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ウォシュレット
現代詩の始まりに関しては様々な議論がなされてきたが、丸煙管男爵による「ウォシュレット」を現代詩初期における最も重要な作品とする点では大半の批評家の間で意見が一致している。「上記には消費税は含まれておりません」とだけ記されたその作品は、作者によれば世間に溢れる大量の言葉の中から全く無作為に、かつ審美眼を徹底的に排除して選ばれたものであるそうだが、その作品発表直後に消費税が突然予告なしに大幅増税されたことにより、小さなネット詩投稿掲示板「ガンジー」に投稿されたにもかかわらずSNSを通じて大量に拡散されて若者の話題をさらっただけでなく、名だたる詩誌がこの作品を特集。批評のシステム自体をアイロニカルに批評する自己言及的作品として絶賛され、その批評的手法は「淑女」と名付けられ後世に名を残すことなった。現代書かれるすべての現代詩作品は、良くも悪くもこの作品のコンテキストの中で語られ評価され、批評されている。丸煙管男爵はこの作品の後「暇つぶしチャリ」など同様の批評的な作品をいくつか残しているがどれも「淑女」の手法を発展させたもので、特に晩年の詩集「ボロークンマイハート」では「俺は天才」という言葉で単行本1,000ページをすべて埋め尽くし、そのあまりに思い切った紙代、インク代、印刷代の無駄遣いが彼の出世作「ウォシュレット」の「上記には消費税は含まれておりません」への自己言及であると大いに評価され、今に至るまで現代詩作家の間では、自分の過去作品への自己言及を繰り返すことが定番の手法となっている。例えば「」を幾重にも入れ子にする「「「レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン「「「」」。「「。」や「、」といった句読点を連打する「スパイラル・モヒカン」。。、。。、や、「(文章をバラバラにして))から再構築する「こぴぺ」」。これらのすべての合わせ技である「タヒ」といった手法はすべて丸煙管男爵の「淑女」へのオマージュ的手法という文脈の中で語られようになる。 もともとネット詩投稿掲示板「ガンジー」はより古くから運営されてきた大手のネット詩投稿掲示板「ヤクザ」に対するカウンタームーブメントの中から生まれたもので「ヤクザ」で日常的に見られた辻斬りや切腹、強制丸刈りといった古来からの伝統的批評手法を批判するために生まれた。そのため「ヤクザ」では即切腹させられたような作品が「ガンジー」に多く投稿されるようになり、「ヤクザ」で見られたアカデミックで重厚な汗くさい作風のものよりは、よりポップでシニカルな作品が多く投稿されるようになる。辻斬りや切腹、強制丸刈りといった行為は一切禁止。こうした行為に及んだ者には即切腹を命ずるという厳格な運営方針を掲げて始まった「ガンジー」には当初「ヤクザ」の常連投稿者が殺到。強制丸刈りと辻斬りが横行したためにその初期には多くの死者が出たと言われており、運営開始当時「ガンジー」は「ロベスピエール」という愛称で親しまれた。「ウォシュレット」の成功以降、「ウォシュレット」の二番煎じのような作品ばかりが投稿されるようになり、その事態を重く見た運営陣は総辞職。掲示板開始から約1年半であった。掲示板は別の有志に引き継がれ名称を「ウォシュレット」と改名して現在に至っているが、「ウォシュレット」でググったところでTOTOのウェブサイトが上位に引っかかるのみであり、「ウォシュレット」にたどり着くのは非常に難しい。アクセスする度にURLが変化するSMTPという技術を実装しているためにブックマークすることもできないので、「ウォシュレット」はネット界の有名な都市伝説として語られるようになった。 なお「ガンジー」の創設者は丸煙管男爵本人であることがその後の調査から判明しており、しかも丸煙管男爵は権威ある某詩誌の某編集長のハンドルネームであることも明らかになっている。丸煙管男爵は「ガンジー」の名前が「ウォシュレット」に改名されたことに激怒し、詩作をすべて中止。丸刈りにした後、残りの人生をすべて将棋に捧げた。丸煙管男爵による詰将棋作品「ウォシュレット」は24,678手詰み。史上最多手の詰将棋としてギネスブック登録されている。が、消費税増税の直前に当時の首相に莫大な賄賂を支払っていたことが暴露され現在服役中である。これがかの有名なウォシュレット事件である。 現代詩は死んだのだ。
ウォシュレット ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1271.8
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-08-04
