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アップルパイ屋の独り言
まったく、きみという奴は 勇み足でおっちょこちょいだね まだ生まれてもいない娘の 嫁に行く日を想って泣いて 誕生日を祝うために二年後の ケーキを予約して パーティグッズを鼻唄混じりで買ってくる まだ名前だって決まってないのに ケーキになんて名前を入れればいいのさ うちはアップルパイ専門なのにね まったく、きみという奴は 明日には孫の名前でも相談に来そうだね 長らく甘い菓子を売っているけど きみたちの幸せの甘さには、少々、 胸焼けがするよ その日が来たらぼくは皆んなに この胸焼けを別けるとしようか こんな風にね さぁ、さぁ、通行人の皆々様 今日はまことに めでたい日でございます この町に素敵な仲間が産まれました 幸せのお裾分け、皆々様でこの甘さを 分けあって胸焼けしようじゃありませんか アップルパイにアップルダイザーを お持ちください それからこの幸せな 男の顔をみてください 鼻の穴をおっぴろげて 顔なんか林檎のように紅い 今にも熟して落ちそうじゃないですか ほら、小さな生命の火が眼の奥に 胸の奥から柔らかな香りが漂ってきましたよ 皆々様の優しさに火が灯って参りました それをわたくしは胸焼け、と呼んでいます 優しさがジリジリと炙られて幸せに ローストされていくのです 朝焼け、夕焼け、胸焼け みなみな、美しいものなのですよ どうだね? きみは町中の人を胸焼けにしてしまうわけさ まったく、きみという奴は とっとと帰っておととい来やがれ
アップルパイ屋の独り言 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1111.6
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-10-02
コメント日時 2018-11-02
項目 | 全期間(2024/12/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
さすがにこれは実験的すぎるでしょう、笑
0叙述トリックみたいな詩かなと思ったがそうでもないのか? 正直よくわからなかった
0小杉さま コメントありがとうございます。語り口で引き込めないかな、というものでしたが、滑った感は否めないですね。
0おはようございます。 楽しく拝読しました。はっきし、いって 好き。 ちまたには 多くの文章や言葉が表情ゆたかに溢れていますが、人は 自分に関係するものに より興味を持ち、他人の幸せなどは内心どうでも良いのが本音ではありましょう。 わたしにとって この詩は、わたしに関係する詩でした。だから、好き。 実は私、自分のことをアップルパイ職人と言っていた時期があります。毎日毎日まあいにちに鉄の窯の前でパイを焼いておりました。おまけに るるりらが おっちょこちょいなのは、みなさんご承知のはず。&ベイビーも身近に居ます。おかげで私の家族ラインは、毎日毎日まあいにち ベイビーだらけです。さすがに二年後のケーキ予約なんてしやしないですが。けれど、関係のない方々にわたしのスマホ画像をみせたら胸やけするに違いないです。ベイビーを思いすぎる家族の様子は はたからみたら、アホがすぎる。 「とっとと帰っておととい来やがれ」といわれても 私の無意識が この詩の結語に見えないリフレイン記号をつけてしまったのです。だから、わたしの場合はこの詩を当分の間は 読み返しそうです。そして、わたしの この雑文も また(あつくしいすぎる) 自爆
0渡辺さま コメントありがとうございます。叙述トリックは今回は意図していませんでした。語り口で胸焼けという言葉の意味を前向きな意味にしてみよう、というぐらいのものです。後はある意味馬鹿馬鹿しい語りにあたたかみや、変な世界観だけど悪くないなぁ、と感じられたらよいだろうというライトな作品です。 正直、詩と呼ぶのか、ポエムなのか、迷いながらの投稿でした。この作品に関しては酷評してもらっても良いと考えています。
0るるりら様 コメントありがとうございます。リアルにアップルパイ職人とは驚きました。素直に好評価に関しては受け取りたいと思います。嬉しいです。ぼくも菓子作りが好きで焼いては配っていました。少し懐かしいですね。温かい、生温い視線でベイビー自慢を見つつ、でも一概に無碍にできない。そんな日常もあるかなぁ、と思います。
