酔いどれは真実を吐くが誰も気にしない - B-REVIEW
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ことば

ことばという幻想

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酔いどれは真実を吐くが誰も気にしない    

愛されたい、と願う貧しい私よ 何者でもなく、誰にも知られず 愛されず、必要ともされない無一物な孤独が 狂ったつむじ風になって ポケットのお金を使い果たしたよ 私は雑踏をさ迷う糸の切れた凧だ 私の体には虫が住んでいる 私の体には醜い穴が一杯だ 最期は蜂の巣になったボニーとクライドだって 旅のスリルとお仲間と冒険があった 場末の、最果ての中年女が膿んだ傷から蛆を溢し それでいて心はロマンチストゆえに乾いている 一人きりで砂漠と沼地を往き来し どしゃ降りと日照りにのたうちまわる 愛をうわ言し、呪いを口走る だが誰もいない ゴーストの呪文に足枷されてさ迷い 空回りするネジのいかれた人形のように 奇妙な孤独のアリ地獄をハードボイルドとするなら 酒とギャンブルだけじゃ凡庸だ 病気でもあります よく嫌われる病です ユートピア幻想が若い頃からあります 拷問の家で死んだ父は酷い難治性の皮膚病でした 酔っ払った父が便座のシートをおしっこでびたびたにして 気がつかず座ってしまった時の憎しみよ 部屋中に落ちた皮膚の欠片、お化けの家 遺伝病を妄想してかきむしった赤い肌のひりつきよ 何十年の病苦と家族の争い、犯罪被害、孤独、闘いよ 私は百のうち一も書いていない だからゲラゲラ笑おう 千ベロで一緒に酔っ払う詩人の友達が欲しいな 林芙美子の「放浪記」がバイブルだったのは 18の頃だったはずなのに変わっていない 滑稽だなあ 私は語ることの意味を悩んでしまう 私は善人だがその価値にしょんぼりする さあ、もう一杯レモンサワーを作ろう 許せよ、そこの誰かさん



酔いどれは真実を吐くが誰も気にしない ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 17
P V 数 : 1176.6
お気に入り数: 1
投票数   : 4
ポイント数 : 0

作成日時 2024-03-09
コメント日時 2024-03-14
#現代詩 #縦書き
項目全期間(2025/04/12現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
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音韻00
構成00
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閲覧指数:1176.6
2025/04/12 10時00分43秒現在
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    作品に書かれた推薦文

酔いどれは真実を吐くが誰も気にしない コメントセクション

コメント数(17)
atsuchan69
作品へ
(2024-03-09)

これ、なんとなくですが、 ハードボイルドな詩だと思います。 よくある心情吐露の湿った筆致ではなく、 自分の外側から醒めた視線で 計算通りに演出された自分を描いている。 ボニーとクライドも登場させて、 もう、飛び出す絵本みたいな心情吐露だ 後半部の壮絶な記述も 怖じけることなく、 公衆の面前でパンツ脱ぐ勢いでさらけ出している こーゆーの書く人、カッコイイ。

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メルモsアラガイs
メルモsアラガイs
作品へ
(2024-03-09)

酔いどれ~タイトルとは逆にこの語り手は冷静にみて取れるのです。だからか酔うという行為に対して幅広く客観的に捉えて読める。冒頭の~私よ。から終わりの~そこの誰かさん。このことからメッセージとしても受け取れるこの独白が語り手自身に向けられていることがわかるのだけれど、これが主張を超えて行き渡るのかは私には不明だ。 この作者はフォーラムにも投稿されておられるのかな?一気に読ませる行間の流れ移り変わりが微妙に揺れて半音階を挟むように調子よく読んでいて気持ちがいい。

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作品へ
(2024-03-09)

酔いどれの言葉には時に真実が込められていることがありますが、その真実が周りに理解されないことや受け入れられないことがあるのは興味深い側面です。酔っ払った状態では、真実が率直に表れることもある一方で、その真実が受け入れられなかったり無視されることもあります。 深い感情が詩に込められていますね。孤独な人生の断片が詩の中に表現されています。林芙美子の「放浪記」がバイブルだったという一文も印象的でした。

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レタス
レタス
作品へ
(2024-03-09)

