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母の飯
母の為に母の飯を食った 不味かった 砂の味だ そして母は怒鳴り続け さっさとしろとせっついた その飯を作るための金を稼いでいるのが父だということも 教えようとしなかった 飯粒ひとつ残さない自分を あまり考えたことがなかった 礼儀だった 手に負えない野獣のような母に 誰も関わりたくなかった 黙って飯を食った 残さずに 父の為に だから 飯が食えない人間のことが分からない 食わなくていい人間のことが分からない その飯を食わなくても死なない人間のことが分からない その飯を食わなくても怒鳴られない人間のことが分からない 父の飯が食えない人間のことが ほんの 3歳か4歳の頃から分からない 別にいいんだ ただ溜め息だけが出る 小さいことをコンプレックスに でかいものに食って掛かりながら いつまでも 子供でいていい人間のことが 俺には分からないだけだよ 箸を持つ ご飯を食べる 汁を啜る 今日あった良いことを話す 目を合わせる 笑う 小さなことだ でもそこからしか何も生まれない そして母は 食卓を叩き割りながら こう言った 「私はお前らを愛している」と そして 結局思いつく限りの何もかもを壊した 母の為に母の飯を食った その時間ももうすぐ終わる 私は母に費やした時間を 取り戻すことが出来ずに死ぬだろう 親というものが身勝手で 無責任で 害悪にしかならないことがあると そう呟きながら 吐くまで 母の為に母の飯を食った 父とふたりで 静かに いつかこの時に終わりが来ることを 知っていながら 密やかに 黙ったまま ふたりで
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母の飯 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 492.2
お気に入り数: 0
投票数 : 3
ポイント数 : 0
作成日時 2025-04-05
コメント日時 2025-04-11
項目 | 全期間(2025/04/12現在) |
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叙情性 | 0 |
前衛性 | 0 |
可読性 | 0 |
エンタメ | 0 |
技巧 | 0 |
音韻 | 0 |
構成 | 0 |
総合ポイント | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
そうですね... 反省を促されているようです。
0なんだか、母としてグッと胸に迫るものがありました。
0愛というものが妥協的産物という側面を持っていることをよく表している作品と思います。 親の我儘に強制的に付き合わされ、何ひとつ自分の思う通りには出来なかった。その献身が親への愛だとしたら、愛というものはとても悲しいものだと思います。 私も通いたくもない医療業界に強制的に入れられ、福祉業界に搾り取られるだけ搾り取られています。 親の我儘、医療業界の我儘、福祉業界の我儘、それを見て見ぬふりをする世間というものの我儘一心に背負い、アイデア溢れる愛でいっぱいの毎日を送っておりますよ。
0コメント有り難うございます。 親のわがままを、私は許しません。 私達は許しません。 それがどんな辛い選択であれ、彼等よりも賢く、大人になります。 そうでなければ、子として育てられた意味はないので。 それが彼等が私達を産んだ本当の目的だから、というか。 万太郎さんに、そんな愛も置いておきます。ご査収ください。
2まず、この詩の“母”とは、本当に“母”のことなのか? 本当に“母”のことを書いている部分と、 違う“母”のことを書いている部分と、 読み分ける必要を感じます。 一連目は、本当に“母”。 二連目は、 >手に負えない野獣のような母に とあるので、 ネットのことを書いているなら“荒らし” もっと大きなものかもしれないです。 三連目は、本音。 四連目、 >別にいいんだ から、イメージする人物はおりますが、 敢えて、名前を伏せます。 五連目、美しいですね。 基本的なことの所作だからこそ、美しいです。 六連目、やはり怪物。理不尽な支配者。 七連目、ここは読み分ける必要がありそうです。 >取り戻すことが出来ずに死ぬだろう までが、理不尽な支配者に、ずっと抵抗してきた自分。 >親というものが身勝手で ここからは、本音。 八連目。 ここは、本当に“父”のことですか? ずいぶんと親密で、恋人のようだと思ったのですが。 ちょっと、全体を通してのイメージの統一は、私には難しいです。 ありがとうございます。
0これを読んだすべての母の方が、何を血迷ってかこの「ふたり」に当たる姿が目に浮かんで。 そういうものなのです。すべて弱い方へと向かいます。だから、あまりこういうことを書きたくないので。 有難うございます。
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