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午前8時半。田中。田中。田中。
愛のように気まぐれなさびしさを振り払おうとしたが、考えるのをやめてまた酒を注ぎに行く。偏執的な美を俺はもう否定しない。 洗濯機の脱水機能がいつも中途半端だから 「もっとしっかりやってくれよ」 と独り言ちる。干し終わってから我に返った。 そうだ。こいつには初めっから意思なんて無いのだった、と。 2月の冬空に、聖なる疑問(と思っている)を打ち上げては、子供っぽく悦に浸る日々。それは誰かの心を打つだろう、と期待していたが、返ってくるお礼なんて雪の1粒も無かった。 今はもうただただ、芋くさい通販のコップが諸悪の根源だと思うようになった。 辺りを支配してるのは「すべて俺のせいだ」という苦いだけのサプリメントだ。(ここで酒を飲む) 突拍子も無いことをやって、お調子者になりたがった小学5年の俺。でも友達の目がついに笑うことは無かった。なんであの時、彼は不満を漏らさなかったんだろう。優しすぎるのも遅効性の神経毒になるんだよ。 そんな友達とは不器用にペッティングをした。夏が終わりかけていた。 気持ちはよかったが、後から無性に無性に死にたくなって、タオルで首を絞めたが、泣きながら気が付いた。結局そんなものじゃ気絶がいいとこだったな。 あくる日を境に、毎朝8時半のチャイムはすべてを巻き戻す魔物になった。寝転んだって大丈夫くらいに通学路がきれいなのが、ひたすらにひたすらに憎らしかった!だからいっそ気でも狂っちまったら良かったかな。絶対に。 (ここで酒を飲む!) 3年後に友達の田中が首を吊って死んだ。あの日口に含んだ彼の陰茎を思い出した後、よくやったと思った。お別れの会の後、いじめっ子が友達の机でババ抜きをしていた。女子が形式的に「やめてよ」と叫んだ。彼らは笑っていた。そういやあいつ殴られてたな。俺は止めなかったけど。恨むなよ田中。こっちだって死にかかったんだ。なんでもっと早く死ななかった? 「深夜に泣きたくなったら聞いてくれ、死にたくなるから」と、田中が教えてくれたロックバンド、名前を忘れちまった。SNSも公式HPも無いから、もう解散してんのかどうかさえ分かんないくらい、細々と観客3人のライブしてた諦めの悪いバカヤローたち、まるでお前みたいだったな。 なあ あれ 何だったんだよ。
午前8時半。田中。田中。田中。 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1490.8
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 52
作成日時 2019-02-16
コメント日時 2019-02-18
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 43 | 33 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 4 | 4 |
エンタメ | 3 | 3 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合ポイント | 52 | 42 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 14.3 | 10 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1.3 | 0 |
エンタメ | 1 | 0 |
技巧 | 0.3 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0.3 | 0 |
総合 | 17.3 | 10 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
僕は感動?しました。近かったんでしょうね。泣きそうです。
0かるべまさひろさん、ありがとうございます。フィクションなのですが僕も泣きながら書きました。
0相変わらず選語がちょっと大袈裟で演技っぽいかなとは思うんですけど、ある意味このくらいのほうが刺さるのかもしれないな、とも。あとは漢字のバランスがちょっと重すぎる。とはいえ、言葉の構成や詩情の掬いかたに関してはめちゃくちゃ上手くて、現在とっても気になっている書き手です。今作に関しては特にラスト付近からフィニッシュまでの流れが最高だと思いました。
0ゼンメツさま、お褒めの言葉と感想ありがとうございます。確かに漢字がちょっと多いですね。
0これは読んで上手さは感じるのだが、コメントはめちゃしづらいな(笑) ポイントつけるだけやってそそくさと去ってしまいたくなる
0渡辺八畳@祝儀敷さま、ありがとうございます。コメントがしづらいのは予想外で驚きました(笑)。ポイント付けてくれるだけでもありがたいですが。
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