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冷たい夜明けの湖畔にて
白くて細い指先は 静かに ナイフの刃を撫でる すーっと一筋の線に 赤い 赤い 命が ながれていた その雫が 一つ 深い底へと落ち また 誰かの 同じ血へと混ざっていく その血が乾くのを ずっと見ていた そして 望んでいた だがその前に指が震えるのを 凍える指先を見た ああ それは 溶けはしない 霜が訪れ 朝が降るのを ただ ここで待っていた
冷たい夜明けの湖畔にて ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 902.2
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-12-09
コメント日時 2017-12-25
項目 | 全期間(2024/12/22現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
指先に走る痛み、に焦点が当てられているのではなく、〈撫でる〉という言葉に含まれる愛おしむようなニュアンスが印象に残りました。 指先に刃をすべらせ、うっすら滲む血液、その血が〈誰かの/同じ血〉へと混ざっていく、とけこんでいく、のを夢想しながら・・・実際には、血が乾いて、痛みだけがそこに残されるのを、一人で見つめて居なければならない。 わたし、であることを離れて、大きな一群、誰でもない群、の中に溶け込んで、消えてしまいたい、という願望が、満たされないまま、孤独だけが切々と・・・指先にこびりついて乾いた血が目の前に突きつけられるように、そんなリアルさで迫って来る。 そんな心情が描かれているように感じました。 二連目の、〈誰か〉という、漠然とした対象設定が、全体をなんとなく曖昧にしている感もあります。耽美的な心象風景への傾きが前面に出ている、というべきか。 命のエネルギー、あふれ出す心情・・・その熱の象徴ともいえる流れる血が、乾いてしまう、というイメージと、心が冷えて、凍り付いてしまう、液体が固体になってしまう、というイメージと〈凍える指先〉〈溶けはしない〉〈霜が訪れ〉という冬の寒さのイメージとが重なっているように思いました。 〈深い底〉とは、集合的無意識が心象映像として描き出した、群青色の湖、ということになるでしょうか。 茨木のり子の「みずうみ」という作品に、〈人間は誰でも心の底に/しいんと静かな湖を持つべきなのだ〉 〈田沢湖のように深く青い湖を/かくし持っているひとは〉という印象的なフレーズがありますが、そんな心の奥底の湖を連想しました。
0>まりもさん コメントありがとうございました。今回はまず自分に近い身体感覚として痛みからイメージの繋がりを言葉にしてみたのですが、孤独と集合ということを言われていて、確かにそうだと感じました。しかし、そのように後で理解するということは、自分の中で感覚の意味や論理を把握し、繋げることが出来ていないということであって、それが<誰か>という漠然さに繋がっているのだろうと思います。これらのイメージをより精緻化するために、自己の感情と照らし合わせつつ他作品の連想形式を参考にしたり、自己内部での感覚を反省したり出来たと思うので、そこは反省点です。ありがとうございました。
0>花緒さん コメントありがとうございます。怖い感覚というのは今回はその痛みを一つには目指していて、或いは赤い血の鮮烈さはその痛みにも通ずる点だと思いますが、そこがまず表せているとすれば嬉しい限りです。しかし、それのみで終わってしまうならば、この詩は含蓄する意味の狭さに問題があると言えるかもしれないと感じました。過剰な抽象性に問題があるのかもしれません。 また、題名についてはなるべく良いものを選択したいとは思うのですが、生憎その点について成功した例がないので、今回は避けて直接的に付けています。しかし、やはり題名は初めに見るものであり、読みの観点や可能性、或いは期待を提供する点でも、それを工夫するということは必要なことでもあるのでしょう。今後考えていきたいと思います。
0非常にプレーンな語り口だと思いました。その淡々としている事は決して作品の中において-に働いている訳ではなく、それが最後の霜に繋がっていっているような感覚が面白い。最後の霜が面白いです。タイトルも霜で思い出したようだ。ある意味、システマティックな作品とも言えるのかなと思いました。作りの巧みさに引き込まれた。
0>百均さん コメントありがとうございました。確かに区切れが短く、主語がすぐに述語と結びつけられていて、その点でこの語り口はプレーンですね。「それが最後の霜に繋がって」というところが少し理解が難しくて、面白いと言っていただけたのは嬉しいので、もう少しその点についてはどのように繋がっていて、或いは繋がっていないのかを考えてみたいと思います。 システマティックというのは今回は少し意識していて、5・4・5・4の形式と、それから各文の長さもやや考えて作ったところがあります。作るときはあまりその効果は強く意識していなかったのですが、この詩は恐らく少し伝わりづらいところがあって、システマティックな部分はそうした硬派な部分に貢献しているのだろうか、と思いました。また、作りとしては初めてということもあり、イメージの繋がりを強く意識したところがあったので、上手くいっているようであれば嬉しいです。ありがとうございました。
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