雨の日の朝。
カビが生えた
窓のカーテンを開ける。
ちゅん、ちゅん。
「オハヨー、オハヨー。」
雀がないていた。
昼になると
仄暗い空から
光が微かに差す。
ぴっ、ぴっ。
「アソボー、アソボー。」
雀は数羽で水溜りで遊んでいる。
そして、小さな子供のように
水溜りから、離れて近づいてを繰り返す。
しばらく、そんな日が続いた。
朝になったら、雀の鳴き声で起きる。
そして、昼は雀たちを観察する。
ある日、朝の鳴き声が聞こえず
カーテンを開ける。
いつもより、なんとなく暗い朝だった。
「ぴぃ、ぴぃ」
窓から眺めると、動かない雀がいた。
傘を差しながら、雀の所まで歩いた。
そして、小さな亡骸を見つけた。
雀たちは慌てて飛んで逃げていく。
よく見ると亡骸の近くには
白茸が生えていた。
そうか。
猛毒の彼は、きっと雀を殺したのだ。
そう思って
茸を引きちぎろうとした。
猛毒の花のように、咲く彼は
ただ、笑っている様に見えた。
いつしか、雀の鳴き声は聞こえなくなった。
あるとき、白茸の近くを通った。
「サミシイ、サミシイ」
すれ違い様に、小さく
そんな声が聞こえた。
白茸は、ただ生まれてきただけなのだ。
そうか、君は殺したかった訳じゃ無いのか。
大きく、差している傘に雨粒の音が響く。
ぴっ、ぴっ、ぴっ。
白いキノコの周りでなきながら
踊る雀が居た。
「みんなでしあわせになろうね。」
雀もキノコも微笑んでいた。
目を覚ますとカーテンは閉まっていた。
今日もいつも通り、カーテンを静かに開く。
「ぴっ、ぴっ」
一羽の雀が水溜りで踊っていた。
「ぴっ、ぴっ」
踊り続ける、雀と白茸。
それをただ、朧げに見ていた。
作品データ
コメント数 : 2
P V 数 : 615.1
お気に入り数: 1
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ポイント数 : 0
作成日時 2022-06-22
コメント日時 2022-06-22
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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可読性 | 0 | 0 |
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技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
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総合ポイント | 0 | 0 |
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2024/11/21 23時24分36秒現在
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相容れない者同士のやり取り、それは果たして美しきことかおぞましいことか考えさせられます。 そこに私が干渉できなかったとしても。
1コメントありがとうございます。 最近、近くを散歩してたら生えていた茸と雀が鳴いていたことを、そのまま題材にした作品です。この白茸は恐らく、種類的には断定は出来ませんが、猛毒で蕾の様な形から花開く形に成長します。 実際に雀が茸を食べるかは、また別として何が悪なのか、どの視点で見るかでまた変わってくる作品だと思います。読んでくださりありがとうございました。
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