私は評論するのが苦手ですが、とても胸を打たれました。素晴らしい作品です。

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湖湖
湖湖
atsuchan69さんへ
(2024-03-09)

コメントありがとうございます。実はこれでもパンツははいてるんですけどね。(笑)酔っ払った勢いで書きました。カッコイイ、は複雑な気分の感想です。対岸の火事も花火の美しさを感じたり。

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湖湖
湖湖
メルモsアラガイsさんへ
(2024-03-09)

コメントありがとうございます。誰にでも解るようには書きませんでした、書けなかったです。酔ってもね、勢いがついてはいますが何でも書けるわけではなくて。フォーラムに書いたことはないです。気持ちよく読んでいただけて幸いです。

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湖湖
湖湖
類さんへ
(2024-03-09)

コメントありがとうございます。酔っぱらいの無頼詩人を気取ってみました。(笑)林芙美子の「放浪記」は女だてらに無頼でしんみりして子供の頃から大好きでした。事実の裏打ちした喩えを詩人はどれほどに使うでしょうね。私は事実ばかりですが。(笑)

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湖湖
湖湖
レタスさんへ
(2024-03-09)

コメントありがとうございます。私の詩に心が動いたなんて書いた価値がありました。詩で心を触れあいたいのです。

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atsuchan69
湖湖さんへ
(2024-03-09)

けしてあなたを取り巻く辛い出来事を含めて「カッコイイ」と発言したわけではないのですが、そのように伝わってしまったのであれば、どうかお許しを。リアルに向き合うあなたの文章表現に対し、ボク的な言い方をすれば「褌一枚で詩を書く」潔さを感じたのですが、レディに対しては「褌一枚」もそうなのですが、コメントそのものに失礼な言い回しがありました。本当に申し訳ございませんでした。

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湖湖
湖湖
atsuchan69さんへ
(2024-03-09)

説明してくださってありがとうございます。病気の余波で認知の歪みがでやすく、人の意見を曲解しやすいのです。ごめんなさいね。誉め言葉だとわかりました。

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takoyo
takoyo
作品へ
(2024-03-11)

林芙美子の「放浪記」一年に一回以上も読み 返すほど大好きな小説ですが何度読んでも飽きない。 とくに木賃宿に集まる異形の人たちの描写は秀逸。 もし、語り手があれをバイブルにしているとすれば凄い と思う。どういう人物なんでしょうね、わたしは酒も タバコもやらないしギャンブルもキャバレーも行かない 面白みのない堅物ですが。だれか波乱な生き様の人へ あてた作品のようにもみえる。

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湖湖
湖湖
takoyoさんへ
(2024-03-12)

女なのでキャバレーはいきませんが。(笑)父はエリートサラリーマンでしたが家に金をいれない男で家族の不和のなか転勤族で幼少から十三回も引っ越したので、放浪や貧困などに共感があるんです。愛憎の何十年のなかで酷い皮膚病になった父を化け物と 書いたこと、後悔もあります。コメントありがとうございます。

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中田満帆
作品へ
(2024-03-12)

かつて酔いどれ詩人であったわたしにはもっとビートをと求めてしまう。18歳のわたしにとってのバイブルは中上哲夫詩集『下り列車窓越しの挨拶』であった。ウイスキー、ウォッカを通院の挙げ句、急性膵炎にアルコール依存症である。

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湖湖
湖湖
中田満帆さんへ
(2024-03-12)

ほどほどの中庸を学ぶほどには痛い思いをして大人になったつもりでしたがお互いに気を付けないと早死にですね。コメントありがとうございます。ご自愛なさって。

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佐々木春
佐々木春
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(2024-03-14)

とても稚拙な言い方で申し訳ないのですが、人生経験の違いを感じました。

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湖湖
湖湖
佐々木春さんへ
(2024-03-14)

変わった経験をすれば良いというものでもないですね、人生は。コメントありがとうございます。

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エイクピア
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(2024-04-10)

内省がうかがえる詩なのですが、ボニーとクライドの引用が印象的でした。文字通り蜂の巣になってしまった二人。ゲラゲラ笑う効果や如何に。林芙美子の小説を出されると、自分自身、彼女の小説を読んだ事が有ったかと自分の内面が掘り起こされたようではっとしました。

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投稿作品数: 2