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答えを探して
どこに目をつけている? そう尋ねられて、私は顔の両端に小さな人差し指を突き立てて まだ謎の中でまどろみたいと願いつつ答えた 「ここに……」 階段の一番上で、天井の灯りを見つめていた私の目は 正確にここについていたが、目自体は下でも横でもなく 確実に上を見ていた 細やかな切り込み細工が施されたランプカバーからは 光線があちこちに飛び散り、私のもとにもとめどなく降り注ぐ 光の中心の正体を手に入れたくなった私は 顔を天に向けたまま、くるくるとその場を回り 放射の行く先を必死に目で追ったが めくるめく速さで、光の紐にまとわりつかれ 「あっ」 と声をこぼした途端、別な光に吸い込まれてしまった ぼんやりとした、その温かみに包みこまれた私の心は 解かれ柔らかくなり、いつまでも光と一体になっていたいと願ったが そこで、不意に大人の声が聞こえてしまった どこに目をつけている? 「ここに……」 それは、明確な答えだったが 再び天を仰いでも、既に不明瞭な世界は見えなくなり 目が「ここに」ついているということと 寝ぼけまなこの上にできたタンコブが 「いてっ!」 という答えを出しただけだった
答えを探して ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1006.0
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 6
作成日時 2019-03-29
コメント日時 2019-03-29
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 5 | 5 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 6 | 6 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 5 | 5 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 6 | 6 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
最後まで楽しく読ませていただきました。 好きな表現が散りばめられていて、丁寧に書かれている印象です。 「顔の両端」「私のもとにも」「別な光」などからそう感じました。 冒頭と最後で同じQ&Aを用いているんですが、違いがわかりやすく描かれていてとっつきやすいです。 「いてっ!」を「答え」としているところが些か余白がないかな、とも感じますが、 小気味よいテンポ感もあって良いなと思いました。
1かるべまさひろさん、 コメント、アドバイスありがとうございます。 おっしゃる通り、最後をどう結ぶか迷いました。
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