インドのジャイプルはピンクシティと呼ばれ
風の宮殿と名づけられた赤い建造物が風に梳かれている
あそこに私の魂は縫い付けられている気がする
そんな夏の酷暑の中の意識の揺らぎよ
私は攫われ、囲われ、愛人として娶られ
夜伽の所作を覚える壮麗な女奴隷なのだ
青髭の王に仕えて精一杯のロマネスクを唄う小鳥の日々よ
そして心を咲く小さな罅(ひび)よ
衣が裂けたか、ぬるりと甘いマンゴーの肌が裂けたか
夏の熱気にそれは匂い
悲鳴なのか、エロスなのか、死の香華が
煙草の紫煙とくゆり燃えるひと夏の蝉の心よ
囚われた自由の申し子の乱れ討つ空想の機銃掃射よ
石の雨が降った時子供たちは皆死んだそうだ
女奴隷は遠い村に残してきた小さな弟を思い出している
もう育ってそこにはいないだろう弟の小さな姿を
記憶の飴玉のように
風の梳く宮殿よ
私の感傷をひりりと撫でる熱い風よ
ひやりとした石壁の陰でわたしはそっと息をする
作品データ
コメント数 : 4
P V 数 : 647.1
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作成日時 2022-09-03
コメント日時 2022-09-04
#現代詩
#縦書き
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2024/11/21 23時07分13秒現在
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珍しい題材ですが、丁寧に書かれているのが良いですね。 最後はもう少し意表をついたりしても良かったかもしれないですが。
0そうですね、ちょっと意外性が少なかったです。頭で書いているとどうしても鮮烈さが乏しく残念になります。ありがとうございます。
0ピンクシティーのジャイプル。官能的でそそりますね。酷暑の現実と幻想、エロスと残酷、性と死がメビウスの帯のように展開しているように思いました。そして風の梳く宮殿というメタファー、エキゾシズム、ずっと前に読んだアンダルシアの詩人ロルカを思い出しました。とても魅力的な詩でした。
0過分なるお褒めの言葉、恐縮です。意識を飛ばす空想が人を助けたりガス抜きしたり、ロマンティシズムも人生には必要ですよね。ロルカ、映画でありましたね。いつか詩も読んでみたいです。ありがとうございます。
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