オロナミンC

駅の改札を抜け、家路に向かう途中。薄暗いエスカレーターの下り。 LINEのメッセージを打つのを、止めてふと前を見ると、キューティクルが絶滅の危機に瀕している女性が歩いていた。後ろ姿、否、左斜め後ろ姿だけだったが、目を奪われてしまった。なぜなら、階段ダッシュ終わりの野球部の如くオロナミンCを飲んでいるからだ。いやぁ、実に圧巻。グビグビゴクゴク飲みながら、エスカレーター下の自販機の横のゴミ箱に向かって、闊歩していた。上戸彩の何倍も容姿の美しさは無いが、上戸彩の7倍ぐらいに元気ハツラツといった感じだった。朝6時29分起床、現在23時49分。最寄りの駅前にて、見知らぬキューティクル半死人間から元気をもらった。なぜだ。私はオロナミンCを飲んでいないのに。なんなら2時間は水分補給もしていない。どうしてだ。疲れた心に、一筋の光が見えるのは。湧き出る活力は。あと帰るだけなのに。彼女は、キューティクルを失う代償に、体からビタミンC、ビタミンB2、ビタミンB6、アミノ酸、ニコチンアミドその他諸々を排出してるのか？自分はオロナミンCから摂取しなきゃいけないけど、他人にはその効果を付与できるのか。なんて自己犠牲の精神なんだ。アベンジャーズさながらじゃないか。ハイリスクローリターンもいいところじゃないか。ってかニコチンアミドって何？ネーミングセンス最高。ニコチンアミド万歳。ニコチンアミド万歳。あれ？なんの話だったっけ？まあ、いいや。明日も頑張るか。

オロナミンC　ポイントセクション

作品データ

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作成日時 2022-06-06
コメント日時 2022-06-08

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