唇の皮に色が着くよう - B-REVIEW
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ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



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唇の皮に色が着くよう    

接吻を 夢見ていたことがあって接吻の 絵を描いた 見えるものは現実とは違う あたしが夢見たものは遠く届かないところにあった 棚の上、飛んでいる飛行機の中 あたしはそこに無理矢理に飛び込んでいって 無理矢理に手に入れた 泥棒 と 呼ばれる こともしてしまいました 清廉潔白 な愛からだと信じています 誰かを傷付けるような能力は自分には 無いのだと信じています 「それこそ傲りといふものでせう」 自分が誰かを傷付けるなんていうのはさ 接吻の絵が本物になった日 あたしはもう随分大人になっていた これまでの接吻は全部接吻ではなかったみたいに おもいたくなってきてしまうものー 母さんの乳を飲んでいるみたいだもの 愛が流れ込んで来ているみたいに見えるもの そして、何かを食べると消えていってしまう 何もなかったみたいに. あたしはなんだか唇があるのかないのかを確かめたくなってきてしまう そしていつもあるのに 接吻を忘れた唇は 何かを失くしたみたいになっているから もう嫌になっている


唇の皮に色が着くよう ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 10
P V 数 : 1098.7
お気に入り数: 0
投票数   : 0
ポイント数 : 0

作成日時 2017-03-14
コメント日時 2017-03-20
項目全期間(2025/04/10現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
可読性00
エンタメ00
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音韻00
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閲覧指数:1098.7
2025/04/10 22時27分46秒現在
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    作品に書かれた推薦文

唇の皮に色が着くよう コメントセクション

コメント数(10)
塚本一期
(2017-03-14)

すみません!プロフィールいじったら名前が表示されなくなってしまいました! イタズラじゃありません。塚本一期と申します!

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なかたつ
(2017-03-14)

 この接吻の絵には、誰が描かれているのでしょうか。あたしと誰か、なのか、誰かと誰かなのか。つまり、あたしがあたしを直接見ることができないために、あたしが接吻するのを夢見るということは、あたしを客観化した事物=絵に落とし込むことが必要になったのでしょう。見るためには、見るものと見られるものの間に距離が必要です。  話は変わりますが、誰かと握手する時、それは誰かの手を握っているのと同時に誰かに自らの手を握られているという能動と受動が同時に起きています。それは、接吻についても言えることでしょう。接吻するということは、接吻されるということ。  「いつもあるのに接吻を忘れた唇」は、接吻することを忘れたのでしょうか、それとも、接吻されることを忘れたのでしょうか。いや、することもされることも忘れてしまったのでしょう。たとえ、「母さんの乳を飲んで」いたとしても、おそらく接吻そのものの魅力としては何かにかけているはずです。そこに、「愛が流れ込んで来」るのかもしれないですが、唇が乳を求めようとも、乳は唇を求めないでしょう。  唇が求めているのは、唇。他人がいくら隣で「痛い!」と言っても、その痛みを代わりに引き受けること、実際の痛みを感じることはできません。それでも、他人の痛みを痛いものとして思えるのは、私自身の経験から痛みの推測をするしかないのです。唇と唇が触れ合う接吻は、することとされることが同時に成り立つからこそ、他者に対して入り込む感覚があると同時に、他者が入り込んでくる感覚が味わえるので、私と他者の境い目がなくなるような感覚に包み込まれる麻薬なようなもの。 (なんだか、接吻論みたいなものになってしまい、申し訳ありません)

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百均
(2017-03-14)

塚本一期さんこんばんわ。百均です。 名前の方表示されないみたいですね…大変申し訳ありません。 僕じゃ原因が分らないので、少しインフラ担当に相談しておきます。 もし名前を変更する際にトラブルが起きたのでありましたら、僕らの方で、アルファベットから漢字表記に直しておきたいと思います。お手数おかけして大変すみません。後、これは余談ですが作品の投稿お待ちしておりました。後ほど読ませていただきます。

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まりも
(2017-03-14)

