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Dicotyledon
醒めた顔を隠す、でも抽出する花。 (肩を掴まれ 見えない弦が鳴る、) 不協和音) 甘えてなどいない、よ、と 助手席に爪を立て(割れる(人じゃない、音 (どうせこの曲も袋小路だってさ。 知らないけど。気休めの約束だし、 絶対なんて求めてない。 (みたいな、 、箒星) (血の透ける腕を、 摘まれる)擦れる。(消される、 (切る、 (切る、 (切る、 無数の五線譜。 突き当たりで駐まる。 (アイビー、アイビー、 ずっと手を引かれ続ける。 羽根が生えてくるまで しばりつづけること、全部知ってる。 (いつかのゴミ置場のマネキンみたい。 体温あるけど。 せめて、唾を吐く、抵抗、 指を強く咬む、かむ(プラネタリウム、 (アンプリファー、花粉を震わせる、4時、 (物語の侵食を告げる警報、 「汚されたい。 「汚されたいんだ、ねぇ、 「月が翳るよ。 「LEDが交錯して、 「バンビが空を駆ける。 「壁の星を剥がしながら。 「テンションコードなんて思い出せない、 「タトゥーシール失敗しちゃった。 「うまく溶かしてよね、この腕を、さ、 「持て余した鉄パイプが目印になるよ。 「黒いパーカー、 「ビスクドールみたい、その仕草。 「破かれた絵本、鉄格子の中の。 「あふれる、あふれる、 「あたしたちいつまでニセモノなんだろう、 「少し大きなデタラメを言った朝。 「あと10秒あれば。 「期待させちゃったかしら。 「ねがいごとに嘘はない? 「雨も風も雷も去ってしまった、 「こんなに傷む術を持ってるのにね。 「血管が渇いていくの、 「天網恢々疎にして漏らさず、って。 「破るためだけに交わす約束、 「まるでサクリファイス。 「あるいは針をなくしたレコード、 「花火が上がる。 「穴だらけの夜ね。 「曖昧な関係でいられないの、 「その胸騒ぎが、本当になれば良い。 「そしたら蛍を放そう。 「閉じ込めてるありったけをさ。 「弾は二発、 「信号が点滅に変わる、 「口を噤むナトリウム灯。 「あなたは怖くないの、 「キスさせて、 「なら、顔を隠して。 「みなそこ、 「せめて笑って、 「一緒に、死ぬんじゃなかったの、 「こんなので繋がりたくない。 「そう、 「それじゃ、お先に。 「うん、またあとでね、 「雪を撫ぜる掌、 「悲しいことに開こうとしないの、 「ねぇあなたって不思議ちゃん? 「ブラックサンダー買ってきて。 「痩せたいから。 「扉は開かないまま。 寝不足ゆえの 1ミリの真空。 グライドする視界。 傷口に張り付いていた 棘の群れが 綾を成して 中に押し入ってくる、 とうに錆びきった 壁は溶かされ。 これ以上身体が千切れないように 長く息を吐く。 黒い。 黒い。 黒い。 黒い。 黒い、 肺の中。 グライドする視界。 (アイビー、アイビー、離れないで、 意識はピン留めされたまま、 羊水に踏み潰された蝙蝠が溶けてく、
Dicotyledon ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1007.8
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 11
作成日時 2017-03-11
コメント日時 2017-03-18
項目 | 全期間(2024/12/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 3 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 8 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 11 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 3 | 3 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 8 | 8 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 11 | 11 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
意味あるかわからないけど某所とは別名義で参加します。よろしくお願いします。
0一読魅かれました。コメントがいらないくらいによい詩だと思いますし、うまくコメントができないですね。それでも、なんとか頑張ってコメントを。 双子葉植物は生まれた時から双子葉であることを運命づけられていますが、この語り手は他者との交流=侵食を拒んでいます。 途中の片鍵の部分は、「グライドする視界」=移りゆく記憶の断章を表しているのでしょう。侵食を拒みながらも、侵食されてしまった記憶=「傷口に張り付いていた/棘の群れ」は、語り手にとってもはや吐き出すことのできないものです。前半で「せめて、唾を吐く、抵抗」をしているのですが、「これ以上身体が千切れないように/長く息を吐く」のも、きっと抵抗の表れなのでしょう。 様々なモチーフが語り手と「Dicotyledon」を交わらせていて、それがまた魅力的です。「血の透ける腕」は植物の維管束を思わせ、「羽根」はそれこそ「Dicotyledon」そのものです。ただ、一行目が魅力的でありつつ、ここがこの詩のミソになっているのでしょう。