<回想錯誤>
黄昏の陽炎が移り込むオパールはいつか貰ったもの、
角砂糖の妄想は空港を望むけれど待ち合わせには誰も現れない
瑠璃色の椅子に跨り磔の訛を銀に溶かし鳴く鴉をぼんやり眺める
(なぜ泣くの)
あの日食に恋心を描くマスコットがぶら下がる
色鮮やかなショーウィンドウにまんまるな苺ひとつと、
トゥシューズの片方を御伽噺に描いてあげれば、まだ
的はずれな庭に野良犬を放っても
このお姫様は菊と同い年の足跡を
「そろそろとお召になります」
生きているのも死んでいくのも、わたくしたちの
こころのそこで なくしたみも きえさるいみも
おもいを抱けるものだけは生を置いたものでして
どうせかげもかたちもかちのないいきものだから
<記憶過剰>
不協和音の階段の前で地団駄を踏んでいるのはだあれ。
しどろもどろで腹を立てるくせに、その後
星のサラダを沙羅に映し
腸詰されたチキンと毒を吐き出した菌類と一緒に
添い寝して
一晩冷製の微睡みを加えます
五本指に有り得るフォークとスプーン、器用に素手でいただく
チーズやマヨネーズで味わえる。アンドロイドの朝は天候不良でも
――ぎこちなくてそれが愛らしいね――
生きていることを確認するために傷つけるわけではないが
痛みによって現実から剥離したいんだと、思う現実に置いて
残される或いは、元凶を押し潰すほどの不安や苛立ちを
圧し篭めるほど多分、麻痺できるのではないかと
冷静に煮立たせたもの
<解釈妄想>
ピンセットで摘んだ脂身を苦渋と辛酸の水たまりに落す
もう平衡感覚も万有引力も無風の花園に絡まりまして
失われた砂浜に流れ着く。釦雨が降るおもちゃのマーチは
盛大に、金糸雀の舌を舐め、毟った羽根を廻す
プレリュードの絶世すら夜の喧騒に呑まれる
この道は高速道路の末裔に沈んだ金魚のべべを適える
つま先から炙れた巡査部長が違って遊んだ水鉄砲のいろ
片側から食み出した蜈蚣らしからぬ、福盲の名と行く末
なにを創り出せば幾らでも時を繋ぐのか
途切れているだけとすれば 見い出せばいいだけで
迷い込んで覆い隠すものは、少しの誇りを払っただけ
夢の中でこの部屋を抜け出し 外に蔓延る熱帯の杜で徘徊している
だれも、
忘れなければ。
生きてることを確認するために傷つける 生は、ある面から見れば闘争ですね。 生きるのしんどいですね。
0アポロン様コメントありがとうございます。そうですね、しんどいっていうか多くは望まない、今ぐらいじゃないと持ちきれない見きれない手に余るって感じですかね。そういう幸せもあるってことで。
0アポロン様コメントありがとうございます。そうですね、しんどいっていうか多くは望まない、今ぐらいじゃないと持ちきれない見きれない手に余るって感じですかね。そういう幸せもあるってことで。
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