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衒学鳥
赫赫たる蒼穹に舞う翡翠の影、 羽摶き一閃、風を裂く翮の響。 風韻濃密なる虚空に、その声は如き翡翠琴の奏。 哢声は黄鐘調に流れ、 万象の縫い目を紡ぎ、永劫の詩篇を描く。蒼茫たる雲海を翔けるそれは、 神霊の如き尊容をたたえ、 霜天に一筆、銀砂を散らすかの如し。 霓裳羽衣をまといし姿、 その煌めきは幽邃なる森羅をも射抜く。闇黒の宵に佇む梢、 梢に佇む影は、剣閃の如く鋭利に、 万籟の声を呑み込みつつ。 無声の叫びは天地を貫き、 その翳りは無明の淵より立ち上がる。彼の鳥は、ただ一羽の幻影にあらず。 無数の翅音、千々の羽搏きは、 人寰の理を嘲笑い、 滔々たる時流を飛び越える。塵芥の如き市井の喧騒を後に、 幽玄を裂きながら、 その軌跡は、無窮の星図に描かれる。 天穹の彼方、焉何に向かうとも知れず、 翼はただ風を孕みて、 悠然と彼方へ、彼方へと。羽翮の一枚ごとに宿るは、 無数の夢想、虚構、追憶。 光と影の交錯する狭間、 いざないの彼方にて、 鳥は言う ——「永劫の飛翔こそ、 我が宿命なり」と。 彼方に去りゆくその影を追い、 人は足を止め、眼を閉じ、 一瞬の永遠に耳を澄ます。 その声、果たして夢か現か。 否、鳥は今も飛び続ける。 蒼穹の涯に、無言の詩を描きつつ。
衒学鳥 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 995.0
お気に入り数: 0
投票数 : 3
ポイント数 : 0
作成日時 2025-01-28
コメント日時 2025-01-29
項目 | 全期間(2025/03/08現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
中沢さんの詩はカッコいいなあ。
1いつもお読みくださり大変嬉しいです。 この詩は匿名で投稿したかったのですが、間違ってそのまま投稿してしまいました。 作風が大きく異なる中で、コメントくださりありがとうございます。
0だいぶ皮肉な挑戦しているように思いました。この鳥がそうなのか、読み手がそうなのか。どう答えてもひけらかしになってしまうんですよね。怖い怖い。なのでこう返しておきますね。これ、詩集の最初に入っていたら盛り上がる。最後でもいいですね。いつもと違う調子の詩なので、意味も踏まえて映えると思います。おもしろかったです
1一票
0擬古的なのに、衒ってる感じもせず、 読んで直ぐ理解できる。作者の力量という他ない。
1いつもお読み下さり大変嬉しく思います。詩集を想像してみて、どこにこの詩をおくか、考えたこともなかったのでコメントいただいてとても面白く感じました。違った作風でもコメントいただきありがとうございます。
0お読み頂きありがとうございます。 衒っている感じがしないというのは些か想定外でしたが、可読性が相応にあるようで甚だ嬉しく思います。
0粋ですよね。古いお江戸の小粋さを眼にする様です。初見で読めないから雰囲気だけで感想してます。 こういう詩は日本人にしか書けないのだから、最後の一人になるまで頑張ってほしい。と思いました。
1いつもお読みいただき大変嬉しいです。 日本語の見た目、響き、リズム、雰囲気のどれもが「いき」だと思っております。 少々仰々しい表現や字面であったかと存じますが、小粋と感じていただきありがとうございます。
0冬鳥と言うのか、翡翠が印象的なのですが、翡翠は夏の季語と言うのが、納得できない普段の感情はこの際封殺しました。「鳥」と言う一般化。永劫の飛翔とは何か、謎解き要素にこの詩の魅力があると思いました。
1お読みくださりありがとうございます。 翡翠をどのように読むのかは、読み手に任せることにします。 魅力があるとおっしゃっていただき嬉しく思います。
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