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グリア
山の木々の枝葉の先端は、カビの生えたコッペパンのような色に横たわっている。その葉脈の先、ぶら下がったゾウムシの口の中に、一輪のバラが咲いている。そのバラの名は「グリア」。水田の土の中に、一輪のバラが咲いている。風鈴の音が響く。山あいのバラ屋に、頭髪のない老人がいる。 グリア、グリア。彼はいつまでそこにいるのだろう、いつまでそこにいるのだろう。 かすかな眠りの中で、私の意識は寛永通宝の穴から秋の高い空へと溶けていく。 枯葉、線路、梅田第三ビル。通り抜けた下水の臭いが鼻に残る。薄汚れた喫茶店の床で角砂糖を踏みながら、グリアは「明日は晴れることを祈ろう」とつぶやいた。 明日は晴れだ。 雑草の中に、小さなタイムカプセルがありました。中にはカブトムシの死骸とクマノミの幼虫が入っていました。自転車で走ってきた道は、高速道路の下に隠されていた。砂漠で砂金を探すように、過去の思い出を探そう。タイムカプセルの中のゾウムシとグリアのことは、すっかり忘れていた。 夕焼けの色を写したようなグリア。愛のように赤く燃えるグリア。その色も香りも、本当の名前さえも、もう思い出せない。グリア。グリア。
グリア ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 650.7
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 11
作成日時 2022-07-16
コメント日時 2022-07-16
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 1 | 1 |
可読性 | 2 | 2 |
エンタメ | 2 | 2 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 1 | 1 |
構成 | 2 | 2 |
総合ポイント | 11 | 11 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 1 | 1 |
可読性 | 2 | 2 |
エンタメ | 2 | 2 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 1 | 1 |
構成 | 2 | 2 |
総合 | 11 | 11 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文