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麻酔
珈琲を飲んでも眠い日 二酸化炭素に舟は煙る 緑色など持ち合わせないこの身の上 正しくない死体を切って捨てる仕事 正しくなければ食えやしない 珈琲を飲んでも眠い日にさえ仕事がある なんという幸い それがなければ息もできない黄色い身体 ナイフの濁りを許すな 転げるのはきわめて容易い 呼吸にあわせて鋼を研げば刃道は光り 舟は煙る 緑色にはなれない私 仕事がなければ息もできない ごうごううめく臓物の川を漕ぎ あの切れ味だ 正しい死体とは正しく殺された身体であると 知っているあの光 息の根が止まっても生きていて 見ている 食えやしない冷えた眼球が 黄色い私を ナイフを 光はみずからつくる他なく 煙る舟のゆくえ 鋼の切っ先 珈琲を飲んでも飲んでも眠い
麻酔 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1103.7
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-09-19
コメント日時 2018-09-27
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
夢に入って行くような感覚になりました。舟や煙という揺らいだ表現に、緑と黄色が鮮やかに効いていて、おどろおどろしい仕事さえも幻想的でした。珈琲の効果か臭さを感じず、その辺りが余計に夢感を増していると思いました。私は、夢で臭さを感じたことはないもので。「麻酔」というタイトルの意味合いを読み取りたいと思っているのですが、そうしたわかり切れない知りたいと思うところがとても好きです。
0自分の肌が赤いという詞を高校生の頃に書いたのを思い出していました。 なにか、乖離感を覚えました。 『とドヵ無ィ』 ふとした恋愛感情 人差し指で振り回してる 「私の彼氏最近、執拗になっている気がしてる。」 そりゃ御愁傷様 何にも分かってないんだ 試しにグロテスクな僕を見るかい そして御馳走様 今夜も分けてくれんだ このかすかすな五万グラムのハートに ありとあらゆる世界中の椅子という椅子が 君と仲良く手をつないで倒立 たってしまいそう。 ありとあらゆる相槌を打つ僕の背に 百のナイフを突き立ててくれないから 僕の肌は綺麗な赤 ひたすら濁らない色してる 僕は星のイメージキャラクター 人種差別の無い色してるつもり そりゃ御愁傷様 勘違いってもんだ 試しにテレビでもつけてみようかい そして御馳走様 満たされたってもんだ このかすかすな五万グラムのハートも 好きも嫌いも始めから視野にも入れずに 生理的なものだと口を揃える 「だってそうでしょう。」 好きも嫌いもあやふやにしていたいのに この関係をこれ以上壊したくない、のに… 僕の小指の脈動が途切れ始める 触手が似合うローズマリー 僕を縛る記憶 君がこんな風に歪んで見えるはずがないような 弄んでしまったかな 弄ばれちゃったかな 嗚呼 風にでも当たってこようかな… ありとあらゆる世界中の嘘という嘘を 君がある日暴露するから驚愕 でも立ち上がってこう。 信じられるものが君じゃない事ぐらい 最初からわかってたって強がれるかな 好きも嫌いもあいまいに出来ないなら いっそ嫌いだって言って駆け落ちしよう もう僕の小指の脈動は聞き取らせやしない 僕の肌は綺麗な赤 ひたすら濁らない色してる 僕と君のイメージキャラクター 仲良く手をつないでるつもり
0お読みくださりコメントまで、ありがとうございます。とても嬉しいです。 >>ももいろさん 目前の景色を書いたものなので、幻想的、とは予想だにしておりませんでした。ぼやかしがうまくいったでしょうか。珈琲も思いがけない効果を発揮したようで、ご感想を読んでいてすごく楽しくなりました。 タイトルは少し迷ってつけたので気に入ってもらえて光栄です。実はけっこう直球なのですが、ミステリアスを気取って秘密にしておきます。 >>かるべまさひろさん 書くという作業によって、目前の景色が現実から乖離して詩というものになることが出来ていたら嬉しい、のですが、私には詩のなんたるかが分かりません。 韻の踏み方が心地良くて音読したくなります。ひと皮むけば、人間みな濁りの無い綺麗な赤、でしょうか。恋愛感情、とあるけれど、単に恋愛のことを言っているのではないように感じます。ビオランテのことを思い出してしまいました。強くかなしく美しい怪物です。
0「珈琲を飲んでも眠い日」のおぼろな雑感といったものが描かれていますね。ただその内容が尋常じゃない。正しい死体とは何か、食べれる死体とは何かへの言及があり、筆者の猟奇性に似たものの奥に潜む真意をうかがい知りたくなりました。テンポも非常によく、苦も無く読ませるというのはテクニックの一つとして優れているとも思いました。
0>あの切れ味だ >正しい死体とは正しく殺された身体であると >知っているあの光 >光はみずからつくる他なく >煙る舟のゆくえ この2つが良かった。自分が今書きたい表現であり、自分の下手くそさは棚に上げて、コメントすると、自己の内面を吐露することよりも外界を表現するレトリックとかにこだわられた方がいいと思います。自分語り系、放言系のスタイルは一定のレベル以上の筆力がなければコモディティ化されたネット詩のなかでは埋もれてしまう。いや、筆力あっても埋もれますが。なので、先の2箇所みたいな表現が私は好みで、良いと思います。
0>>stereotype2085さん コメントありがとうございます。ネタをばらしてしまえば一瞬で消える程度の猟奇性ですが、思いがけずうまくベールを掛けることが出来たみたいで嬉しいので、詳細は秘密です。でもこの猟奇的に見える仕事には全世界のあらゆる人たちが間接的に関係しています。皆生きていますから。 テンポが悪くならないように気を付けて書いたつもりなので、お言葉大変に嬉しいです。精進します。
0>>三浦天才詩人果実さん コメントありがとうございます。気に入ってくださった箇所があったとのこと、光栄です。 感情表現をやるとどうにも押し付けがましくなってしまうので外界の描写を頑張らざるを得ないなあと後ろ向きに捉えていましたが、お陰さまでなんだか前向きに背中を押していただいた気持ちです。精進します。
0ある種の道具が持っている格好いい光のようなものが書かれているような気がして、何度か読み返しました。 検死か、調理か、仕事への崇拝とそれに対する自身の卑下のようなものが印象的です。 ・・・”緑色など持ち合わせないこの身の上””息もできない黄色い身体”、まるで萎れた葉を手放さないまま水を吸う植物のようで寂びを感じました。
0>>社町 迅さん コメントありがとうございます。丁寧に読み解いてくださり、嬉しく有り難く思います。 おっしゃる通り、研ぎ澄まされた仕事道具というものたちは本当に光るのです……!いつか自分の道具たちも、光らせてあげたいので、萎れた黄色なりに精進します。
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