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PICK UP - REVIEW

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 彼のなまえに、むつかしい漢字が入っていたわけでもないはずなのに、私はそれを覚えていない。  びわこ博物館とそこの展示のはなしを池袋の水族館でした。びわこは、いや、自然は、汚していいものではないのです。そしてそれは人間もそうです。誰も汚されて良くないですから。汚す人はおろかです。そう思うでしょう。  (……しかして池袋は、あらゆるセキツイどうぶつのおかげでとてもまったくきれいではない。)  ここがきれいでないのと、自然を汚すのとは、また違う話です。賛成できませんね。あなたと話すのは楽しいから、いつかまた、そう遠くないうちに会いたい。可能なら、どこか水に近い場所で。 ……    彼とは、二回目に会った日に寝てしまった。水に近い場所、リクエストには沿えなかったが、湯船になみなみと湯を溜めて、そこにふたりで浸かった。裸の彼の背中が、不自然に赤かった。……昼間に一緒に食べた、エビの炒飯。彼は甲殻類アレルギーだったらしい。言いたくなかった、というから、どうして、と尋ねる。帰ってきた言葉を、短く反芻する。言いたいことは分かったが、そう繊細では大成しないだろうと思った。あなたは、春の花の色。ぼくのは、古い部屋、お母さんの先生の部屋に差込んでいたひかりからきている。僕たちは、それぞれ、あたたかいものとしてうまれてきた。そのことを忘れないで。  なまえも顔も忘れてしまったのに、彼を包む、静かなくうきだけは、まだ肺のなかに、のこっているから、ふしぎだ。遠くに想いを馳せるとき、わたしはいつも、彼のなまえを思い出そうとして、しかし眠りにおちてしまう。


no title ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 15
P V 数 : 1218.7
お気に入り数: 0
投票数   : 1
ポイント数 : 1

作成日時 2023-02-11
コメント日時 2023-03-19
項目全期間(2024/11/22現在)投稿後10日間
叙情性11
前衛性00
可読性00
エンタメ00
技巧00
音韻00
構成00
総合ポイント11
 平均値  中央値 
叙情性11
前衛性00
可読性00
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閲覧指数:1218.7
2024/11/22 00時48分57秒現在
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    作品に書かれた推薦文

no title コメントセクション

コメント数(15)
ハツ
ハツ
作品へ
(2023-02-11)

彼とは、二回目に会った日に寝てしまった。の連から始まった方がよかったと私は思うのですが、いかがでしょうか?ご意見伺いたいです。

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ハツ
ハツ
ハツさんへ
(2023-02-11)

【彼とは、を先に持ってきたver】   彼とは、二回目に会った日に寝てしまった。水に近い場所、リクエストには沿えなかったが、湯船になみなみと湯を溜めて、そこにふたりで浸かった。裸の彼の背中が、不自然に赤かった。……昼間に一緒に食べた、エビの炒飯。彼は甲殻類アレルギーだったらしい。言いたくなかった、というから、どうして、と尋ねる。帰ってきた言葉を、短く反芻する。言いたいことは分かったが、そう繊細では大成しないだろうと思った。あなたは、春の花の色。ぼくのは、古い部屋、お母さんの先生の部屋に差込んでいたひかりからきている。僕たちは、それぞれ、あたたかいものとしてうまれてきた。そのことを忘れないで。  なまえも顔も忘れてしまったのに、彼を包む、静かなくうきだけは、まだ肺のなかに、のこっているから、ふしぎだ。遠くに想いを馳せるとき、わたしはいつも、彼のなまえを思い出そうとして、しかし眠りにおちてしまう。

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ハツ
ハツ
作品へ
(2023-02-11)

