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ゆらぐ色
検索サイトで 色の名前を検索すると 同じ名の色なのに 微妙に異なる いくつもの画像が出てくる その画面が 表しているのは 色の名前が担う 意味のゆらぎ この世界は 名前で組み上げられている その名が担う意味が 常にゆらいでいるならば 真夏の陽炎の如く 真冬の蜃気楼の如く 世界は常にゆらいでいて 我ら自身もゆらいでいる あなたも私もゆらいでいる 我らはときに 世界を拒絶する ゆらいでいる世界が その絶え間ないゆらぎ故に 己に沿わぬことを憎む だがゆらぎは 誰にも止められぬ 分子のゆらめきを止めれば 絶対零度に絡めとられて 凍結の呪縛に あらゆる命が沈黙するように 生きている限り 世界とともに 己がゆらいでいることを 己自身も止められぬ ならばゆらぎの内に 命を見い出せ 命を吹き込め 命を生み出せ それが世界の色を 豊かにする 世界が孕む意味を 新たに育む 人よ 真に名を知れ 深く色を知れ 広くこの世界を泳いでまわり 色のゆらぎを厭うことなく その瞳に焼き付けよ たとえお前の紡ぎ出す 言葉と行いが 薄霜の如く 朝霧の如く 儚く消え去っても 名前に先立つ感覚の 煌めくその一瞬が 世界を彩る 色のひとつとなるために
ゆらぐ色 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1048.6
お気に入り数: 1
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2023-10-11
コメント日時 2023-10-21
項目 | 全期間(2024/11/22現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
「名前に先立つ感覚」を抱いたとき、「煌めくその一瞬」を必死に捕まえてそのニュアンス、イメージを形作る手段の一つが詩だよなぁ、と思いました。 私は今のところ、名前があるから感情を認識出来るのではなくて、感情が先にあって、それに近い言葉を当てはめることで他者に伝えるのだと考えています。しかし違う見方も出来ますし、まだ考え途中どころかおそらくm.tasakiさんの思索には到底及ばないのですが、学ばせていただきました。
1コメントをありがとうございます。 「名前があるから感情を認識出来るのではなくて、感情が先にあって、それに近い言葉を当てはめることで他者に伝える」、まさしくその通りだと思います。 ただそこには微妙なゆらぎがあると思います。 例えば「郷愁」という言葉でその感情を表しても、そこには人によって、更には同じ人でも時と場合によって僅かな色調の違いが出てくるようです。 そのゆらぎを捉えるために、日常的な言葉の使用から自由になって表現するのが、詩の持つ特徴の一つだと思っています。 でもこれは言うは易く行うは難しで、なかなか思うようにいきません。 まだまだ修行が足りないようです。
1雄弁な詩だな、と思いました。 読んでいて少し残念に感じたのは、第一連が行分けをしたただの文章であるところです。 第二連以降を展開するために説明の必要があったと思うのですが、出来れば第一連からもっと詩にして欲しかったなぁと思いました。
1読みやすさやわかりやすさを優先させるあまり、表現の工夫が足りない感じになってしまったようです。 今、改めて読み直してみると、推敲不足の感が否めません。 今後への反省点とします。 まぁ今回は、ここへ投稿する人たちへのエールということで・・・(言い訳ですね)
1こんにちは。 ああ、なんだかこの詩は誠実で好きです。特に色の名前をたまに調べることがあるので、親近感を覚えました。 素敵な詩をありがとうございました。
1コメントをありがとうございます。 ひとつの色の名で検索をかけたのに、幾つもの微妙に色調の異なる色見本の画像が出てくるのは、何だが不思議で面白いですよね。 人によってこんなに感覚が異なるのかと、感心してしまいます。 尚、「誠実」とのコメントをいただいたのは、想定外の喜びです。 ありがとうございました。
1色というものはそもそも吸収しきれなかった光の反射で、色の名前は文化に依存するんですよね。 たとえばその土地に咲く花の色とか花から抽出した染料、違う土地ならば同じ色でも果物や動物の羽根ならばそういったものを連想して認識する、認識を容易にするために他人と共有する言葉(記号)を名づける。「人間の思考は使用する言語に影響を受ける」という言語相対説というものがあって、国によっては「虹」が7色だったり5色だったりする。エジプトかどこかだと太陽は紫色だと認識している。 >名前に先立つ感覚の その文化圏で当たり前すぎると知っていても意識の外にあって知っているのに認識されていないものがある。そういったものを見つけるために広くこの世界をみろ、と本文では言っている。 序盤と終盤では「ゆらぎ」が、「意味」から「生きること」へ遷移していて、世界を構成する色のひとつになれ、と締めくくられている。ここで少し疑問に思ったのが『生きること』とおなじ意味の「世界のゆらぎ」を拒絶し憎むときがあるのに『色のゆらぎを厭うことなく』『己がゆらいでいることを 己自身も止められぬ』『ゆらぎの内に命を吹き込め』と、『』の部分が食い違っているように読めてしまう。そのあたりをもう少し巧い表現で納得させてもらえたら読む側の理解も深まるように感じました。
1コメントをありがとうございます。 意味の食い違いを感じられましたか。どうもそれは想定していませんでした。 我々はときに世界のゆらぎを拒絶し憎むこともあるけれど、自分自身ですらゆらいでいるのだから、その憎しみにとらわれてはいけないよ、というつもりで(「厭うことなく」というところにその意味を込めて)書いたのですが、うまく伝わらなかったようです。 表現することというのは、なかなか難しいものですね。 今後の課題とします。 ご指摘ありがとうございました。
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