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合成波
十二時十分。 信号は青へ、 大股歩きで向こう岸へ。 七月の真昼時、 三月兎は死地への道を急ぐ。 街路樹の根方に、 抱卵する雌鳥。 見たところ、あと二ヶ月か。 やって来る、あちらから。 中央分離帯前で、 二人、 x軸が重なる。 その刹那、 ほんの一瞬、金縛り。 陽炎が見せた幻。 二尾の蛇が 噛み合って、輪になる。 そして営みは続き、 うらなりを切る手は止まず。 橋を西に渡る人が気づく。 青色を追う彼女には、 * 十二時十三分。 白昼夢は 振り向けば屑になり、 クラクションに舌打ち、 庇の陰を浴びつつ 入口の扉を抜ける。 招待券と引き換えに レターセットと柘榴。 ショウ・ウィンドウで品定めする お得意様は強欲だ。 リノリウムの床。 硬いベッドに寝転べば ああ蝋燭が溶ける。 最後に見たのは 目映い真夏の光。 雨垂れに奪われる私は 不本意ながら、さよならを言う。 明日の私はどこかのだれか。 * 六十 三十 ──十二時三十分……
合成波 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 702.4
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 2
作成日時 2022-08-01
コメント日時 2022-08-01
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 2 | 2 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 2 | 2 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
よくわかりませんでした。
0三月ウサギは不思議の国のアリスだったでしょうか。仙波龍英の歌集にも転用されていたかと思うのですが、この詩では死地への道を急ぐ。最後の三行、六十、三十、12時30分が示唆的でした。
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