わたしはうさぎをたべたとき - B-REVIEW
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わたしはうさぎをたべたとき    

わたしはうさぎをたべたとき、添えられたにんじんが細くて、こころもとないくらいなのに、しっかりとしていたから、白いワンピースに包まれていたおかあさん、を思い出した。転ぶときにだけひろがる手脚は焼けているのに、背中はこどものみたいにしろくて、いくつか離れて火花が散っているから、わたしはそれらをつないで、はやくあなたの翅が乾きますように、と願いながらでたらめな方向に頭を振って、すべてがまざるように、さなぎのなかみが均一にうつくしく塗りつぶされて、病いにふるえている赤い指先が白いパンをちぎるのと同じで、たとえねこのきまぐれで食いちぎられて、明日にはひどい吐瀉物になっていても、それが孵るということだと信じる者だけが救われるなら、わたしはもっと早くにこうやって、はてしなく長い祈りを手のひらに描かれた眼球で見つめること自体をわたしだけのしごとにするべきだったのに、今だにスープ皿から白湯のポタージュを娘のように抱き上げている。


わたしはうさぎをたべたとき ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 8
P V 数 : 1369.3
お気に入り数: 0
投票数   : 2
ポイント数 : 0

作成日時 2023-06-18
コメント日時 2023-06-23
#現代詩
項目全期間(2025/04/12現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
可読性00
エンタメ00
技巧00
音韻00
構成00
総合ポイント00
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閲覧指数:1369.3
2025/04/12 11時11分02秒現在
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    作品に書かれた推薦文

わたしはうさぎをたべたとき コメントセクション

コメント数(8)
吸収
吸収
作品へ
(2023-06-18)

ちょっとローラ・パーマーを思い出したなツインピークス思い出した 白と言われれば言われるほど赤をイメージしてしまうと言うか。 人間の脳はね、読もうとしてしまうんだよ、みたいな まあ、最近ハツさんの作品の中では良いなと思ったな 自分の領域内で戦う事の意味と言うか 手持ちの武器を確認して書いている感じがしたな、まあ先生がイカさんとゼンメツさんのハイブリッドならそうなるよねって感じ、とんでもねえ怪物になる予感 王下七武海

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三浦果実
作品へ
(2023-06-19)

余白が言葉を不思議にもマジックにすることがある。余白は文字化されていない場所、そうではなくて白いワンピースや白いパンや白湯のポタージュが余白であったりする。同じくらいに人も、光線の傍に、余白の場所に存在すれば、モブキャラのように在るだけでいい。そうなればあなたもわたしも、うさぎも。皿の上に置かれているのか、わからないぐらいに白く残る。

1
ハツ
ハツ
さんへ
(2023-06-19)

コメントありがとうございます。まったくわけがわからないと思いながら読んでくださって、コメントまでありがとうございます。ことばの統合については考えないといけないですね。学びの多いコメントでした。ありがとうございました。

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ハツ
ハツ
吸収さんへ
(2023-06-19)

最近の拙作の中ではよかったとのコメントありがとうございます。少しずつでも腕を磨けるようにがんばります。 >白と言われれば言われるほど赤をイメージしてしまうと言うか。 人間の脳はね、読もうとしてしまうんだよ、みたいな ここについてはもう少しくわしく聞いてみたいです。

0
ハツ
ハツ
三浦果実さんへ
(2023-06-19)

>そうなればあなたもわたしも、うさぎも。皿の上に置かれているのか、わからないぐらいに白く残る。 ウワッ!なんか好きなコメントだ!三浦さんのコメント刺さること多いです。ありがとうございます。

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コーリャ
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(2023-06-20)

これはコントラストにやどるカラスの瞳が真っ暗だったとして、一杯のコップの水がベルギーの山峰であるところのロンバルディアの奇跡がなめらかに陳謝するときのすっとこどっこいなわけで、それらを積分するうえでの玄米はイリオモテヤマネコの冷たさで狂気する時代の叫びとともに落日せよってことかな…?

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ハツ
ハツ
コーリャさんへ
(2023-06-20)

>これはコントラストにやどるカラスの瞳が真っ暗だったとして、一杯のコップの水がベルギーの山峰であるところのロンバルディアの奇跡がなめらかに陳謝するときのすっとこどっこいなわけで、それらを積分するうえでの玄米はイリオモテヤマネコの冷たさで狂気する時代の叫びとともに落日せよ なるほど〜。わたしは十回口頭で説明されるよりは、一回やってみせをしてもらう方が理解できるタイプなので助かりました!まなびでした。ありがとうございます。

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ゼンメツ
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(2023-06-23)

>わたしはうさぎをたべたとき この誰がどう読んでも違和感を覚える助詞。そいつをタイトル、そして冒頭に置くことでこれから読んでもらう作品、これは作者の言葉ではなく「作中話者のことばをゼロ距離で描いた私の創作物である」と、声高に宣言している。マジかよ。不親切大国であるビーレビで、なんつー親切なことだろうか。ちなみに「匂わせ大好きヤクザ」どもの前であまりにも語り過ぎると、それまでにこにこしてたのに突然殴りかかってくるから気をつけた方がいい。 そういえば一年くらい前に観に行った『キャラクター』という映画のラストの演出がまあまあに台無しで、台無し大好きマンを自称する僕だがさすがにちょっと興醒めだった。ちなみに僕は主演である菅田将暉の顔面が大好きだ。それは置いといてこの映画、セカオワのfukaseがサイコパスな役だったんだけど、イイ感じにキモくてとても良かった。彼はあの役をゼロ距離で表現できていたと思う。ゼロ距離っていう謎の表現も大体わかってきたか? いや観てなきゃわからんかもしれない。でもこの先も連発させていただく。 話を戻そう。この詩「わたしはうさぎをたべたとき」だが、ゼロ距離での表現にかなり成功していると思う。短い文字数や舌っ足らずでおぼつかない口調。しかし、そんな表現に対して構成は実は非常に堅実な作りとなっている。うさぎとにんじん。ワンピースと火花。白いパンと赤い指先。イメージを丁寧にスライドしていって最後に綺麗にひっくり返す。つまりこのテキストは物凄く理性的なのだ。 同時期に投稿された別作者の投稿作品『東京の二日目。』との対比が面白い。 https://www.breview.org/keijiban/?id=11210 同じくゼロ距離で描かれた作品だが、解説は向こうに付けておくので良かったらそれも読んで欲しい。

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