コメント日時 2018-08-15
項目 | 全期間(2024/12/27現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
花緒さん コメントありがとうございます!そうですね、推敲含めて30-40分くらいで一気に書き上げました。ビーレビ運営のみなさんが退陣される前に是非1作こういう詩そのものをテーマにしたものをアップしておきたいな、との思いで書き上げたのでコメント本当に嬉しいです。これまで運営本当にお疲れ様&ありがとうございました!2代目ウォシュレットもまた気が向いたら書いて見ますね。
0とても面白かったです。今の所、8月投稿分では個人的に一番です。ノンフィクションを交えたフィクションか、フィクションを交えたノンフィクションか分からないまま、虚実ないまぜの世界、文章に惹き込まれて行く感覚がありました。評論的でありながら詩作品として成功しているし、「現代詩は死んだのだ」というフレーズも、もし仮にそれに常套句的な一面があったとしても、インパクトがあって好きです。次回作、期待しています。余談ですが、ちなみに僕も「サンプリング」の次回作を構想中です。
0stereotype2085さん コメントありがとうございます!多分ネタばらしをしてしまったほうが面白いと思うのでネタばらししてしまいますが、マルセル・デュシャンの「泉」っていう便器作品をネタにして書きました(ご存知かもですが。。。)。運営のみなさん退陣されるということなので、何かしらビーレビそのものをネタにしたものを書いてはなむけとしたいという思いがあり、一斉退陣される前に急いで書いた次第でございます。書いててとても楽しかったのでいろいろ褒めていただいてとても嬉しいです。「サンプリング」の次作、楽しみにしてますね。
0ビーレビの代表の立場にある者がこの作品にコメントしないわけにはいかない。 ビーレビ2.0が終焉を迎える。誰もが幻想した。ブランキーの世界で一番新しい国だったのかもしれない。窮地に追い込まれて打って出た戦前日本の満州国だったのかもしれない。あるいは「ガンジー」だったのだろう。ガンジーの伝説とは何かを考える。アヒンサーか、はたまた、理想的運動論か。いづれにせよ、ムーブメントだ。ある者は健全であろうと訴え、ある者はいや違うといい、無政府による完全自治の理想主義を掲げる。それらの思想・思考を言語化することをムーブメントとは言わない。評論家だ。何も変えられない役立たずなご意見番。僕たちはうんざりしていた。僕たちは何も変えられないし連帯もなければもちろん革命もなく、戦争は嫌だけど、ないんだそんなものは。と、survofさん、あなたと私は、そんなげんなり感は共有していたと思う。げんなりな大人にはもううんざりだ、せめて嘘でもいいから、なんちゃってでもいいからムーブメントになりたいと、僕たちは共有していた。あなたが提案した全員参加型の選評は現代詩の死滅とともに流され消えてゆくのかもしれないね。ムーブメントとはそういうものだし、最初から永遠なんてクソだとわかっていたよね。クソはウォシュレットの汚水の彼方に消えていくんだ。うん。
0三浦さん 三浦さんのコメント、はじめて本気で嬉しいと思いました。たしかに三浦さんと私はかなりの部分、同じものを共有していたと思いますよ。そしてそれを言語化する点において、やはり三浦さんのコメントのほうが私の作品なんかよりも数倍雄弁だ。「せめて嘘でもいい」。三浦さんが繰り返し使ってきたこの言葉、大っ嫌いですけど、今この瞬間だけはちょっとだけ同意してもいいかもしれない、なんてそんなくだらないセンチメンタルに汚されちまった哀しみはたった今、ウォシュレットの汚水と一緒に下水に流してまいりました。
0一つ一つの作品やコメント、書いて読んでと言う単体の行為が、このようなうねりとして波打っていて、個人を押し流したり、引き戻したり。一見空しく思える活動が、そこに深く足を入れたものにしか味わえない歓びというかたちで、充分報われていることを思いました。本当に凄い筆力ユーモアのセンス!
0fiorinaさん コメントありがとうございます!fiorinaさんのコメントには深く共感します。書くことに限らず「表現」と呼ばれるものは他者の評価を求めた瞬間にひどく虚しいものになるような気がしています。ビーレビでは純粋に楽しみのために書いて、楽しみのために読んで、そしてだれかが読んでくれて「評価」云々とは別の軸であるいは共感だったり伝達であったり共有であったり、それは非常に刺激的で、評価されることよりも何よりも深い歓びがそこにはあって、それがこの空間を何よりも魅力的な場所にしていると思います。それからfiorinaさんに筆力を褒めていただけるのは大変な光栄でございます!