それは、①隠そうと思っても隠せないものがあるということ。それと同時に②隠しているつもりでも隠れていないものがあるということ、また、③見えているものを他者が勝手に評価すること、もしくは、隠しているものを他者が勝手に見えていると思ってしまうこと。特にこの3つ目が、この語り手の侵食を拒む理由になっているような気がします。 ここまで書いといて、見当違いな気がしてきましたが、それでも少しだけ続けて終わりにします。 と言うのも、あまり語るべきではないですが、僕自身、汚されたくて煙草を吸っています。少しでも死に近づけるように煙草を吸っています。肺はまるで、「Dicotyledon」のような形だなあ、とふと思いました。この詩には、見当違いかもしれないですが、読み取ろうと思えば、煙草のモチーフがいくつも隠されているように思えました。隠してはいないかもしれませんが、このように勝手に見えているものだと見られてしまうことを「こんなので繋がりたくない」と拒否されてもしかたありません。
0一読してなんとなく思ったのは、中々終わるのが難しい作品だなぁ、という感じでしょうか。締めのイメージはなんとも、美しいと言ってしまっていいのか、悩ましい所を感じます。なんとか鞘を収めたという感じがしますが、所詮感じなので根拠はありません。再読するとそうでもないかなと思うので、やっぱり悩ましい。 といいつつも、向こうとなかたつさんのレスを読んでから割と冷静に読めるようになった節があるので、初読の感想でそう思った、とは言い切れないのですけれども。終わらない会話(」がない所とか)や断続的にフラッシュバックするイメージの羅列、というよりはぶり返すイメージか。そういうのが最後の >黒い。 >黒い。 >黒い。 >黒い。 >黒い、 という所の苦しさみたいな所に結実している部分を多く感じます。この場合の苦しさっていうのは、読んでて辛いというよりは、自然に感じられる苦しさみたいなもんでしょうか。それらは、不協和音、助手席などのモチーフや、括弧で閉じれない会話、つまり一種のすれ違いみたいなもんで、或いは不器用なチャットやラインの会話みたいなものであり、タイトルであり、肺から吹き出す黒くて長い息、この場合の息っていうのはタバコの息かもしれないし、単なるため息かもしれない。ため息を吐く時っていうのは、考えてみると結構パターンは絞られてくるような感じもします。 という訳で、五つの黒いは自然な感じがしました。 後言える事としたら、タイトルのイメージをそこにおけばそこまで読むのは辛くない作品だろうなと言うことでしょうか。二人の関係というか、二というイメージを、どういうふうにこの作品から受け取るか、もしくは描こうとしているのが、みたいな所で考えていくと、結構ガリガリ読める作品なのではないかと思います。
0とてもハイセンスな詩だと思いました。溢れる才気、みたいなものを感じます。文章自体が青白く発光しているような印象です。 ただ、自分なりに内容の輪郭が見えてくるまで時間がかかりました。私が詩を読み慣れないせいかもしれません。 若者の不安定な心(入り混じる倦怠や焦燥や不安や悲しみや絶望や)が描かれているのかな、と思いました。 言葉のチョイスが素敵で見入ります。繰り返し読んだら、もっと理解できるかな、と思うので、また読んでみます。
0なかたつさん、コメントありがとうございます。書いてる時は意識してませんでしたが、この作品そのものが接触を拒否する傾向が強いのかもしれませんね。 hyakkinさん、コメントありがとうございます。タイトルは非常に重要視しているので、読み易さに寄与しているなら幸甚です。 白犬さん、コメントありがとうございます。是非ぜひ、生活に支障をきたさない程度に(?)読み返していただければ。 ところで、ここに書くべきかどうかわからないですが、私基本iPhoneからこちらを閲覧しているのですが、コメント欄がある程度長くなると最後まで読めなくなる現象が起きているようです。なので下手すると今後コメント返信が途絶えてしまうかも……先に謝っとくとともに、対応可能であればお願いしたい次第です。
0↑読むときログインし忘れてて、コメント返信にあたってログインし直したら普通に読めるようになりました。失礼しました。
0意識があるのに空中へと乖離する自分、いわゆる、幽体離脱的な経験をされたことが、読者の皆さんはありますか? わたし、空をよく飛んでます。 本作『Dicotyledon』には読者を幽体離脱の疑似体験へと誘う 感覚がある。 『「』ではじまる断絶される言葉、言葉、言葉。それは、その余白に存在するもう一つの世界。 パラレルワールドはある。 ひいらぎさん、投稿有難う御座います。
0三浦さん、コメントありがとうございます。地に足をつけた浮遊感、目指すところはそんな感じです。
0詩の立ち上がりから〈(物語の侵食を告げる警報、〉ここまで、 極めてスタイリッシュで緊迫感もあって、不穏な花のイメージが一貫していて・・・行き止まりに追い詰められている焦燥感のようなものも凝縮されている感じで、とても良いと思ったのですが・・・この後の部分、作者が実は一番いいたいところ、かもしれないけれど、ここは、蛇足だったのではないか、という印象を持ちました。
0まりもさん、コメントありがとうございます。作り手としては、前半後半ともに同じくらい大事なパーツだと思っております。シームレスでないと言われれば確かにそうかもしれません。
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