0るるりらさんの「わたしに関係する詩」の言葉を読んで、あぁなるほどとなりました。これは僕にも「関係する」ものでした。ので、わりとすらすらと読みましたし、感想も他の方と今のところかぶってないので、はやめにコメントをしておこうと思い至りました。 僕は想像のしすぎで感情が昂りすぎて泣いたり喜んだりするので、作中のまだ父親でない人物に冒頭からすぅと感情移入できちゃったのです。 そんなへんてこな人物に適度な距離で言を発する語り手は、いい意味で福祉的な感じがして、確かに作品としての語りとか描いているものとかは良質であるかは議論できそうですが、少なくともこの作品にあるやさしさと皮肉は、他にはないアイデンティティになっているなと思いました。 ありがとうございます。
0かるべ様 コメントありがとうございます。内容や質に関しては確かにまだまだ練り上げる余地があるかと感じます。いい意味で福祉的、ぼくは福祉に携わっているのですが、やはり詩にも反映されるものなのですね。他にはないアイデンティティ、というお言葉嬉しいです。
0詩の読み手の話し相手への呆れ言葉で全編が構成されていて、朝焼け、夕焼け、胸焼け/みなみな、美しいものなのですよ。で痛烈、痛切な皮肉へと転じ、ラストはおととい来やがれ、と話し相手をあしらって終わる。読み物としても悪くないし、面白い。何より構成、着想勝負の詩で、そこに妙味を感じました。
0stereotypeさま コメントありがとうございます。 語りや構成に妙味を感じていただけたようで嬉しく思います。さて、この作品、やはりというか読み手の反応が様々ですね。 もうひとつ捉えようがなく、わからない、 自分に関係する作品として読めた、 皮肉な優しさがある(内容はともかく) 痛烈、痛切な皮肉で構成と着想勝負詩。読み物として面白い、 様々な視点からみていただけたことが面白く感じました。 ただやはり詩や読み物として考えたときより多くの方に伝わる詩情や感慨がないのでは、作品としては物足りないのだと思います。頂いたコメントを元に次作を描きたいと思います。
0アップルパイ屋さんならではの発想が楽しかったです。たった一人の人間の「子どもが生まれる喜び」が、夕焼けのように街をまるごと幸せにしてくれる。それを胸焼けと呼ぶ。パティスリーの人って、お客さんのことをそんな気持ちで見ているのかなぁと思いました。一切れにぎっしりどっしりの、幸せのおすそ分け。みんな存分に味わって胸焼けしよう!
0杜 琴乃 さま あたたかいコメントありがとうございます。パティスリーの方がどう考えてるのかはわからないですが、友人がやっている洋菓子屋に行って菓子を題材になにか描けないかなぁ、と考えて描きました。 どんどん胸焼け、を広げましょう 笑
0この人、表現の無限に挑戦してるですか? 丁寧にその戦いを進めてくださいです。世界遺産の寺院の天井画を修復する職人たちののように
0オオサカダケニ さま えー、コメントありがとうございます。 返答に困るのですが、、、いろいろと試行錯誤を繰り返しているのはたしかです。
0アップルパイ、胸焼け、朝焼け、夕焼け からこのような物語をつくれるのかと感動しました。
0変なこと言う人 さま コメントありがとうございます。 キーワードを決めて描いてみると、意外にそれらしく出来上がる場合はありますね。今作は胸焼け、から想像を広げてみました。
0こんばんは。最後の二行に優しさを感じたのはわたしだけでしょうかね。「ったくもう、おまえというやつは。笑」みたいな。かわいさ余って憎さ百倍なんていうけれど、愛情の裏返しというか、めでたさが高じて意地悪言ってる感があって、実際は、「胸焼け」してしまうくらいスウィートな気持ちなんだよ、コノヤロー、みたいな。そういうところで考えれば、言葉を発するひとの心の機微がでているともとれます。で、ユーモアを感じます。
0語り口も軽妙だと思ったのですが、胸やけから 「朝焼け、夕焼け、胸焼け みなみな、美しいものなのですよ」 この最後らへんに繋げる繋げ方が、この最後らへんに至るプロセスによって、その巧みさが担保されているようで、いいと思いました。
0藤 一紀 さま コメントありがとうございます。まさに、最後の二行はそんな感覚で描いてます。仕方ねぇ奴だな、みたいな友人ていませんかね。
0エイクピアさま コメントありがとうございます。 こういう語りが好きなんですが、なかなか詩に消化出来ないので難儀してます。後半のくだりについて巧みさ、との評を嬉しく思います。
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