0いやあ、おもしろい。 ぞくぞくしました。 実はわたしは、この作者を良く良く存じ上げているのです。詩誌ではなく、文芸詩でもなく、著名な現代詩想系の(厳密な会員制なので、なかなか店頭には見かけず、なおかつ、ネットでも購入不能なのですが)隔月刊行誌のメイン執筆者です。(これは、ご本人の了承を得ずに、開示している情報です) この文章が虚偽であるのか真実であるのかの判断は、読者各位にお任せしますと共に、すべての文責は「まりも」というハンドルネームを持つ雑文家(65歳男性、独身)にあることを明記しておきます。
0まりもさん やはりこの方と面識があったのですね!例の隔月刊行誌、本当に手に入らないんですよ。一度だけ友人が実物をみせてくださったのですが、まず鉄格子にいれられて監禁された状態で、檻の外で1ページずつ友人がめくってくれるという何とも厳重な警戒体制でした。。。汗。しかも誰も手放さないからネットオークションや古本でも手に入れることができず、噂によるとバックナンバーの中古販売さえも密やかになされている模様。ディーラーに接触するだけで紹介料がウン十万、おまけにバックナンバー1冊にあまりにプレミアがついて家が建つほどだとか、そんな話も聞いたことがあります。どうりで、かの友人は風呂なしアパートに住んでいたわけだ。。
0おわぁ、こんなところに隠れファンがいたとは。編集長に伝えておきます、もっとも、彼はいま、たしか宇宙旅行中なので、いつ返信が来るか・・・
0あれ?服役中だと書いてしまいましたが、宇宙旅行中だったのですね!?やはりただでは転びませんね。。笑
0どの後で一番笑ったかを、書いておきますね。→切腹
0うれしいです!切腹だけはどうしても外せなかったんです、笑
0どの語ね。「日常的に見られた辻斬りや切腹」このぶんみゃくで・・w
0「丸煙管男爵」は著しく品位に欠けるHNで、作品内容もお粗末。センスなし。「ガンジー」時代からあの掲示板に出入りしていた僕も随分苛つかされました。某巨大掲示板では正体が色々推理されていましたが、まさか本当に詩誌の執筆者の一人だとは思いませんでした。 もっと驚いたことは、センテンスオータム誌上で暴かれた例のタックスヘイブンの小国が、爵位の売買を仲介していて、丸煙管氏が日本人で唯一の爵位購入者として挙げられていたことですね。訴訟リスクを考慮してか、名前は伏せられていましたが、「前衛詩で名を馳せた著名なネット詩人M氏」と書かれたら彼ですよね? HNは虚構だが爵位は実である、そしてその実は不正に近い手段で 売買されたものである、とそういうプロフィールに仕込まれた自己韜晦が彼の詩のナンセンスさを裏打ちしていた訳です。 この前、自分の詩集を売りつけるために闇の方の「ポエマート」に潜り込んだとき、酔っ払った爺さんが「丸煙管は仮釈放中に逃亡して偽造パスポートで火星行きのソユーズに乗り込んだんだ」と騒いでいるのを見ました。誰も聞いていませんでしたが、ここのやり取りでちょっと信憑性が上がりましたね!いや、ほんのちょっとだけですよ。
0右肩ヒサシさん 著しく品位に欠けるHNでしかも作品が全くセンスなしのお粗末でありながら、だれもが気にせざるを得ない存在。ある意味すごいですよね。。しかも爵位購入者とは!初めて知りましたが驚きを隠しきれません。「前衛詩で名を馳せた著名なネット詩人M氏」といえば、ほかにもう一人覚えがある人がいないでもないですが、おそらく男爵氏でしょうね。ある時から彼は「丸煙管公爵」っていう変名でも投稿するようになったので、おそらく間違いないです。偽造パスポートで思い出しましたが、彼はその手のことは詩を書くよりずっと得意だったらしく、ある時などは他人になり済ますために、他人のサインをプロジェクターに大きく映し出して、それをなぞる練習を重ねることで完全にその人のサインを書けるようにしたとか。。まあ、その時は彼の友人の遺体が彼が乗っていたボートから発見されたことでパスポート偽造がバレて逮捕されているんですが、いやはやそれにしても犯罪歴と逃亡率の高さはやばいですよ。そっか、今回も仮釈放中に火星に逃亡したかもしれないのか。。なんか生命力がゴキブリなみだ、汗。
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