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物語 4
伊藤健太郎さんの家のドアは鍵がかかってなくて、天音はいつものようにドアを開けて 入っていきました。 1人で住むには大きな家で、伊藤さんは 1番奥の部屋の中にポツンとある椅子に腰掛けて本を読んでいました。 隣の家が伊藤さんの親が住んでいて そしてすぐ側にも伊藤さんの親戚の家があります 伊藤さんの一族はこの地域では権力がある有力な一族で、伊藤さんも優秀な成績を納めて 都会の大学に進学しました。 しかし何があったのか、大学を休学して戻ってきたみたいで、普段は落ち着いているけど たまに狂ったように叫び出して、家族親戚総出で伊藤さんを押さえつけて薬を飲ませたり 棒で酷く叩いたりするのでした。 多分在学中によからぬ組織に巻き込まれて何かしでかしたに違いない、もう大学に戻る事もないだろう、と噂されています。 結婚していたのではないかとも言われていたりします。 「天音君、今日はどうしたんだい?何か僕に 用事でもあるのかな?」 伊藤さんは読んでいる本から視線を離さずに喋ります。 「いえ、ちょっと伊藤さんと喋りたくなって。」 天音は腰につけているうさぎ小屋の鍵を触りながら返答します。 「1人で来るなんて珍しいじゃないか、戌亥や 牛尾なんかとビクビクしながら入ってくるのに、何かあるんだろう?言ってみろよ。」 伊藤さんは本を閉じてコチラを見ました。 昔は長髪だった髪を家族に切られて殆ど坊主の様になっていますが眼光は鋭くびっくりするほどに男前です。 「何の本を読んでいるんですか?」 天音は尋ねます。 「これかい?古典哲学さ、なるべく原語で読みたいと思ってね、しかしやはりためになるな 僕は全く間違ってないと再認識するよ」 伊藤さんは右の耳をなでながら喋ります。 「天音君、カードの事だろう?さっき井上君達もやって来たよ6人で来た 単純な提案だ、6人で来れば多少強気にもなる、しかし、つまらんと思ったね、彼らはまるで駄目だ、僕は君達に教えを施しているんだ、つまり縮図だ、これは世界そのもの、スケールの違いそれだけだ うまく適応できるものだけが… …。 予め中学生を数人呼んでおいた、彼らに井上君達の始末を頼んだよ、井上君達は上手く立ち回れるだろうか?」 伊藤さんは椅子から立ち上がり天音の側に来た。「天音君のおばあさまからよろしくと言われている、おばあさまは俺の家族と懇意でね、勿論、おばあさまが自らそうしているのかはわからない、だが僕は君に対してそれなりに気を使わないとならない、天音、良くわかってるなお前は。」 伊藤さんは奥歯を強く噛んでいる ギシギシと音が聞こえる 「テーゼがあるな天音、つまらん競争とは違う 何重化もされた世界だ、今日、今夜、CUBEを持った女が来るな、天音、CUBEと交換だ お前は女と会うんだろう? カードは勿論ここには無いぞ、ちゃんと別の場所、人物に託してある、取引だ、 目的と手段、逆さまの世界だろう?」 伊藤さんはいつの間にか天音の肩をしっかりと掴んでいた、その手はとても綺麗で鳥の羽かと思いました。 「伊藤さんわかりました、CUBEと交換ですね 完全に同調したCUBEですからね価値はわかっています、僕の滅びの可能性がある代物です、僕も賭けにでます。」 天音はハキハキと答えた。 伊藤さんは天音の肩から手を離しスタスタと歩いてまた椅子に座りました。 そして再びカール・マルクスの作品を読み始めました。 「天音君、君には品性というものがあるな それはとても良いものだと思うよ。」 伊藤さんはそれから何も喋りませんでした。 天音は伊藤さんの家を出ました。 クネクネした道を登って家に帰ります。
物語 4 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 706.3
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2024-09-27
コメント日時 2024-10-02
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
伊藤健太郎さん、いいキャラですね。
0お読みくださりありがとうございます。伊藤さんの家には昔のお札も沢山あります。
1CUBEって、なんだろうと思った。
0お読みくださりありがとうございます CUBEとは… … 轟轟と巨大なリングが回転している リングは9つあってリングの中心には正方形の物体が輝いたり暗くなったりしながら リングとは別の回転をしている それはCUBEと呼ばれる構造物で ピッコ艦長の持つレガリアともつれ合いの関係にある CUBEは地球の前意識とも繋がりを持っていて様々な分野の生き残りの学者達が CUBEの完成の為に忙しなく動いている 『知性と物体』のevgenísが遂に学校への扉を開けてうさぎ小屋でうさぎが居ない事を確認した様ですね 其処は裏の門の方だがやはり記述通りに 物語りが進行している様だ ピッコ艦長が率いる宇宙船群があと数日で地球に到着する 休眠状態にある地球を再び目覚めさせる事が出来るかどうか? シェリーはCUBEの完成をギリギリ迄待ってダイブをする考えらしい evgenísがバディとしては最有力だがやはり経験不足が否めない感があるな 彼女達に我々の運命を託しても良いものかどうか 其れはシェリーの判断する事だ 我々は我々に出来る事をやる事が大事であるという事だ CUBEの完成度はどんな具合だ? 急ピッチで進めてはいるがまだ第七階層で手間取っている、詩篇も尽きて制約の抑えが効かなくなっている、元々、我々が人柱として システムの一部になる事は確認しているが 第七階層でかなりの人数を使ってしまっている、… …第九階層までに到達出来るかどうかも怪しくなっているな、不完全な状態のCUBEでどれだけの結果が得られるのか… … どちらにせよピッコ艦長の持つレガリアから得られるエネルギーが1番の鍵となる 惑星の命を穿つ技『galaxy impact』の使い手、眠れる森の創始者カティア•テレジア•オブ•ビーナスの存在が消えて200年程になる… …そもそもピッコ艦長が持つレガリア自体がカティアと同等のエネルギーを放つ事が出来るのか? しかし全てのタイミングが近づいている もはや我々には彼を信用するしか選択肢が無い、超生命体との交流で得たレガリア… … 其れがもし本物でないなら地球は死に絶え 本物であるならば地球の新たなバースデーを 迎える、というだけなのだ 学者達は地下数千メートルから見えない星空を見上げる … …です。
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