【フランス紀行~パリ】※ - B-REVIEW
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【フランス紀行~パリ】※    

モンパルナスから宿のあるモンマルトルへの帰途、元気のあるときは歩いていたが時には地下鉄を利用した。 パリでは(私の経験では)10枚綴りの回数券を買って10枚が正常な券であることはまずない。検札機をくぐらせても、改札ドアが開かず仕方なくもう一枚、を使うことがあり、券売の黒人女性に抗議したこともあるが取りあってもらえなかった。その日は急いでいたのに、買ったばかりの10枚綴りが2枚連続で不良券だった。「んもう、」ととっさに改札ドアの隙間に体を縦にして通過した。 地下通路を歩いていると、突然地下鉄の公安官というような出で立ちの6,7人に取り囲まれた。無賃乗車の疑い?をかけられたのだ。 無理矢理改札を通ったというかすかな罪悪感はあるが、私が悪いともいえない。この微妙なところを説明できずに、「ニホンジンハ、ソンナコトハシナイ!」と精一杯の大きな声で繰り返したが、彼らは構内カメラの映像か何かの証拠があるらしく、パスポートを取り上げ、どこかに連れて行こうとするらしかった。「ニホンジンハ、ソンナコトハシナイ!」と相変わらず必死で言っているそばを、日本人らしき人たちが好奇の目で見てすぎる・・・。 絶体絶命と思っていたら、私のバッグから数日前乗ったオレンジ色の一日フリーカードが出てきた。これはかなり高額だった。それを見たとたん彼らがひるんだ。 彼らは勢い上、表情を変えないまま何となく私を解放してくれた。 またある日、日本を発つとき持って行かなかったカメラを、私は旅先のベルギーで購入した。 ソニー製の「シュバッ!」というシャッター音が快感で、なにかといえばシャッターを切っていた。 パリの交番の開いたドアにすばらしい金髪美人の女性警官が制服でこちらを見て立っていた。 私は通りしな、カメラマンのように「シュバッ!」と軽やかにシャッターを切り歩き去った。 去り際に女性警官がにっこり笑ってくれたように感じ楽しい気分で歩いていた。 10分ほどしたら、男性警官ふたりが立ちふさがり、彼らは私からカメラを奪うと、あっという間にさっきとった交番の写真を消去し、私にカメラを返し立ち去った。 また歩いていると、カザルスの子孫だという少年とその友人たちの一行に遇い、みんなでスナップ写真を撮った。 カザルスの子孫のところに私のスナップが一枚あるはずである。                  ※bレビュウ杯不参加作品


【フランス紀行~パリ】※  ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 5
P V 数 : 1168.3
お気に入り数: 0
投票数   : 0
ポイント数 : 0

作成日時 2018-09-02
コメント日時 2018-09-07
項目全期間(2025/04/11現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
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閲覧指数:1168.3
2025/04/11 12時48分32秒現在
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    作品に書かれた推薦文

【フランス紀行~パリ】※  コメントセクション

コメント数(5)
かるべまさひろ
(2018-09-03)

パリってこういうところあるよね、と僕のなかのたけちゃんが言ってそうです。読むとパリにすごく行きたくなるのですが、実際に行ったときのパリ感も同時にすごく思い出させられ、なんとも言えない気持ちになります。 僕は旅行がすごく好きなので、すごく好きな形の作品です。

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ほば
(2018-09-04)

海外旅行、未経験なオジさんですがエセーや随筆を読むのは楽しいです。この作品も良質なエセーで見知らぬパリを歩いている気になりました。ニホンジンハ、ソンナコトハシナイ、も笑ってしまいましたが最後の締め方がいいですね。

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fiorina
(2018-09-04)

かるべさん、コメントありがとうございます。 本音を言うとパリの近景は大味だし、道行く人々は(南仏と違って)不機嫌そうだし。 石造りの建物は皮膚に乾きを感じさせ、もう少し窓に緑を欲しくもなりましたが、 あの夕暮れのシルエット、遠景はやはり圧倒的で「翼よ! あれが巴里の灯だ」と言わしめた素晴らしさだと。パリ編はまだいくつか続きますが、どれも自由をすっている歓びの中に苦さが混じります。それでもやっぱり、好きな街です。 帆場蔵人 さん、コメントありがとうございます。 帆場さんはオジさんでしたか。私はお名前にもかかわらず、いくつかの作品から若い女性のように思っていました。 ニホンジンハ、ソンナコトハシナイ~私自身言いながらあれなんか変、と思っていましたが、手持ちの語彙でたたかうにはよかったかも、と後で思いました。

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ほば
(2018-09-04)

すみません、誤解があるようなので訂正を。ニホンジンハのくだりで笑ったのは、日本人をどんだけいいイメージで観てるんだ、という可笑しみからです。 純粋に面白いからなわけです。随筆は苦手なので勉強になりました。

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fiorina
(2018-09-07)

帆場さん、再レスいただいてるのに気づいていませんでした。 たぶん、帆場さんの笑いを誤解していないと思います。 あそこはいろんな意味で我ながら可笑しいので、それが伝わってよかったです。 こんな自分があんなところで思わず日本人代表になってるのもw (選評熱いときなんか、上に上がらないでこっそりレスができるボタンがあるといいが。。)

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