犬の散歩をしていると
私の前に山羊が来た
満員電車に乗り込むと
私の下に山羊が来た
同級生と会う前に
私の後ろに山羊は来た
ほほ笑みみたいな口角軌道と
ブロンドみたいな長い毛に
私はおそらく恋をしていて
同時に少し怖かった
座ってテレビを見てる時
山羊は私を忘れてた
疲れてベッドに倒れると
山羊はそこにはいなかった
母と喋っている時は
部屋に入れはしなかった
たぶん私を好きだった
好きになろうと努めてた
だけど私が独りでいないと
私の中に消えてった
やっと触れ合いそうな時
貴女はふいに目をつむる
気圧が低くなる時は
高確率で目をつむる
一番誰かが欲しい日も
瞼に固く、閉じこもる
ウツボカズラに似た唇
うっ血みたいな色の隈
ほんとはあんまり好きじゃなかった
だけど貴女は、必要だった
(貴女は痛がりだから。貴女は探して逃げるから。
シャワーの膜に閉じ込められて、今、やっと貴女は目を合わせて)
……長いこと貴女に支配されて
……不満はあるが文句は無いな
あなたがいなければ、どんなに楽か
……言う権利は貴女にあるから
……それがおそらく健全だから
……
作品データ
コメント数 : 6
P V 数 : 780.2
お気に入り数: 1
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2024-10-18
コメント日時 2024-11-04
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/12/27現在) | 投稿後10日間 |
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前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
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技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
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前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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閲覧指数:780.2
2024/12/27 02時41分14秒現在
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途中の空白の部分がつながらず、いったん読むのを止めて、また読んだら、一本につながりました。場面が変わっているのですね。「勇気が欲しい」と言っているように読みました。
0#定型
0良い詩です。ただ、この感覚を言葉にするのが難しい。 後半は山羊目線でしょうか。(「好きになろうとしてた山羊」と、後半「あんまり好きじゃなかった」などの表現から) 私は前半だけでも完成されているような気がしたので、後半の展開に少し戸惑いました。後半も後半で面白いと思います。 支配ってなんでしょうね。心を支配してくるものに対して、目を瞑るのは抵抗にならないなとこの詩から思いました。目を瞑ってしまうと、山羊が下にいたり後ろにいたり、余計強く感じてしまう。なんなら、山羊が「いないこと」も意識してしまって、存在感がますます強くなる。だから、「心の中に消える」といった表現に綺麗につながっていて、巧い。 考えさせられる詩でした。
0よくわかります。
0ありがとうございます。おっしゃる通り前半と後半はもともと視点が異なる独立した詩でした。最後の一連に繋げるために連結させたのですが、結果的に唐突な展開に戸惑わせてしまった時点で失敗だったかもしれません。私の詩の作り方は一度拙い表現の下書きを書き、そのあとで足りない連を足していく形なので、展開が急になりやすいのが短所だと思っています……。一つの詩の中でテーマが一貫していて、違和感なく最後まで読める詩が完成度が高い詩だと思うので、そのご指摘は参考になりました。 熊倉さんの読み解きは本当に行き届いていて、感想を送ってもらえるといつも嬉しく思っています。種明かしをして詩の余白を無くすのは本意ではないのであくまで私がこの詩を書いた出発点として受け取ってほしいのですが、支配というのは一方を制圧することとして書きました。 山羊は悪魔の象徴としてよく用いられますが、この詩ではプラスアルファ理性の象徴としても描きました。「私が山羊を支配したなら」私はもっと馬鹿になれて幸せになれるし、「山羊が私を支配したなら」私はもっと感情に縛られず賢くいきられる。中途半端ではいけないと理解しているのにシャワーという物理的な閉鎖がないと向き合えない。この詩の源流は支配する努力をしない私自身への苛立ちのようなものです。 長々と語ってしまいましたが、良いコメントをありがとうございました。
0山羊と自分の運命的なつながりでしょうか。おとぎ話のような世界と、現代の世界が、 併存しており、白昼夢を見がちなのかなとも思いました。辛いようであっても、 結ばれることが一番自然で、幸せなのだと思います。この先が、どうなるのかは全く 分かりませんが。
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