古いガラスの曇った部屋の反射は白く私を映す
私のうちにただ一編の小説のようであった命はずっとそういった予感であった
最後のページの最後の一行や、エンディングロールはそういう風にして
私を眠りのほうへ安心させた、永久の予感として美しいいわばこれはいきものの殺し方で
時間とか世界とかそういった大きなものの殺し方だったんだ
だから戦争が終わって水兵が路上で女にキスをするし、季節の一個が終わって
秋が春になったり夏が冬になったりする
少し一区切りのために終わりを待っていれば
一向に終わりは来ないで、
つまり終わりばかり待っているようになっていた。
時間さえくれば終わってしまうが、意味を漂白された時間はもう
朝と夜のように終わりとはじまりのある時間として機能してくれないし
終わりを予感しているならばそれがなんだったかを忘れてさえ待っていてしまうものなのだ
ギリシア人の終わりやクリスチャンやプロテスタンティズムやコミュニズムやナショナリズムや神国思想の終わりが私の世界に到来することへの期待はたぶん破られて幽霊になる。
幽霊を殺したら俺は単なる狂人である。
作品データ
コメント数 : 5
P V 数 : 896.7
お気に入り数: 1
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2022-04-10
コメント日時 2022-04-11
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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閲覧指数:896.7
2024/11/21 22時39分35秒現在
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よびな作品に私コメント書いたことあったのかなあって調べてみたらあったんですよね。いや、だからなんなんって話なんですが、よびなさんの作品、面白いですよね。なんだろうこれ感がすごくあってコメントが表しづらかったりする。 読解とか原則私はしない主義なので、印象で感想を書くだけなんですけど、つまるところ今作は物語を剥いでるんだと思うんです。物語って始まりがあって終わりがある、、ストーリー性といった方がいいのでしょう。そのストーリー性を剥いでるんですよね。しかも物語の印象を残して。思想や観念を信じていない系でなければその物語の印象は残らないかもしれないんですけど。言葉なんて意味よりは感触だと思うんです。私なんか時々、あなたが使ってる言葉、意味を理解して使ってる?って言われるんですけど、意味を了解して使うより、言葉の印象で発した方が伝達の意味でも有効だと思ってるんです。なぜならば言葉を意味で使うより印象で使った方が物語として伝達するんですよね。 そんなことを読んで考えました。
0世界の何処かで誰かが傷ついてそれが当たり前になっていて、次第に人の死を気にもしなくなったら皆狂人ですそういう世界が今有ります。
0ありがとうございます。コメントを読んでいて、私が考えていることの核心部に触れる部分がクリティカルに言い当てられているような感触がしたというかそこまで感謝の念?のようなものが湧いてきたというか不思議な感じです。痛み入りますというニュアンスでしょうか。 もっと言うと、私は物語というものが人間を苦しめていると考えているかもしれません。始まりと終わりのある人生のストーリー(という言葉の形である観念?)が苦しんでいる人間の苦しみの根源にあるような気がするし、苦しんでいる人はその人のストーリーの中で苦しんでいるような気がします。この考えは陳腐で野暮に思えるし、「ストーリーなんてないよ」などといえばそういうストーリーが始まってしまうのです。 「印象」というのを今の私が思うまま使いこなすのは難しいような感じが、自分でしているのですが、魅力的に自由な状態の心で、言葉の印象を感じられるならそれはとても有効だと思います。
0ありがとうございます。私の詩を書いている一つの目的は、人の社会にずっと存在し続けている暴力や戦争をどう否定するかということです。言葉の上で私は心から素直に生を肯定できるか、ということです。とても大切なことだと思います。
0そこまで感謝の念?のようなものが のところ、「そこまで思い至っていただいて感謝の念?のようなものが」の誤字です。 補足ですが、私は物語が好きです。本の形のものも、映画の形のものも、誰かとの話の形のものも、また、喜ばしいものも、面白いものも、悲しいものもです。
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