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狂言
緑の瞳の猫は幻術を使って 奴が吐く煙に呑まれている 僕 銀食器をたべすぎたから 吐瀉物は黒く汚れている おや いつのまに毒を口にしたのか 肩を落として干からびた路地を歩くと やにわに頭がぼうっとしてきて うずくまる、 こんな素敵な初秋に日射病? 彼らが僕を病人と呼ぶが僕にはそれがちゃんちゃらおかしくてなぜなら彼らも僕との違いがないほど病んでいるではないか と 一息で言うと しばらく咳が止まらない この場合 引力と斥力は同じはたらきをすることを 僕はようやく見つけた 下戸であるから知らないが カストリの酔いに似ている 他人の顔色が悪い、 黒南風と天気痛が カプセルに閉じ込めているために 濃い白粉のにおいだ 車酔いの吐き気は 毒を呑んだときと同じらしい 眩暈と頭痛 いま 中耳に局所的な低気圧がある 田舎の青白い誘蛾灯 けだものの瞳孔が正円になる こんな夜半に誰がした? と 病臥の床で夢遊病の手が書きつける 手は知らないようだが すべては猫の毒のせいだ はじめから僕はいたって正気である 猫の眼はパリス・グリーン、 そうに違いないが 転地療養はできそうにない 猫が頭上に住んでいるから 僕が望んで猫をもったのだから 酒を飲めぬ僕は こういった類いの幻覚剤がなければ 魔法をつかえないから
狂言 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 747.1
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2022-06-01
コメント日時 2022-06-02
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
ものすごく個人的なことですが、この毒された感覚が今の私の症状と合っているので、興味深く読みました。この症状が猫の幻術によるものならば、この不快さも少しは楽だと感じます。「転地療養」って懐かしい響きがします。私は滅多に小説を読みませんが、ずっと昔に読んだ「菜穂子」という小説を思いだし、また読んでみたいと思いました。 最後に「魔法」という言葉が出てきたのは少し残念な感じがありました。言葉にしなくても充分それらしき雰囲気が伝わっていたので。
1つつみさん、コメントありがとうございます。あなたの苦痛を私の詩で少しでも和らげることができたのなら嬉しいです。 最後の「魔法」は坂口安吾の「不良少年とキリスト」が好きで印象に残った文から着想しました。しかしこの詩の根幹のイメージに直接関わるものではないため、確かに余計だったかもしれません。ご指摘ありがとうございます。
0返信を送信したつもりでしたが、間違って作品へのコメントになっていました。申し訳ございませんでした。
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