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選評8月分
フルキュレーションする際には何かしらステートメントみたいなものを書かなくてはいけないのかもしれない、と思ったが特にステートメントなどはないです。 全部読んでみた感想は、改行で文を区切るとなんとなく詩っぽい感じになるけど、効果的に使うのってとても難しいんだな、、ということでした。 【大賞推挙】 語り、手 なかたつ https://www.breview.org/keijiban/?id=2228 この作品のいわゆる現代詩的フォーマットがまったく鼻につかないわけではないが、悔しいことにこの作品においてはそれらがきちんと機能して効果を発揮していると認めなくてはいけない。作品が作者の誠実で切実な肉声で有る限り、作品がどんな形式で書かれようともはやそんなことは全く関係ないのだ。この作品を前にして私は作者に対して、作品に対して、作品で綴られたすべての言葉に対して、そして何より自分に対して誠実でなければいけなくなる。私がこの作品を真に理解できたというのはあり得ないことであるが、私が確実に知ってる数々の感情の痛みが、光が、温かさが、その繊細さそのままにここにはあって私は確実にそれらを知っていると言いたくなる。これは自分の物語だと、そう言いたくなる。こうした気持ちにさせられる作品はあまり多くない。 — 【優良】 季節 蔀 県 https://www.breview.org/keijiban/?id=2144 完成度の高い短詩だな、と感じた。作品を読んだ時の聴覚的、視覚的イメージの芳醇さ。 「いないいないばあ のように空が広がる」 という表現は特に巧みだと感じた。この一節で私の頭蓋の中に「いないいないばあのように」広がったのは私個人の悪夢的な記憶のイメージの数々だった。 — 【優良】 ネット詩人の墓 花緒 https://www.breview.org/keijiban/?id=2201 矛盾に満ちた語りがとても魅力的。語り手が一人の人間として、詩書きとして非常に生々しく描かれている。墓標に見立てたのであろうブロック表示の部分も非常に興味深いが、これだけ内容の密度があればこうした視覚的な仕掛けがなくてもよかったのではないか。同時にこの作品は私にとっては一種の鏡であり、作品に映し出された自身の醜悪な部分と対峙しなければいけない。 — 【推薦】 水羊羹を誤読して、彼の跳躍或いは記憶 北村灰色 https://www.breview.org/keijiban/?id=2082 北村灰色さんの作品は読むものではなく聴くものだ。たちあがる音像にひたすら耳をすますのだ。 — 【推薦】 T タムラアスカ https://www.breview.org/keijiban/?id=2076 正直私の読解力不足のため内容の意味が全然わからない。かといって音や映像のイメージが明確に立ち上がるわけでもない。それでも言葉が持つリズムや駆け引きには読み手を魅了するには十分な魅力があって気になって何度も読んでしまう。かといって私にはそこに何も見つけられない。そういった虚無感がもしかしたらこの作品の本質なのかもしれない。
選評8月分 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1225.9
お気に入り数: 0
投票数 : 0
作成日時 2018-09-01
コメント日時 2018-10-15
「私がこの作品を真に理解できたというのはあり得ないことであるが、私が確実に知ってる数々の感情の痛みが、光が、温かさが、その繊細さそのままにここにはあって私は確実にそれらを知っていると言いたくなる。これは自分の物語だと、そう言いたくなる。こうした気持ちにさせられる作品はあまり多くない」 僕は個的なことを書くのですが、その結果として目指していることについて、まさに表現していただいて、大変ありがたい次第でございます。本当にそれ以上でもそれ以下でもありません。
0まさかこの作品を取り上げてもらえるなんて夢にも思いませんでした ありがとうございます 言葉にリズムを感じていただけただけで十分です 虚無感という評価もうれしいです つくった本人は一切の虚無感がなく、むしろ楽しくつくったのに、そう感じられるということ これには言葉にするには勿体ない理由があると思いました 「本質」って言葉にするのがとても難しいものですよね だからうれしいです ありがとうございました
0ロジカルなのだが、それが心でなされる人のことばがユーモアを滲ませて、読むこと自体が私にとっては限りなく贈り物のようだ。 時々違和に対して厳しく抗議するときの明快さは、(実際にはどうか知らないが) 決して後々までわだかまりを残さない潔いものとして私には映る。 >私が確実に知ってる数々の感情の痛みが、光が、温かさが、その繊細さそのままにここにはあって私は確実にそれらを知っていると言いたくなる。 光の温かさ、匂いを感じる文体、批評です。
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