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華燭の茎_膠と絵筆
雑踏には馨る草いきれを 黒い雁の図形は 夕の眠りを睫毛に閉じ乍ら 青年の寝台を遠く眺める青年を 眺めている青年の様に逞しい百合根を眺めている青年の部屋に 水球根に骰子の陰りを 限りなく透明な轍を踏む様に踏む 百頭の薔薇を振り乱しながら 石化した寡婦よ 物乞にも矜持が有って 麻酔針に染みる歯肉は 季節、風土を指摘する考古学者たちの骨の割符へ 砕かれた躑躅野をひらく 暴漢の若々しき指名手配が 交叉路に 沸騰する菫の貯水池を紛らわす時 便箋は国際航路を渡って 諸君の咽喉をひきさいた ご覧、だれもが瞬間の薄利をもとめて 日曜の眼ぬき通り、 大道路へと愛を込めた散弾を構えている ピアニストに打たれた花ったれた甘い虚構どもへ 鼻翼逞しき青年を 見、瞬間の愛を攫って 喉は聞きたいものをしか見ないと叫べ、 自身の想像力をも疑う者達よ 諸君の風向きもまたしかり 仏頂面の雄鶏がはためいている! 木綿の花が壊れた録音盤に周る! 後悔は婚約に痺れる阿片を燻らせるだろう 今という恍惚の過ぎ去った松葉杖に せめて一節の荘厳戴冠曲を聴かせてお呉れ 弾頭を込めた愛が降り頻る 解剖学者達には福音を 脛に傷有るひとごろし達へ孤独死の嬰児を育ませてやれ 生憎、感嘆符は 肉屋の明るい照明のなかで 薔薇の花と 金利の為 みなごろしの闌にくれるばかり 跡形もない飢餓に興じながらも ダヴィデの腿の骨に綴じられた 星図を 世界の枢軸として立ち上がる 虐殺者 秩序よ、 花婿へ、透き通る脈拍の蝶に、あげつらう暇、迄もが、たえて、 星に磔けられた 実そして、狂気
華燭の茎_膠と絵筆 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1249.5
お気に入り数: 2
投票数 : 0
ポイント数 : 9
作成日時 2022-04-03
コメント日時 2022-04-10
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 3 | 3 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 5 | 5 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 9 | 9 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 1.5 | 1.5 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0.5 | 0.5 |
技巧 | 2.5 | 2.5 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 4.5 | 4.5 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
甘ったれたではなくて花っ垂れたとか独自の言語感覚があると思いました。遠くを眺めている青年を眺めている青年とかですね。ダヴィデの星図などは五芒星の事でしょうが、ユダヤ人の歴史とか文化に興味あるのかと思いました。
1レスポンスを賜り、嬉しく存じます。 コンクリート、アスファルト、割礼的去勢後の性売買と堕胎、子供等もなき銭貨ばかりの。艶笑の文化さえもなき西欧的道徳律に嵌め殺された社会環境に於きましては。 それらの凡そ及ばざる所、 草木、虫、花鳥、、空、雲、星と月の折節――必然、淘汰の残酷性をも含み――を画き、主題と致しますことは。 近代文明化された社会、時代、人間への最大級の抵抗運動であると、思っております(自然対人工、係る両観念の軋轢とう前提に於きまして)。 問題は、そこまでへと。拙作に拠って踏み込む事が出来得たか。否かでございまして。 それらが伝達なされておりませんでしたなら、当作は、失敗作の謗りを免れ得ませんでしょう。 消費的肉慾、或は人体描写は、彼等若者に残された、最後の自然‐身体感覚なのかも知れません。 その他は個人、抽象的内観のつれづれ。申し訳ございませんがそれには興味も共感も、沸きません。 復、聖書的モティーフは、それらしき蛇足に過ぎません事も付記させて頂きます。 全ての営みが経済化され、価値へと歪み果てた現代と言う局面に在りまして。気が急き、些か筆が逸れてしまいまして。允に失礼を致しました。
0趣意と致しましては。 二度と読みたくはない、との事。 それさえも私には至上の称賛でございまして。允に嬉しく存じます。
0格調が高くて凝縮があり、いつも通り美しく難しいですね。如何に表現するかを薔薇で競うなら、こうでなければ、ということはないのかもしれないけれど、そう来なくちゃ、という美々しさ、語彙力からして圧倒的に違うなぁ、とそのコントロールに感心させられます。語られる物語に自分を重ねてしまう普遍性もちらほらし、もっと読解力があれば、と愁嘆。ダヴィデの脛の星図とか、百頭の薔薇の石化した寡婦、とか、うつくしい、惚れ惚れ。バーに座ったらカクテルに難解な漢字のクラッシュトアイスがきらきらしてるみたい。
0どうぞどうぞ、お気に召す侭。
0ご批評を賜り、心より、嬉しく存じます。 凡そ私の書き得るものは、所詮自涜の塵芥に過ぎぬ、と考えて居ります。 修辞塗れであり、核心が、目的が無い。在るのは矢張手慰みの方法のみであり、詩、にも舞踏性ではなく、目的への歩行性をお求めに為られる御方には、欠伸を催す程に、退屈極まりないものである事を。自覚しております。 詩にも起承転結が必要ならば、拙作は駄作の謗りを免れ得ませんでしょう。若し、詩さえもが物語でなければならない、ならば。
1ありがとうございます。 趣意は「天才=気狂い」とう一言の皮肉、反語に在ると思われますが。 健常者が障碍者へと甚だ非‐人道的な振舞いを致します事は――夙に相手が侮蔑の対象ならば――屡々あり得ることと、経験を致して居ります。 屹度、非‐健常者であることへの罰なのでございましょう。 みなさまに於かれましては。b-reviewへの破壊因子を看過し、育んでしまいました事を、心より口惜しく、後悔を致しております。 允に、申し訳ございませんでした。 そして。此れ以上は。室町様の粘着気質に拠り、此の場所を淀ましめ、穢すような浅知恵をお働かせになることをお止めになられることを。唯、願って已みません。 そして。 互みに荒らし行為、無為無益の応酬とならぬ為にも。 之以上は、室町様へのレスポンスを差し控えさせていただきたく、存じ上げます。如何か、真人間としての斟酌の程を。恃むばかりでございます。 上記、長々と。よしなしごとばかりを憚りつつも、筆を置かせて頂きたく、存じ上げます。
0どういったお気持ちで段をこうしたのか分かりかねました。遊びと思うには雑で、時の流れとしては意味を与えず、語りとしての強弱とも思えず、ただずらずらと読みづらさだけが残りました。私自身から見れば、コトバとしていいたいことはわかりやすく、そういった書き方を行えるのが鷹枕可様だと思うので、毎回面白く読ませていただいております。
0鋭い指摘を賜りまして、心より。有り難く存じます。 仰ります通り、各行頭の空白の配置には論理的な法則性はございません。改行も所謂「句切れ」を意図したわけでも、ございません。 つまり、意識せず、ただ赴く侭に、記述をさせて頂きました。生煮えのオートマティスム程、読み難く、煩わしいものは無い、その証明程には意義が在ったとも言えましょう。 最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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