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海の唄
くたびれた海藻と 欠けた貝殻 をよけながら 一歩一歩 沈む 波になめられた砂 に穴があく 命をたらふく 食んで まだ足りない 命を育んで まだ足りない 海に向かって 走った 幼い頃に 聞こえた 海の唄 今は 耳を澄ましても 波の音しか 聞こえない 貝殻を耳に 近づけてみても 風の吐息が 過ぎてゆくだけ 素足になって 波の舌さきにふれた つめたさに絡まれ かわいた砂に にげた 陽の光できらめいた 海の上を 釣り船がうれしそうに 縫っていく 命をたらふく 食んでも まだ足りない 命を生んでも まだ足りない ゆらゆらゆれる 海に合わせて 遠い記憶の 海の唄を のせてみる 押し寄せる波が 大きな手に見えた日を 思いだした
海の唄 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 917.5
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-11-07
コメント日時 2017-11-10
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
助詞をあえて行頭に持ってくることによって作り出される、少しだけ突っかかるような、摩擦を持ったリズム。それは、砂浜に打ち上げられた命の残骸、命の形骸を避けながら歩く、歩みそのもののリズム、なのかもしれません。 〈命をたらふく 食んで まだ足りない〉海、で思い出すのは・・・大震災の時の映像でもあるのですが。 最終連の〈押し寄せる波が/大きな手に見えた日を/思いだした〉につながっていきますね。 中間部、風の吐息とか、海の唄、といった文言は、甘さに傾いた印象を与えるかもしれない(ロマンチックな気分、に浸っている、ような・・・)という感想も持ちましたが、遠い記憶の、と記され、〈海の唄〉羊水のゆらぎ、胎内で聴いた波の音の記憶、にまで重なっている、と読むと、一段と深みを増しますね。 胎内を連想させるような文言を、どこかに忍ばせてもよいような気もしました。
0夏生さま こんばんは。 短く切り取られた文章に、心の奥にしまい込まれていた記憶の断片を拾い上げて、繋ぎあわせているような、そんな印象を受けました。 また、そのようなリズムが、 命をたらふく 食んで まだ足りない 命を育んで まだ足りない という、海の恐ろしさと奥深さを、より強調しているようにも感じました。 不思議な魅力のある詩ですね。
0命をたらふく 食んで まだ足りない 命を育んで まだ足りない という感覚が、わかるという気がします
0コクトーも思い出しましたが、あまり関係なさそうです。海の豊饒さや、海からの濫觴。古代の海さえ想起させられました。命をたらふく飲み込むというのか食べる海は恐ろし気でもありますね。
0まりもさん いつもありがとうございます!海を描こうとすると、どうしても震災のことが浮かび。はっきりと描くことに抵抗があって、匂わせる感じで描いてみました。 まりもさんが胎内をイメージされたと知って、あともう少し生命に関して描けたらと思いました。まだまだです。 m.tasakiさん コメントくださり、ありがとうございます! <短く切り取られた文章に、心の奥にしまい込まれていた記憶の断片を拾い上げて、繋ぎあわせているような、そんな印象を受けました。 その通りでございます。とてもうれしく思いました。細部までお読みくださり、ありがとうございます。 霜田明さん コメントくださり、ありがとうございます!感覚がわかるとのこと、とてもうれしく思いました。 エイクピアさん コメントくださり、ありがとうございます! 拙作から想起されたこと、海の恐ろしさもお感じになったとのこと。細部までお読みくださり、 ありがとうございます。
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