風の宮殿 - B-REVIEW
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ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



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風の宮殿    

インドのジャイプルはピンクシティと呼ばれ 風の宮殿と名づけられた赤い建造物が風に梳かれている あそこに私の魂は縫い付けられている気がする そんな夏の酷暑の中の意識の揺らぎよ 私は攫われ、囲われ、愛人として娶られ 夜伽の所作を覚える壮麗な女奴隷なのだ 青髭の王に仕えて精一杯のロマネスクを唄う小鳥の日々よ そして心を咲く小さな罅(ひび)よ 衣が裂けたか、ぬるりと甘いマンゴーの肌が裂けたか 夏の熱気にそれは匂い 悲鳴なのか、エロスなのか、死の香華が 煙草の紫煙とくゆり燃えるひと夏の蝉の心よ 囚われた自由の申し子の乱れ討つ空想の機銃掃射よ 石の雨が降った時子供たちは皆死んだそうだ 女奴隷は遠い村に残してきた小さな弟を思い出している もう育ってそこにはいないだろう弟の小さな姿を 記憶の飴玉のように 風の梳く宮殿よ 私の感傷をひりりと撫でる熱い風よ ひやりとした石壁の陰でわたしはそっと息をする



風の宮殿 ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 4
P V 数 : 704.8
お気に入り数: 0
投票数   : 1
ポイント数 : 0

作成日時 2022-09-03
コメント日時 2022-09-04
#現代詩 #縦書き
項目全期間(2025/04/09現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
可読性00
エンタメ00
技巧00
音韻00
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前衛性00
可読性00
 エンタメ00
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閲覧指数:704.8
2025/04/09 19時19分56秒現在
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    作品に書かれた推薦文

風の宮殿 コメントセクション

コメント数(4)
羽田恭
作品へ
(2022-09-03)

珍しい題材ですが、丁寧に書かれているのが良いですね。 最後はもう少し意表をついたりしても良かったかもしれないですが。

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湖湖
湖湖
羽田恭さんへ
(2022-09-03)

そうですね、ちょっと意外性が少なかったです。頭で書いているとどうしても鮮烈さが乏しく残念になります。ありがとうございます。

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薄楽
薄楽
作品へ
(2022-09-04)

ピンクシティーのジャイプル。官能的でそそりますね。酷暑の現実と幻想、エロスと残酷、性と死がメビウスの帯のように展開しているように思いました。そして風の梳く宮殿というメタファー、エキゾシズム、ずっと前に読んだアンダルシアの詩人ロルカを思い出しました。とても魅力的な詩でした。

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湖湖
湖湖
薄楽さんへ
(2022-09-04)

過分なるお褒めの言葉、恐縮です。意識を飛ばす空想が人を助けたりガス抜きしたり、ロマンティシズムも人生には必要ですよね。ロルカ、映画でありましたね。いつか詩も読んでみたいです。ありがとうございます。

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投稿作品数: 2