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きつねび
足跡から根を 遺さぬようにして あなたが列を成して 群がってきます 夕闇を閉じる役目を今日は 果たせずとも構わないでしょうか 眠り方を忘れてはいつも あなたは飽きるほど この頬を 撫ぜてゆきます お揃いに延ばした髪が 雨を呼ぶかの如くざわついています この胸に繋がる鎖は いずれ幾重にも編みこまれ あなたの手首から 離れなくなるのでしょう あたしは それで 未だきえることをゆるされず またちろちろと 夜半を越えるのです
きつねび ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 821.2
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-03-23
コメント日時 2017-04-01
項目 | 全期間(2024/12/21現在) | 投稿後10日間 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
子どもの頃に「ゲゲゲの鬼太郎」のマンガやアニメ、「妖怪百物語」や「妖怪大戦争」といった大映作品などに夢中だった世代なので、狐火や人魂や鬼火といった言葉には怖さと懐かしさが入り混じったイメージがあります。一方、吉田秋生の「きつねのよめいり」や緑川ゆきの「夏目友人帳」といった少女マンガでは、恐ろしさよりも妖しい美しさが強調される場合が多いようです。私が幼い頃に住んでいた地域では「狐の嫁入り」と言うと主に天気雨の意味だったのですが、狐火と関連付ける伝承も各地に残っています。 さて、この詩における「きつねび」は語り手自身を象徴しているようです。私は、この詩を「あなた」との許されぬ類の恋愛物語として読ませてもらいました。愛する人の振る舞いはいつも身勝手なのに、愛ゆえに語り手はそれを拒むことができない。「あなた」への複雑な恋愛感情は、狐火のように妖しく揺れながら決して消えることがない。そんな女性の情念のようなものを、この詩から感じ取りました。的外れな解釈だったら、ごめんなさい。短すぎず長すぎず、余計な装飾もない上手くまとまった詩だと思います。
0「あなたが列を成して」このあたり、ヤン・トーロップ(世紀末象徴派、だった、と思います)の絵を連想しつつ・・・言葉の流れが綺麗なので、おどろおどろしい感じがしないところが良いなと思います。 「夕闇を閉じる役目」を語り手は担っている。そんな神話的な部分に惹かれます。 あなた、は私の頬をなでてくれる、のに・・・わたし、からあなたへと切なくのびる鎖、に象徴されるような、片思い、あるいは行き違いのニュアンス。 そうですね、もとこさんが既に書いておられますが、女性の情念・・・どこかかわいらしさも含んでいるのは、柔らかく丁寧な語り口にあるのかもしれません。
0もとこさん、コメントありがとうございます。「狐」と「火」の組み合わせそのものが人を惹きつけやすいようで、今回はそれに甘え過ぎたきらいがあるかもしれない、などと考えていたところです。 まりもさん、コメントありがとうございます。言及されていた画家を知らなかったのでググりました。思いもよらないところにイメージが繋がるのは、うれしいです。
0ずるい読み方をしてしまいますが、いきなり結末に触れますと「あたしは それで/未だきえることをゆるされず」というのは、ひらがなで書かれているので柔らかく見えますが、「ゆるされず」という強い使命感=責任感が伴われています。なぜ、この「あたし」がそういった使命感を持っているのでしょうか。それは無論あなたの存在があるからです。 ここで気になるのが、あたしにとってのあなたがどういう存在であるのか、ということです。その文脈を探るには、ここにあるだけの表現で伺いしることができません。ただ、作中には用いられていないのですが、「きつねび」のように浮かび上がってくるあなたの存在をあたしには見えるということでしょう。この見えるというのが、実在しているあなたを見ているのか、それとも、実在していたあなたを呼び起こして見ているのか、さらには、実在していないあなたを想像して見ているのか。これらすらも確証をもって判断することはできません。 あくまでも、直感的なものとしては、実在していたあなたを呼び起こしてみているのだろうと思います。というのも、「あなたは飽きるほど/この頬を/撫ぜてゆきます」や「あなたの手首から/離れなくなるのでしょう」という身体的な距離感の近さをあたしが感じているからです。 あなたがあたしをどう思っているのかは皆目わかりませんが、あたしがあなたをどう思っているかは描かれている以上でも以下でもないとしか言えません。きっと、あなたのためにあたしはきえることをゆるされていないという強い使命感を抱いており、「夕闇を閉じる役目を今日は/果たせずとも構わないでしょうか」というところにも繋がっていたんだと思います。ただ、この読み方をすると矛盾してしまっていて、夕闇を閉じる=夕闇が始まる=夕に灯りがない状態であるはずであり、さらに、「またちろちろと/夜半を越える」のだから「今日は」ではなく、「今日も」果たせない気がしていて、最後に、きつねびであるのはあなたではなく、実はあたしなのではないかとよくわからない状態になりましたが、無理やり終わりとさせていただきます、申し訳ございません。
0なかたつさん、コメントありがとうございます。別の場所で、私の作品について「説明不足と説明過多を同時に感じる」といった内容の評をいただいたことがあるのを思い出しました。意図的にそうしていることもあるのですが、今作はもしかするとそのコントラストがとりわけ強く、結果なかたつさんを混乱させたのかもしれません。目論見半分、計算外半分ってところでしょうか。
0女性的みたいな所を感じるのは >お揃いに延ばした髪が >雨を呼ぶかの如くざわついています > >この胸に繋がる鎖は >いずれ幾重にも編みこまれ >あなたの手首から >離れなくなるのでしょう こういう所でしょうか。伸ばした髪を鎖骨のイメージにかけていく。そこから編みこまれた心の呪縛を手首で表現している所、 >眠り方を忘れてはいつも >あなたは飽きるほど >この頬を >撫ぜてゆきます こういうタッチの仕方っていうのが、まぁ女の子ぽいいのかなとおもいました。多分着目の仕方が繊細な部分に向かっているからそう感じます。漫画なんかを読んでいる時に、男と女の漫画家だとちょっと違いがあったりするみたいな話から適当にそう思っただけなんですけどね。 後はなんだろう。きつねびは魂のようにも感じます。ただの火の魂というよりは、幻影の節があるというか、そこらへんが心のイメージに上手くかぶさっている選語なのかなぁと思います。 読んでいてどっちつかずな印象もありつつ、ちゃんと読み込もうとすると読めそうなきもするけど、読んでみるといい感じに外されてる所もあり、流して味わうのがいいのかなと思う作品です。(するっと読めたのは引用した箇所のみです。) 結論をいうと、きつねびが支えのイメージとして上手く機能しているし、それが掴めれば楽しめる作なのかなとおもいました。
0hyakkinnさん、コメントありがとうございます。 作品を書くとき、タイトルを読み込まないことも含めて、「これはこういう解釈で良いだろうそうに違いない」と思われるのを自分はずっと無意識に避けてるのかもしれない、コメントを読んでそんなことをぼんやりと思いました。
0花緒さん、コメントありがとうございます。やはりこの作品も解釈を拒む側面があるようですね。それでも魅力があるとのこと、嬉しく思います。
0「きつねび」と言うと確か俳句の季語にもあったと思います。鬼火とも言って、燐火のことらしいです。狐が口からは居ているという民間伝承があるらしいです。この詩の中では一言も「狐」とは出て来ないですが、狐が感じられました。
0エイクピアさん(不思議なHNですね)、コメントありがとうございます。私のタイトルを本文に読み込まない手グセは、もしかするとこういう感想を得るためにあるのかもしれません、などと。
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