「あたし」という主語なのですが、なぜか「わたくし」と語る主人公のような気がしました。どこか懐かしいような、小津映画のような静かな流れの・・・愛のままに突き進みたい、と願いながら、結果的に妻ある人と恋に落ちてしまった、そんな物語を感じます。 冒頭の立ち上がり、通常なら文末の「接吻の」は、次行に送るでしょう。 それをあえて一行におさめることで、一気に「言い難い」ことを言い終え、息をつく語り手の呼吸のようなものが感じられ、そこから思いが立ち上がり・・・次へ次へと、進んで行く。得られた「愛」と思っていたものは、想いとはかけ離れたものだったのかもしれない・・・誰かを傷つけてまで愛し、愛されたはずの男性との関係も、実は幻想だったのかもしれない・・・そんな想いが、行間に折りたたまれているように思う、のですが・・・抑制され、切りつめられた小説、のようなストーリー性(ストーリ―の細部の描写を省いて、想いだけで綴ったような)を感じるから、かもしれません。

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塚本一期
(2017-03-14)

なかたつさん 初めまして! レスありがとうございます! 接吻論を語って頂けるとは、ありがたいことです。 接吻にもいろいろありますね。その中でも、究極の接吻を求めている主人公の話です。 お互いが溶け合うような、そんな接吻を経験したがために、失っても忘れられなくなってしまった。そんなとき、人は自分の唇を探すんではないかという、私なりの感覚でしかないのですが、なかたつさんのように、理論立てて文字列を組み立てるのがなかなか難しいので、申し訳なくおもいます。 何にしろ、初めてのコメント、とても嬉しく拝見させていただきました。 ありがとうございます!

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塚本一期
(2017-03-15)

百均さん こちらこそ、お手数をおかけいたします。 漢字表記に変更しようとしたのですが、上手くならなかったようです。 読んでみていただければ、幸いです。 花織さん 天才詩人さんに、よろしくお願いしますと伝えてください。 確かに、接吻には限らないことでしょう。 何かを熱望するようになると、無いことがおかしなことのように感じられるのです。 みなさんの、詩にかける情熱とも同じでしょうか。不思議な感覚をしたためるのは、楽しいものです。 読んで下さって、ありがとうございます。 まりもさん 鋭いです。これだけの少ない単語の集まりから、それだけのストーリーを見出せる方がいるのかと、驚いています! 解釈は、どんな風でも良いとおもいます。私が遺したいものも、これっきりの、一見意味不明な単語の連なりです。 何かを感じ取って下さる方々には、拍手喝采です。 ありがとうございます!

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三浦果実
(2017-03-15)

「親愛なるパパとママ。私は今日、魂の震えるキスを知ってしまいました」 これは、Charaのソウルキスというアルバムのイントロ歌詞なのですが、これはきっと、優しい年上かなんかのボーイフレンドにキスを突然実行されてしまったガールのセリフだよなってイメージするわけですが、本作『唇の皮に色が着くよう 』で描かれるキスも無理矢理感がさく裂していて、私は、この無理矢理なキスが描かれた世界が、好きですね。いや、読者諸氏にとっては、三浦くんのキスの趣向なんてどーでも言い訳なんですが。。 しかし、親としては、娘に魂が震えるキスを知っていて欲しいですよ。うちの娘ももう、二十代半ば過ぎて、大人になっちゃったけれども。本作でも描かれる「大人になっちゃった感」って、なんだか、仄暗い系男子だけではなく、女子にも色々とあるぉねーって、考えてしまいますね。はい。

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もとこ
(2017-03-15)

