みやすかった。また、朗読して印象が変化したというか、追加された残像のようなものがあります。 ・この作品は家族との死別、そして慚愧の詩だと思う。当初は男女の離別かという印象だった。 ・骨というワードが死であり、鼻歌が生を表した隠喩ではないかと。そうであれば、骨というキーワードを更に展開されていると、死別と慚愧が浮かび上がる気がしました。すみません。テクニカルなことが言える人間ではないのですが。
0冒頭のひとことのせいで世界が全部ひっくり返ってみえる。 ぜーんぶ、星空に宙吊りにされて見てる。 それが面白かったです。
0kaz.さま 自己愛、たしかに。自分で書いているものは、その視点になっている人物は世界を狭いものとしてとらえているなあと感じることはあります。 花緒さま 「なんとなく良い雰囲気」と2回おっしゃっていただいてありがとうございます。なんとなく…と思ってもらえるのが結構嬉しかったりします。 ところで「詩語」という言葉を初めて知りました(調べてきました)。 確かに私は短文の中にいろいろ詰め込んだり凝縮するのが好きな傾向にあります。それをどれくらいの真水(のようなもの)で薄めていくかが楽しいところでもあり、日によって気分によっても異なりますので、詩作の楽しいところでもあると個人的には感じます。 三浦果実 さま センテンスの切り方、に言及いただけてうれしいです。私は自分が書いたものを後から頭の中で朗読するようにしており、リズムにより重点を置いているという自覚があります。残像、イメージのお話も書いている自分が思ってもいなかったとらえ方でして、なるほどそのように見えた・読めたのだなと知ることができてありがたいです。 双葉月ありあさま 星空に宙づり感を感じていただけてうれしいです!空となるとどうしても下→上への感覚ですが、「落ちた星を拾う」とすることでひっくり返せたらなあ、と思っていました。
0コンビニの前で夜空を見上げると川底に眠る龍の背骨がフラッシュバックした。それは消せなかった命だった。ちゃんと殺してあげられればよかった何かだった。睫毛の先にしたたる血をみるために、目は伏せていた。きちんと狂っていられたなら、恐怖などなかったはずだった。ナイフがきらめいた。信じていられたら。上を向いて鼻歌をうたい、微笑みをうかべていたら。そんなことは起こらなかった。 そして時間通りにバスがくるのに、君はいつまでたっても来ない……。
0こんにちは この作品は、中々ピンとが合わなくて読むのが難しい。結局の所、なんとなく綺麗だなと思うイメージはありつつも、それがどのような映像を結ぼうとしているのか、という所が拡散している感じが強くて、故に雰囲気がいいとしか言えないかなぁ。特にどこら辺がいいかというと、煌きの表現の仕方で。 濃紺の夜に星が落ちていて拾うことができない。 川底に揺れる骨のように青く光る疑念。 ナイフがきらめくあの一瞬。 この三つのシーンはイメージの起点としてムズムズする良さを感じる。川に映った夜空の情景を「落ちている」書き込む感じは、一読して振り返ると、個人的には納得する感じが強いです。だから、コーリャさんの感想をここで振り返ってみると、「時間どおりに来るバスといつまでも現れないきみ。」がレスの落ちに来ていると思うんですよね。そういう風に、この作品にちらばり拡散した情景を個々人、読み手が繋げる努力をしてあげられたら多分面白い読みが出来るんだと思った。僕の場合は今の所ここだけかなという感じです。
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