【先ほどのは貼り付けミスでした】  彼とは、二回目に会った日に寝てしまった。水に近い場所、リクエストには沿えなかったが、湯船になみなみと湯を溜めて、そこにふたりで浸かった。裸の彼の背中が、不自然に赤かった。……昼間に一緒に食べた、エビの炒飯。彼は甲殻類アレルギーだったらしい。言いたくなかった、というから、どうして、と尋ねる。帰ってきた言葉を、短く反芻する。言いたいことは分かったが、そう繊細では大成しないだろうと思った。あなたは、春の花の色。ぼくのは、古い部屋、お母さんの先生の部屋に差込んでいたひかりからきている。僕たちは、それぞれ、あたたかいものとしてうまれてきた。そのことを忘れないで。  ……彼のなまえに、むつかしい漢字が入っていたわけでもないはずなのに、私はそれを覚えていない。  びわこ博物館とそこの展示のはなしを池袋の水族館でした。びわこは、いや、自然は、汚していいものではないのです。そしてそれは人間もそうです。誰も汚されて良くないですから。汚す人はおろかです。そう思うでしょう。  (……しかして池袋は、あらゆるセキツイどうぶつのおかげでとてもまったくきれいではない。)  ここがきれいでないのと、自然を汚すのとは、また違う話です。賛成できませんね。あなたと話すのは楽しいから、いつかまた、そう遠くないうちに会いたい。可能なら、どこか水に近い場所で。 ……  なまえも顔も忘れてしまったのに、彼を包む、静かなくうきだけは、まだ肺のなかに、のこっているから、ふしぎだ。遠くに想いを馳せるとき、わたしはいつも、彼のなまえを思い出そうとして、しかし眠りにおちてしまう。

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よんじゅう
よんじゅう
作品へ
(2023-03-02)

投稿作品やコメント欄も読んでみましたがここをこうすればというようなことはわからなかったです。というかさ、書くときはやっぱひとりだからハツさんはハツさんの書きたいように書くべきだとおもうよ。多くの人が多くの作品を書けば良いのではと。あっハツさんこいつ何言ってんのかわかんねぇって思いました?それでもいいじゃんってのがぼくのスタイルですよ。だってぼくもそうさ。しかし眠りにおちてしまうのだからね。

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田中宏輔
田中宏輔
作品へ
(2023-03-03)

彼のなまえは、わたし?

1
かずや
かずや
作品へ
(2023-03-03)

これ、「彼の名前」を話者が忘れているように地名を全部使わずに書いてみたらどうでしょう。 さらに良くなる気がするのですが。

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夏立むぎ
作品へ
(2023-03-04)

…しかし池袋は、あらゆるセキツイどうぶつのおかげでとてもまったくきれいではない。 という言い回しが素敵だなと思いました。全体として、自然なのに、オリジナリティがある感じがして好きです。

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ハツ
ハツ
かずやさんへ
(2023-03-07)

ありがとうございます。名前も言ったor行った場所も忘れていたら逆に何を覚えているのかなと思いました。そういう経験って可能なのかな?

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ハツ
ハツ
田中宏輔さんへ
(2023-03-07)

全部空想であるというのも解釈としてありますね。ありがとうございます。

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ハツ
ハツ
夏立むぎさんへ
(2023-03-07)

ありがとうございます。とても嬉しいです。

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ハツ
ハツ
よんじゅうさんへ
(2023-03-07)

ありがとうございます。批評の場としてコメント欄を使いました。よんじゅうさんの考え方もいいですね。

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かずや
かずや
ハツさんへ
(2023-03-07)

事実忘れているというよりは、具体的な地名を敢えて出さずにその特徴などを思い出しているように書いてみるとより読み手の没入感を喚起できるかなと。 そういうご提案です。

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ハツ
ハツ
かずやさんへ
(2023-03-07)

ありがとうございます。なるほどです。固有名詞の力に頼らずに描写で伝えるということですね。ありがとうございます。やってみます。

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湖湖
湖湖
作品へ
(2023-03-08)

ひらがなに開いてある漢字が続き、それが上手に丁寧に文章を読ませる力を発揮している。文章も丁寧に物事をつづってある印象。顔も名前も忘れてしまった男を大切に扱う心映え、愛してる、と大仰に言うよりもリアリズムだ。勉強になった。

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ハツ
ハツ
湖湖さんへ
(2023-03-19)

ありがとうございます。上手く返せないですが、すごく嬉しいです。コメ返遅い上、こんなことしか言えなくてすみません。

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