思春期になれば、大抵の人はキスとかその先への興味や憧れが出てくるものだと思います。中高生くらいの男女が2人きりになった時に、女の子の方が「ねぇ、キスってしたことある?」と誘うような目で男の子の顔をのぞき込むとかは、昔からの恋愛創作モノのお約束のひとつです。萩尾望都の「10月の少女たち」というオムニバス短編では、主人公の1人であるトウラという女の子が前述のパターンで隣に住む男の子とキスをするのですが、彼が予想以上に「大人」であることに気が付いて、パニックを起こして泣いてしまいます。「新世紀エヴァンゲリオン」でもアスカが同様の展開でシンジとキスをしますが、やはり直後に相手を拒絶する態度をとります。もっともアスカの場合は、シンジがキスしながら抱きしめてくれなかったことで傷ついたのだと個人的に解釈していますが。 とにかくキスやセックスの現実というのは、必ずしも理想通りのものになるとは限りません。この詩に出てくる女の子はキスに憧れていましたが、初めてのキスは理想とは違ったようです。もしかしたら、略奪愛のような関係だったのでしょうか。しかし彼女は第2連において自己弁護に終始します。その主張内容は、むしろ清々しいくらい。でも、この時点で彼女は自分がかつて憧れていたキスと、その前提である愛からは遠く離れた所にいることを痛感しているのではないでしょうか。そんな彼女にとって、その後のキスはすべて味気ないものになってしまっているようです。 最終連は、何となく諸星大二郎の「赤い唇」を連想させました。「妖怪ハンター」シリーズの怪奇短編なのですが、この詩の女の子もこれ以上の深みにはまると「赤い唇」のようなバッドエンドを迎えてしまうのかも知れません。

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百均
(2017-03-19)

>接吻を 夢見ていたことがあって接吻の >絵を描いた >見えるものは現実とは違う >あたしが夢見たものは遠く届かないところにあった >棚の上、飛んでいる飛行機の中 >あたしはそこに無理矢理に飛び込んでいって >無理矢理に手に入れた  この始まり方が印象的。唇の絵を書くという所から手の届かない棚から、飛行機に一気に飛んでいく飛躍の気持ちよさが、夢のなかで時々起こるような、情景が次々とトリップしていく様が目に浮かびます。前作とはある意味真逆な作語りの雰囲気をかんじました。点っている蝋燭に照らされ、浮かび上がった唇から、静かで、正に論を語る時のような語り口調で話が進行していく気配をかんじました。  冒頭の一連で心が結構掴まれたのですが、叙述のダブりみたいな所が気になると言えば気になるか。でも整理が付けばつくほどこの詩の味が落ちていく感じもしますね。色々ごちゃごちゃ言いましたが、面白かったです。

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塚本一期
(2017-03-20)

三浦さん コメントありがとうございます! 大人になれば、なんとなくしてしまったキスと、いつまでも夢に見てしまうような強烈なキスの違いがわかってしまって「忘れられないキスの味」みたいなものになってしまうことがあるのかな。と思いながら、それと、背徳感ですね、これが無意識に織り混ざってしまったようなものを描いてみました。 大人になるといろいろあるよ。なーんてな! ありがとうございます。 もとこさん コメントありがとうございます。 そういえば、キスと複雑な心模様は、いろんな作品に出てきますね。 科学的には、オスがメスの体内に自分の唾液を流し込むことで、メスが性的に興奮する作用があり、それを促すのがオスによる接吻なんだとか。 しかし人間はそれほど単純ではないので、それぞれの関係性の中で様々な感情を持つわけですね。 状況が酷いものであったとしても、上で三浦さんの言っていた、魂のふるえるキスは、一生彼女の唇を支配し続けるでしょう。なんて言ってますが、これは物語の一部のようなものですね。 ありがとうございました。 百均さん コメントありがとうございます。 私の言葉の羅列の中でしばしば見られるのが、百均さんの指摘する、イメージの飛躍です。 突然とんでもないところに飛んで行っているようで、実は密接な関係がある、まさに夢の中の深層心理の表れと似たものだとおもってもらえると、意味が分かりやすくなるんではないかとおもいます。 これは技術ではなく、勝手に飛んで行ってしまうんですね。 あまり整然と文章を書くことが出来ないのが私の弱点ですが、これを上手く活かすことはできないかなと思案中です。 面白いと言っていただき、素直にうれしいです。 ありがとうございました。

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